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相続税対策に借金をしてマンションを買うのは良いのか?

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「相続税対策には借金してマンション買うのがいいって本当?」

「マンションを買う、相続でのメリットを知りたい」

あなたが亡くなってお子さんが財産を引き継ぐとき、お子さんはあなたの負債も引き継ぐことになります。

借金である負債は相続財産から差し引けるので、相続財産の価額を引き下げることが可能です。

そのため、相続税対策には借金してマンションを買うのがいいという話を聞いたことがある人もいるのでは?

この記事では、相続税対策としてマンションを買うメリットとデメリットについて伝えていきます。

現預金と不動産を引き継いだ場合の相続税の比較もまとめていますよ。

この記事を読むことで相続税対策にマンションを買って大丈夫なのかどうか分かるので、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

税理士桐澤

税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。

相続税対策にマンションを買うメリット

相続税対策としてマンションを買うと、以下のようなメリットがあります。

・現預金の縮小
・不動産による評価減
・賃貸向けマンションなら収益も

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

現預金の縮小

まず、マンションを買うメリットとして、現預金を目減りできることが挙げられます。

現預金は、相続財産となった場合も評価が下がらないため、持っている金額の満額が相続財産となります。

つまり、現預金を1億円持っていたとすると、相続財産はそのまま1億円となります。

しかし、預金1億円のうち5,000万円で不動産を購入したとしましょう。

すると、1億円―5,000万円で、現預金を5,000万円に減らせます。

そして、5,000万円の不動産を買った場合は満額が相続財産とはならず、実際の評価は下がることが多いです。

もし購入した不動産の評価額が4,500万円になったら、

現預金5,000万円+不動産4,500万円で、相続財産は9,500万円になります。

立地や築年数によっては、さらに評価額が下がることもあるでしょう。

ただ現金で持っているよりも、相続財産を減らせることが、マンションを買うメリットのひとつです。

不動産による評価減

次に、現預金をマンション、つまり不動産にすることで評価額が下がることもメリットです。

国土交通省のまとめでは、マンションは購入後1年で約10%価値が下がるとされています。

また、マンションは土地と家屋に分けられ、以下のように評価されます。

評価方式計算方法
土地路線価方式路線価※×一定の補正率×地積※公示価格の80%相当が目安
倍率方式固定資産税評価額※×一定の倍率※公示価格の70%相当が目安
家屋固定資産税評価額※×1.0※時価の50%~70%が目安

公示価格とは、売買価格の目安とされる価格で毎年国土交通省から出されています。

たとえば、時価5,000万円の建物を評価した場合、固定資産税評価額なら2,500~3,500万円で評価されます。

同じ価値の財産であっても、相続税では現金と不動産では不動産の方が評価が下がるため、相続財産を抑えることが可能です。

賃貸向けマンションなら収益も

さらに、賃貸向けマンションなら継続的な収益が得られることもメリットです。

すでに仕事を引退している人は年金や預貯金を切り崩す生活となり、それなりの預金があっても不安を感じる場合もあるでしょう。

しかし、賃貸マンションがあれば、安定した家賃収入を継続的に得られます。

賃貸向けマンションで相続税の対策を取りながら、老後の資金不足も解消できれば一石二鳥ですね。

相続税対策でマンションを買うデメリット

相続税対策でマンションを買うことには、以下のようなデメリットも考えられます。

争族につながる恐れがある

売却できない可能性

賃貸マンションは複数のリスクが伴うことも

不動産を購入することで思いがけないトラブルやリスクが発生することもあります。

それぞれのデメリットをチェックしてから、マンションの購入を検討してください。

争族につながる恐れがある

相続が発生した場合に、購入したマンションが争いのタネになる可能性があることがデメリットのひとつです。

お子さんが複数人いる場合に、現預金であれば等分で分けることができます。

しかし、マンションや土地を相続人全員に等しく分けるのは難しいでしょう。

 

不動産であっても、まったく分け合う方法がないわけではありません。

相続した不動産を分ける方法には相続人全員での共有や、相続人のうちの一人が受け取り、残りの相続人にそれ相応の対価を払うことなどがあります。

ただ、実際誰が受け取るのか、対価はどのくらいにするのか、どう分けるのかなど揉める要素は、現預金に比べると非常に多いです。

また、相続が間近に迫っていながら借金をしてマンションを買ったことが租税回避ととらえられ、追徴課税を課せられたケースもあります。

相続時にはどうするか、時期や金額は適正かを相続人全員を交えてきちんと話し合ってから購入を決めることがおすすめです。

心配なことや悩みがある場合には、ぜひ税理士に相談してみてください。

売却できない可能性

購入したマンションが売却できない可能性があることも、マンションを買うデメリットです。

売却できるにしても希望する額に届かない可能性もあるでしょう。

相続人が複数いる場合に、もっとも明確でわかりやすいのが売却して分け合う方法です。

売って分けようとしても、売れずに不動産のまま相続して争いに、という末路も想定できます。

売却できない場合でも納税は可能か、相続人が争わないようにできるかなどを、事前に考えておきましょう。

賃貸マンションは複数のリスクが伴うことも

賃貸マンションを購入した場合には、以下のようなリスクが伴うことも忘れてはいけません。

空室のリスク

相続税評価で特例が適用できない(小規模宅地等)

高額な修繕費・維持管理費

いくら相続税対策のために作ったとはいえ、空室が多いと安定的な家賃収入が得られなくなってしまいます。

また、空室がある部分は貸家とは認められず、相続税で借地権・借家兼割合による減額ができなくなることも挙げられます。

同様に小規模宅地の特例にある、賃貸物件の敷地の評価減が認められなくなることもあるでしょう。

つまり、空室があるとマンションの相続税におけるメリットが目減りしてしまうのです。

さらに、購入から期間がある場合には修繕や維持管理に高額な出費がかかる可能性もあります。

入居者は問題なく入るか、立地はどうかなど、建てた後のことも考えて置くことが重要です。

現預金と不動産にかかる相続税の比較

ここでは、現預金と不動産をそれぞれ同額持っていた場合に、それぞれにかかる相続税を比較していきます。

相続財産1億円、相続人は配偶者なし、子2人と仮定します。

具体的な数字を上げてみていくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

現預金を相続した場合

まず、1億円分の現預金を相続した場合を考えてみましょう。

法定相続人が2人の場合は、3,000万円+600万円×2人で4,200万円の基礎控除が認められます。

現預金は100%そのまま評価されるので、

1億円―4,200万円=5,800万円に相続税が課せられることになります。

上記を相続税の速算表にあてはめると、1人あたり385万円、2人合わせて770万円が相続税です。

不動産を相続した場合

次に、時価1億円の土地付き賃貸マンションを相続した場合を考えます。

概算ではありますが、時価1億円のマンションを特例を使って評価するとおよそ3,800万円※ほどになります。

※空室がなく、小規模宅地の特例や借地権・借家権が問題なく認められた場合

マンションの評価額3,800万円は、基礎控除額4,200万円を下回るため、相続税は0円となります。

借金でマンションを購入したときの相続税

最後に、1億円の現預金がある人が、1億円借り入れて土地付き賃貸マンションを買った場合を考えてみましょう。

現預金1億円は借入金1億円で相殺されるため、手元に残るのは、土地付き賃貸マンションのみとなります。

土地付き賃貸マンションだけの相続税は0円なので、相続税の支払いはありません。

まとめ:借金でのマンション購入は慎重な検討が必要

今回は、借金してマンションを購入するのは相続税対策になるか、について解説しました。

借金をしてマンションを購入すれば、相続税額を抑えられる可能性は十分にあります。

ただし、相続財産に不動産を遺すことで争族や空き家のリスク、マンション購入に現預金をあてることで納税資金が不足するなどの問題も考えられます。

特に、お子さんが複数人いる場合は、相続税対策のための不動産購入は慎重に考えましょう。

また、借入やマンション購入後すぐに相続が発生した場合は、相続税回避を疑われ、追徴課税が課せられるリスクもあります。

相続税対策にお悩みの方は、税理士への相談がおすすめです。

響き税理士法人のスタッフ

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ABOUT US
税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。