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故人の未払いの固定資産税の扱いについて

相続税の計算をおこなう際は、被相続人が生前抱えていた借金や未払金などの債務を控除できる「債務控除」という仕組みがあります。そのため、現金や預貯金、土地や建物などのプラスの相続財産だけでなく借金や未払金などのマイナスの相続財産についても、漏らすことなく集計することが重要になります。

相続税の申告ではプラスの財産ばかりに気を取られてしまい、見落としがちな債務控除ですが、その中でも固定資産税の取り扱いについては税理士でも間違えている場合があります。そこで今回は相続税の計算における固定資産税の取り扱いを中心に、固定資産税の基礎的な部分を含めた範囲で解説していきます。

故人の固定資産税は債務控除の対象?

故人が残した固定資産税の未納付部分は債務控除の対象になります。固定資産税については土地や建物などの不動産を所有している人に対して課税される税金であるため、「相続した人が支払うべき税金だから債務控除にならないのでは?」と考えてしまいがちです。

しかし、固定資産税は本来であれば亡くなった故人が支払うべき税金であるため、相続税の申告時には債務控除として相続財産から差し引くことができます。

債務控除とは

相続税を計算する際に被相続人が持つ借入金や未払金といったマイナスの財産があった場合、土地や建物、現金や預金などのプラスの財産から差し引いて相続税を計算することができます。このことを「債務控除」といいます。

債務控除は多ければ多くなるほど相続財産を減らすことになるため、最終的な相続税を減らすことにつながります。そのため、債務控除の対象となるものを漏らすことなく計上することで、相続税を節税することができます。

ただし、被相続人が支払うべき債務であれば何でもよいという訳ではなく、債務控除の対象となるものと対象にならないものを理解しておくことが重要です。

債務控除に該当するもの

債務控除に該当するものとして次のようなものが挙げられます。

債務控除に該当するもの
  • 借入金
  • 固定資産税
  • 住民税
  • 所得税
  • 消費税
  • 医療費
  • 水道光熱費
  • 電話代などの通信費
  • 買掛金
  • 未払金
  • 敷金の預り分
  • 支払期日の到来していない前受家賃
  • 保証債務や連帯債務(保証人が債務を履行する必要があり、主たる債務者に弁済を受けることが見込めない場合のみ)
  • クレジットカード等による未決済取引

など

債務控除に該当しないもの

債務控除に該当しないものとして次のようなものが挙げられます。

債務控除に該当しないもの
  • お墓や仏壇などの相続税の非課税財産に該当する債務
  • 相続手続きで発生した弁護士費用
  • 相続手続きで発生した税理士費用
  • 相続手続きで発生した相続登記費用や司法書士報酬
  • 遺言執行費用
  • 団体信用生命保険で補填される住宅ローン
  • 相続手続きで発生した戸籍謄本や諸証明書等取得費用
  • 保証債務や連帯債務(保証人が債務を履行する必要があるが、主たる債務者に弁済を受けることが見込める場合)
  • 遺品整理費用

固定資産税はどのように計算されるのか

固定資産税の基本的な計算は次の計算式でおこなわれます。

固定資産税の算定基礎となる課税標準額については、特例や軽減措置などによって変動するため、必ずしも評価額がそのまま課税標準額となるとは限りません。

たとえば
  • マイホームの住宅用地:200㎡までの部分の課税標準額は評価額の6分の1で計算する
  • 新築住宅:120㎡相当分までは固定資産税額を半額で計算する

などの特例があり、特例に関しては各市区町村で取り扱いが異なるため、詳しくは市区町村の担当窓口にお問合せください。また、一般的に固定資産税の税率は1.4%となっていますが、地域によっては異なる税率となっている場合もあるため注意が必要です。

固定資産税の課税対象となる財産は?

固定資産税の課税対象となる財産は、

課税対象の財産
  • 土地
  • 建物
  • 償却資産
となっており、1月1日時点で土地や家屋、償却資産を所有し固定資産課税台帳に登録されている人に対して課税されます。そのため、新築建物や中古建物、マンションなどをはじめとする建物や山林や田畑などをはじめとする土地が課税対象となります。

固定資産税はあくまでも所有者に対して課税される税金であるため、賃借人などに対しては課税されないことになっています。相続が発生した際に、

「どの不動産を所有しているかわからない」

「固定資産税がいくら発生しているのかわからない」

「不動産の価値がいくらになっているのかわからない」

といった場合は、毎年市区町村から送付される「固定資産税納税通知書」を確認することで解決することができます。

固定資産税納税通知書には、

  • 物件の種類(土地や建物など)
  • 物件の住所
  • 物件の詳細(地番、地目、地積、家屋番号、構造、床面積など)
  • 固定資産税評価額
  • 固定資産税課税標準額
  • 固定資産税額
などが記載されているため、万が一紛失している場合は市区町村に相談し、再発行してもらいましょう。また、固定資産課税台帳を取得することも1つの方法です。固定資産課税台帳には次の項目などが記載されているため、故人が所有していた不動産について網羅的に把握することができます。

  • 所有者の氏名
  • 物件の住所
  • 物件の詳細(地番、地目、地積、家屋番号、構造、床面積など)
  • 固定資産税評価額
  • 固定資産税課税標準額
  • 固定資産税額

償却資産税とは

償却資産とは土地や建物以外の事業用資産のことをいい、その減価償却費が損金または必要経費に算入されるものをいいます。具体的には次のような資産が償却資産に該当します。

資産区分 具体例
構築物
  • 舗装路面
  • 庭園
  • 門扉
  • 緑化施設等の外構工事
  • 看板(広告塔)
  • ゴルフ練習場設備
  • 受変電設備
  • 予備電源装置

など

機械装置
  • 各種機械装置
  • クレーン等建設機械
  • 機械式駐車設備

など

船舶
  • 漁船
  • 釣船
  • 遊覧船
  • ボート

など

航空機
  • 飛行機
  • ヘリコプター
  • グライダー他

など

車両運搬具
  • 大型特殊自動車

など

工具器具備品
  • パソコン
  • 看板(ネオンサイン等)
  • 医療機器
  • 測定工具

など

固定資産税は1月1日が基準日

固定資産税は毎年1月1日時点において、土地や建物の所有者として固定資産課税台帳登録されている人に対して課税される税金であるため、基準日は1月1日となります。

一般的に、「 固定資産課税台帳に登録されている = 登記名義人 」となっている場合が多いですが、登記名義人と固定資産税の納税義務者が異なる場合もあります。また、未登記物件に関しては市区町村などが現地調査などを独自におこなうことで、固定資産課税台帳に名前が登録され、固定資産税が課税される仕組みとなっています。

故人の固定資産税は誰が支払うべき?

故人の固定資産税については納税義務が故人にあるため、相続人同士の話し合いで誰が支払うのかを決める必要があります。固定資産税の納付期限が迫っている場合は相続人の中から代表者を決め、ひとまず納税を済ませておくことが一般的となっています。

一時的に代表相続人が納めるかたちになりますが、代表相続人が固定資産税が課税されている不動産を相続するわけではないため、遺産分割が終わり次第、相続人同士で清算する必要があります。

共有不動産は持分に応じて納税義務が発生する

相続によっては遺産分割ができずに翌年の1月1日を迎えてしまう場合があります。固定資産税は毎年1月1日が課税基準日となっているため、この場合における納税義務者は相続人全員となってしまい、共有名義のようなかたちになってしまいます。

しかし、登記上は被相続人のままとなっているため、固定資産税の納付書は被相続人宛てに送られてしまいます。そのため、相続人がそれぞれ納税義務を負うが、納付書は被相続人宛てに届くという状態になってしまいます。

それを避ける手段としては、「相続人代表者指定届」を市区町村に提出する方法があります。相続人代表者指定届を提出することで、市区町村から代表相続人宛てに納付書が郵送されます。

遺産分割協議が終わるまでの固定資産税の納税義務

遺産分割協議が終わるまでの固定資産税の納税義務については、

  • 代表相続人が一時的に立て替える場合
  • 相続人が法定相続分に応じて負担する場合
など、相続人同士の話し合いで決めることになります。あくまでも一時的な納税義務であるため、遺産分割によって不動産を相続する人が決まり次第、翌年以降の納税義務が新所有者に移るかたちになります。なお、1月1日までに遺産分割協議が完了し不動産の相続登記まで完了している場合は、不動産の名義人宛に固定資産税の納税通知が届くようになります。

固定資産税の相続手続きの流れ

固定資産税の相続手続きについては、相続登記が主な手続きになります。一括りに相続登記(所有権移転登記)といっても、相続の種類や状況に応じて登記申請をおこなう必要があり、

固定資産税の相続手続きの流れ
  • 公正証書遺言がある場合の「所有権移転登記」
  • 自筆証書遺言がある場合の「所有権移転登記」
  • 遺産分割協議によっておこなわれる「所有権移転登記」
  • 数次相続(※1)によっておこなわれる「所有権移転登記」
  • 法定相続割合によっておこなわれる「所有権移転登記」
など、相続の内容によって適切な申請手続きをおこなわなければなりません。また、不動産の登記名義人が被相続人名義ではないケースも珍しくはなく、そのような場合には登記名義人からの相続登記をおこなう必要があります。

たとえば
固定資産税の納税義務者が被相続人となっており、登記名義人が被相続人の両親となっている場合は両親から被相続人への相続登記から手続きをおこなうことになります。

そのため、相続登記をおこなわない状態のままでいると、後々の相続手続きにおいて非常に面倒な手間と労力がかかってしまうことになるため、必ずおこなうようにしましょう。

(※1) 数次相続とは被相続人が死亡し、遺産分割協議中に相続人が死亡してしまい、新たな相続が発生している相続のことをいいます。

相続登記を忘れると罰則がある?

相続登記についてはこれまで登記期限が設けられていませんでしたが、今後は相続登記が義務化され、相続登記をおこなわなかった場合は罰則が設けられることになっています。相続登記の期限は3年以内とされており、罰則については10万円以下の罰金刑もあることから、必ず相続登記をおこなうよう気をつけなければなりません。

ただし、相続登記については様々な資料を準備する必要があるため、

「相続登記で何を準備したらよいのかわからない」

「相続登記したいけど中々時間がつくれない」

といった場合は、司法書士に相続登記を依頼するようにしましょう。相続登記については登記する物件の数などによって変動しますが、一般的に5万円~10万円前後が相場となっています。

まとめ

相続税を計算するうえで固定資産税は債務控除の1つであり、場合によっては非常に大きな控除となります。そのため、相続財産を集計する漏れがないように注意しなければなりません。

また、相続税の手続きについては固定資産税だけに限らず非常に難易度の高いものになっています。誤った知識のままで相続税の申告をおこなってしまうと損をするだけでなく、罰則を受けてしまう可能性もあるため、なるべく税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続税について少しでも不安や疑問がある場合は、まずは相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。