相続税のご相談はおまかせください!地域最安値で相談可能

相続税の申告に誤りがあったらどうする?相続税の更正の請求に必要な書類や手続きの流れについて徹底解説

目次

更正の請求と修正申告の違い

既におこなった相続税の申告に誤りがあった場合、申告内容を修正し本来納めるべき金額を再計算する必要があり、「更正の請求」と「修正申告」のいずれかの手続きをおこなう必要があります。

誤りの内容によって選択する対応方法が異なるため、まずはこの2つの違いについて解説します。

更正の請求とは

更正の請求とは「本来納めるべき税金よりも多くの税金を納めている場合」に行う手続きのことをいい、更正の請求をおこなうことで納める必要がなかった金額を還付してもらうことができます。

たとえば

当初の相続税の申告において納税額が「100万円」となっていたが、申告内容に誤りがあり、本来納めるべき金額が「80万円」であることが判明した場合、更正の請求をおこなうことで納め過ぎた「20万円」を還付してもらうことができます。

このように更正の請求については、

である場合におこなう手続きのことをいいます。

修正申告とは

修正申告とは「本来納めるべき税金よりも少ない税金を納めている場合」に行う手続きのことをいい、正しい納税額を再計算し不足分の税金を納める流れとなります。

たとえば
当初の相続税の申告において納税額が「100万円」となっていたが、申告内容に誤りがあり、本来納めるべき金額が「150万円」であることが判明した場合、修正申告をおこなうことで未納となっている差額の50万円を納める手続きとなります。

このように修正申告については、

である場合におこなう手続きのことをいいます。

また、修正申告についてはペナルティが発生する可能性があるということも注意が必要です。一般的な借金などについても、返済が滞ると遅延利息や損害金が発生するように、税金の納付に遅れが生じるとペナルティが発生する場合があります。

ここでは3つのペナルティを紹介します。

1  延滞税

延滞税とは不足している税額に対して課せられるペナルティのことをいい、納付期限から修正申告がおこなわれるまでの期間に応じて下記の一定税率で課税されます。

  • 2カ月以内⇒税率は年7.3%、
  • 2カ月以降⇒年14.6%

2  過少申告加算税

過少申告加算税とは本来の納税額よりも過少に税額を申告したことに対するペナルティのことをいい、「増差額×10%」という算式で計算をおこないます。ただし、増差税額によっては税率が15%になるため注意が必要です。

3  重加算税

重加算税とは「悪質性の高い申告漏れ」とみなされた場合に適用されるペナルティのことをいい、相続財産の隠ぺいや偽造など、故意に納税額を抑えようとした場合などが該当します。

重加算税は過少申告加算税よりも重い税率設定となっており、過少申告加算税の基礎となる税額に35%を乗じて計算されます。

相続税の申告で更正の請求が発生する事例5選

相続税の申告で更正の請求が発生する多くの理由は「計算の誤り」ですが、更正の請求が発生する事例には様々なパターンがあります。

ここでは、更正の請求が発生する事例を5つ解説していきます。

① 未分割状態の財産が分割された場合

未分割状態の財産が分割された場合は、更正の請求が発生しやすい事例といえます。

相続では相続税の申告期限である10ヶ月以内に、遺産分割協議が完了しない場合があります。そのような場合には暫定数値を用いて相続税の申告をおこないます。そのため、遺産分割協議が済み次第、更正の請求手続きによって正しい納税額を計算する流れとなります。

② 認知などによる相続人の移動があった場合

「相続人の移動」があり、税金の払いすぎが生じた場合には更正の請求が発生する場合があります。相続人の移動とは被相続人が認知する子供がいることが判明した場合や、相続放棄の取り消しなど、相続人に変更が生じることをいいます。

たとえば
相続税の申告完了後、「被相続人に他の子どもがいること」が判明した場合などが挙げられます。

この時ポイントとなるのが、被相続人が「認知していた子どもかどうか」になり、認知していなかった場合、どのような法律的な証拠があろうとも相続人の移動は認められません。また、相続人の廃除による相続人の移動もあります。

相続人の廃除については、被相続人が相続人から虐待や侮辱を受け、相続人に財産を渡したくない場合などに発生します。このような場合、被相続人からの家庭裁判所への請求によって相続権を廃除することができ、これを「相続人の廃除」といいます。相続人の廃除は被相続人が生前に申し立てるか、遺言書で残したときのみ適用されます。

ただし、家庭裁判所はこの相続人の廃除は慎重に審議をおこなうため、実際に相続人の廃除が認められるケースはごく僅かとなっています。

③  遺留分侵害請求権による返還があった場合

遺留分侵害請求権による返還があった場合も、更正の請求が発生するケースの1つです。遺留分権利者である配偶者や子どもには、受け取ることのできる「遺留分(配偶者や子どもが最低限相続できる割合のこと)」があらかじめ法律で決まっています。

たとえば
被相続人が遺留分権利者以外に贈与又は遺贈し、遺留分権利者が遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は贈与又は遺贈を受けた他の相続人に対して、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます

これを「遺留分侵害額の請求」といいます。

④  軽減措置や特例が適用される場合

相続税については軽減措置が特例がいくつかあり、それらを適用することで相続税額が減少する場合は更正の請求がおこなえる可能性があります。

たとえば
上記①のように相続財産の分割が確定しなかった場合、一時的に法定相続分に基づき、暫定数値で申告を行うことになります。その後、申告期限(10か月)から3年以内に遺産分割が確定した場合は「配偶者に対する相続税額の軽減※1」や「小規模宅地等の特例※2」を適用することができるため、最終的な相続税額が減少する可能性があります。

そのような場合は更正の請求の対象となります。

※1 小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは被相続人が自宅として使っていた土地など、特定の要件を満たす土地を相続した場合、土地の評価額が最大で8割引きになる特例のことをいいます。

小規模宅地の特例については、適用に必要な条件が細かく設けられているため、必ずチェックするようにしましょう。

※2 配偶者に対する相続税額の軽減

相続税には「配偶者控除」が設けられており、下記の①または②の場合は相続税がかからない仕組みになっています。

①配偶者が相続した課税対象の遺産額が1億6,000万円まで

②法定相続分の金額

たとえば
配偶者が5億円の遺産を相続した場合、1億6,000万円を超えていますが、遺産相続の割合が法定相続分の範囲内であれば、5億円の遺産に相続税は課税されません。

⑤  遺言書の発見や遺贈放棄などがあった場合

遺言書の発見により、「相続人の廃除が判明した場合」や「遺贈放棄があった場合」も更正の請求の対象となります。「遺贈」とは遺言によって財産を与えることを意味し、法定相続人以外の人に遺産を与えることも可能です。

相続では遺族が遺言書の存在を知らなかった場合も珍しくありません。そのため、相続税の申告をおこなった後に遺言書が見つかった場合は、遺言書に基づいて改めて財産の分割を行う必要があります。この場合、既に納めた相続税額が減少する場合は更正の請求が必要となります。

相続税の申告で修正申告が発生する事例5選

ここでは、相続税の更正の請求ではなく、修正申告が発生する事例を解説します。

相続税の修正申告にはペナルティが生じるため注意深く確認を行う必要があります。また、修正申告が発生する原因については、更正の請求と同様に計算の誤りなどの理由が考えられますが、他にも様々な理由があるため注意するようにしましょう。

①  後から新たな相続財産が見つかった

被相続人の新たな相続財産が見つかり、相続財産が増える場合は修正申告が必要となります。

たとえば
当初の相続税の申告時においては1億円の相続財産を申告していたが、後から5,000万円の財産が見つかった場合などは、1億5,000万円の相続財産に対する相続税を再計算しなければなりません。

また、場合によっては過少申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する場合もあるため注意が必要です。

②  相続税の計算ミス、財産評価に誤りがあった

相続税の計算ミスや財産評価※1に誤りがあった場合も修正申告が必要になります。相続税の計算や相続財産の評価方法などについては、非常に複雑となるケースもあるため、計算の誤りが発生しやすいといえます。そのため、複雑な計算が必要となる場合は注意が必要です。

財産評価とは

財産評価とは建物や土地などの金銭以外の財産を金額で評価することをいい、相続した財産の種類によって評価方法が細かく定められています。

また、財産評価については相続開始時点の時価で評価をおこなう必要があり、申告をおこなう日の時価ではありません。つまり、被相続人が亡くなった日の時価で評価をするということになります。

相続財産の中には土地や株式などの、時価を正確に把握することが難しいものがあり、形状や権利関係によっては、正確な評価がとても難しいといえます。そのため、税理士などの専門家に依頼するなど、財産評価額の算定を間違えないよう注意が必要です。

③  相続税の特例適用にミスがあった

相続税を計算する際、納税額を減額する為に特例を適用することがありますが、その特例を誤って適用してしまった場合、修正申告をおこなう必要があります。

相続税を軽減するために特例を適用したにもかかわらず、修正申告によって過少申告加算税や延滞税などのペナルティを追加で支払うこととなった場合、本末転倒であるといえます。そのため、特例の適用については細心の注意が必要です。

相続税の特例については下記のようなものがあります。

基礎控除

基礎控除はすべての相続人に適用される控除のことをいいます。基礎控除の金額は下記の算式で求めることができます。

贈与税額控除

贈与税額控除とは相続開始前の3年以内に、被相続人から財産を贈与されており、贈与年の確定申告において贈与税を支払っていた場合に適用することができます。贈与税額控除では贈与年の確定申告において支払った贈与税額を控除することができます。

配偶者の税額軽減

相続税には「配偶者控除」が設けられており、下記の①または②の場合は相続税がかからない仕組みになっています。

  1. 配偶者が相続した課税対象の遺産額が1億6,000万円まで
  2. 法定相続分の金額

未成年者の税額控除

相続開始日に、18歳未満の未成年者がいる場合に適用することができ、下記の算式で求めた金額を控除することができます。

障害者の税額控除

相続開始日に、85歳未満の障害者がいる場合に適用することができ、障害者区分に応じて下記の算式で求めた金額を控除することができます。

相次相続控除

相次相続控除とは、1回目の相続から10年以内に発生した2回目の相続により、相続税が発生した場合に適用できる控除のことをいいます。相次相続控除の計算は他の控除よりも複雑な計算方法となっており、下記の算式で求めることができます。

A…2回目の相続時における被相続人が前回相続時に課税された相続税額

B…2回目の相続時における被相続人が前回相続時に取得した純資産額

C…2回目の相続時に財産を取得した全ての相続人の純資産合計額

D…2回目の相続時における被相続人が取得した純資産額

E…1回目の相続から2回目の相続までの期間(1年未満切り捨て)

外国税額控除

外国税額控除とは外国にある相続財産を相続した場合に適用することができます。

外国にある財産を相続した場合、日本の相続税にあたるものを外国でも納めなければならない可能性があり、そうなってしまった場合は税金を2重に支払ってしまうことになるため、外国で既に支払った分を日本の相続税から控除できる仕組みとなっています。

外国税額控除の算式は下記の①のとおりであり、外国所得税額が所得税の控除限度額を超える場合には②の算式が適用されます。

  1. 「所得税の控除限度額=その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)」
  2. 「復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)」

④  未分割申告を行い、その後決まった分割内容で相続分に変更が生じた

未分割申告を行い、その後決まった分割内容で相続分に変更が生じた場合も修正申告が必要です。相続では相続税の申告期限である10ヶ月以内に遺産分割協議が完了しない場合があります。

そのような場合には相続税の申告期限である10か月以内に、申告期限に間に合わせる為、暫定数値を用いて申告をおこなう場合があります。そのため、遺産分割協議が確定した際、相続財産が増えた場合は修正申告が必要となります。

反対に遺産分割協議の内容によっては相続財産が減る場合もあり、その際は、上記のとおり更正の請求になります。

⑤  税務署から財産の申告漏れを指摘された

上記④までは、自分自身で修正申告が必要なことに気が付くケースですが、そうでない場合もあります。それが、税務署から財産の申告漏れを指摘された場合です。税務署から財産の申告漏れを指摘された場合は、追加の納税だけでなく、過少申告加算税や延滞税などが発生する可能性があります。

過少申告加算税については、

で求めることができ、追加の納税額が50万円以下か50万円以上かどうかで税率が変わります。

税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに修正申告をした場合
  • 50万円以下⇒5%
  • 50万円以上⇒10%
税務調査を受けてから修正申告をした場合
  • 50万円以下⇒10%
  • 50万円以上⇒15%

ただし、税務調査の事前通知を受ける前に自分で間違いに気が付き、自主的に修正申告をした場合は過少申告加算税は免除されます。

相続税の更正の請求に必要な書類

更正の請求をおこなうためには、上記のような条件を満たしたうえで、必要な書類を添付して手続きを行う必要があります。単純な手続きのように思えますが、一つ一つの手順が複雑となっており、準備する書類についてもたくさんあります。

書類に不備がある場合は、更正の請求ができないため注意が必要です。

相続税の更正の請求書

まず必要なものが相続税の更正の請求書です。相続税の更正の請求書は税務署窓口もしくは、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

なお、更正の請求書は還付が受けられる相続人が各々作成するものです。そのため、被相続人から1つの財産を相続した場合、その財産を相続人で分割しますが、1つの財産につき1つの更正の請求書ではなく、相続人全員が申告をおこないます。

更正の請求の必要性を証明する資料等

更正の請求をおこなう場合は、更正の請求に間違いがないことを証明する資料が必要です。更正の請求の理由が明確にわかる「事実を証明する書類」については、たとえば次のような書類が挙げられます。

事実を証明する書類例
  • 遺言書
  • 遺産分割協議書
  • 青色申告決算書(又は収支内訳書)
  • 帳簿書類(地代家賃部分)の写し
  • 事務所の賃借料を支払った領収書の写し
  • 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書

更正の請求が必要な理由は人によって様々です。それぞれの理由に合った「事実を証明する書類」を添付するようにしましょう。

修正申告書

最初に行った申告からどのような変更点があるのかわかるようにするための書類です。修正申告書は税務署の窓口、もしくはホームページ上でダウンロードすることができます。

修正申告書の記載方法については、国税庁のホームページ内で具体的な記載例を確認することができます。書類に不備がある場合は更正の請求ができなくなってしまうため、丁寧に確認しながら作成するようにしましょう。

また、相続税に関する特例を適用する場合は、特例に合わせて必要な書類を別途用意する必要があります。

マイナンバーカードのコピー(または通知カードと身分証明書)

更正の請求をおこなう際は、本人確認書類としてマイナンバーカードのコピーが必要です。

本人確認書類としては、以下のものが使用できます。

本人確認書類(マイナンバーカードがある場合)
  • 運転免許証
  • 運転経歴証明書(2012年4月1日以降交付のもの)
  • 旅券(パスポート)(2020年2月4日以前に申請されたもの※)
  • 在留カード・特別永住者証明書
  • 官公庁が顔写真を貼付した各種福祉手帳(身体障害者手帳など)
本人確認書類(マイナンバーカードがない場合)
  • マイナンバーカードの通知カード
  • 身分証明書

相続税の更正の請求には期限がある?

「更正の請求」には、期限が設けられており、期限が過ぎてしまうと更正の請求をおこなうことはできません。更正の請求ができないということは、本来還付されるはずのお金が受け取れなくなってしまうということです。

更正の請求による還付金額は非常に多額となる場合もあるため、更正の請求の期限については必ず確認しておくようにしましょう。

期限は申告期限から5年以内(原則)

相続税の更正の請求については、相続税の申告期限から5年以内となっています。

相続税の申告期限は相続開始日から10か月以内となっており、その申告期限が終了してから5年間となります。そのため、相続開始時期から見ると、5年10か月以内であれば更正の請求が可能となります。

ただし、5年を過ぎた場合についても更正の請求が可能な場合もあります。次では更正の請求に関する特則について確認していきましょう。

相続税の更正の請求には特則もある

更正の請求については申告後に納税額が変わるなど、「特別な事例」が起きた場合、特則として5年を過ぎていても更正の請求が可能です。特則による更正の請求をおこなう場合は、特別な事例が発生した日の翌日から4ヵ月以内に手続きを済ませる必要があります。

相続税の更正の請求の流れ

更正の請求に必要な書類と手続きの期限については上記のとおりですが、具体的にどのような流れで更正の請求はおこなえばよいのでしょうか。ここからは更正の請求の具体的な流れについて解説していきたいと思います。

更正の請求についての大まかな流れとしては、以下の通りです。

更正の請求についての大まかな流れ
  • 提出に必要なものをそろえる
  • 必要書類を税務署に提出する
  • 「国税還付振込通知書」が届いて、還付金が振り込まれる

流れとしては非常に単純となっているため、1つ1つの流れをしっかりと把握しておきましょう。

提出書類の準備

まずは、更正の請求に必要な書類を揃えます。必要な書類については先述した以下の4つの書類です。

更正の請求に必要な書類
  • 相続税の更正の請求書
  • 更正の請求の必要性を証明する書類等
  • 修正申告書
  • マイナンバーカードのコピー(または通知カードと身分証明書)

このうち、「更正の請求書」と「修正申告書」は、税務署の窓口または国税庁のホームページからダウンロードし入手してください。また、「更正の請求の必要性を証明する書類」と「マイナンバーカードのコピー」は自分で用意する必要があります。

特に「更正の請求の必要性を証明する書類」は更正の請求が必要になった理由によって準備する書類が異なります。漏れの無いようにしっかりと準備するようにしましょう。

税務署へ書類の提出

上記の必要書類を揃え終えると次は税務署への提出となります。税務署へ書類を提出後、審査が行われますが審査には約2〜3ヵ月かかります。

また、税務署に提出する際は「どこの税務署に提出するのか」ということに注意が必要です。提出先となる税務署は「被相続人が住んでいた住所地を管轄する税務署」となっており、相続人の自宅の最寄り税務署ではないため注意が必要です。また、被相続人が「生活の本拠地としていた場所」が納税地となるため、必ずしも住民票がある地域ではないことにも注意が必要です。

たとえば
次のような場合における提出先の税務署は以下のようになります。

  • 老人ホームや別荘、単身赴任先を生活の本拠地としていた場合・・・その住所地を管轄する税務署
  • 被相続人が海外に住んでいた場合・・・相続人の住所地を管轄する税務署

なお、被相続人が海外に住んでいた期間が1年未満だった場合は、被相続人の最後の日本の住所地を管轄する税務署が納税地になります。

振込の確認

更正の請求手続きが適切に処理されると税務署から「相続税の更正通知書」が届き、その後「国税還付振込通知書」が届きます。これらの通知書は「還付を間違いなく振り込みますよ」というお知らせです。

この通知を受け取ってから、2週間以内に相続人が指定した口座に還付金が振り込まれるため、振込金額に間違いがないか必ず確認するようにしましょう。万が一、間違いが判明した場合は速やかに税務署に報告をしてください。

相続税の更正の請求が認められない場合の対処方法

更正の請求については滞りなく手続きを行っている場合でも、税務署が更正の請求を認めない場合があります。その場合、更正通知書は届かず、代わりに「更正すべき理由がない旨の通知書」が届きます。

「更正すべき理由がない旨の通知書」を確認しても、税務署の判断に納得ができない場合は次で紹介する方法を検討するようにしましょう。

審査請求や再調査請求をおこなう

更正の請求が認められない場合は「再審請求」や「再調査請求」を行うことができます。国税不服審判所長に対し申し立てをすることを「再審請求」といい、処分を決定した税務署長に対し申し立てをすることを「再調査請求」といいます。

上記の2つについては「国税不服申立制度」といい、国税不服申立制度は国税不服審判所長や税務署長が決定した課税処分に対して、その処分の変更や取り消しを申し立てることができる制度です。ただし、不服の申し立てには期限があり、「更正すべき理由がない旨の通知書」を受け取った日の翌日から3か月以内となっています。

まずは第一ステップとして、この「国税不服申立制度」を利用し、更正の請求を再度申請するようにしましょう。

訴訟を提起する

上記の「国税不服申立制度」を利用しても、相続税の更正の請求が認められない場合があり、その場合は訴訟を提起することができます。取消訴訟を起こすことができる期限は6か月以内となっており、この期間内であれば裁判所に訴訟をおこなうことができます。

訴訟できる裁判所は以下の3つの裁判所となっています。

訴訟できる裁判所
  • 東京地方裁判所
  • 課税処分を下した税務署長の所在地を管轄する裁判所
  • 納税者の住所を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所

まとめ

相続税の更正の請求については、書類の準備から実際に手続きをおこなうまでに手間と労力を必要とします。また、更正の請求は必ずしも認められる訳ではないことから非常に難易度の高い手続きであるといえます。

更正の請求や修正申告などの手続きは、なるべく発生させないようにしたいところです。しかし、相続においては遺産分割協議の都合上で、更正の請求や修正申告が必要となる場合もあるため、どれだけ気をつけていようとも避けることができないこともあります。そのため、特例の適用や財産評価の誤りなどによって、計算ミスなどをおこなわないことが更正の請求や修正申告を発生させない一番のポイントであるといえます。

ただし、相続税の計算は非常に難易度が高く、専門知識を必要とするため少しでも不安や疑問がある場合は、税理士などの専門家に早めに相談するようにしましょう。

相続税のお悩み一緒に解決しましょう
ご相談はお気軽に

LINEやお電話、メールにてご連絡ください!即日対応させていただきます。

ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。