両親などが亡くなったら、色々な手続きをしなければいけませんよね。その中でも、相続に関する手続きは、みなさん頭が痛いことでしょう。
●相続財産に、土地や建物などの不動産がある場合
●相続する人が、多くいる場合
などは、決めなければならない事が多くて、特に大変です。
それでは、そんな大変な『不動産を相続する場合の名義変更の流れと費用』について、確認していきましょう。
法律・税金系ライターとして活動中。特に相続税や不動産関係の記事を得意とする。宅地建物取引士、簿記2級、FP技能士3級、第一種衛生管理者、防火管理者、損害保険募集人普通、WEBクリエイター能力認定試験エキスパート、古物商許可証など保有。2022年4月には行政書士事務所を開業予定。
この記事の監修者
税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。
1.相続人や、不動産などの相続財産を確認する
1)相続人を確認する
亡くなった方(被相続人)の「生まれてから亡くなるまで」の戸籍謄本や除籍謄本などを、役場で取得して、財産を相続する権利がある人を確定します。
2)遺言書を確認する
亡くなった方が、遺言書をのこされていないか確認します。
●公正証書で、遺言を作成している場合は、公証人役場で調べてもらいます。
●遺言書を自筆している(自筆証書遺言)場合は、開封しないで、家庭裁判所に持っていき確認してもらわなければいけません。
3)不動産などの相続財産を確認する
亡くなった方が、所有していた財産すべてを確認します。
プラスの財産も、マイナスの財産も、全て調べなければいけません。
確認もれがあると、遺産分割のやり直しなどをしなければいけなくなりますので注意が必要です。
また、借金などのマイナス財産の方が多い場合は、相続放棄することも考えなければいけません。
不動産については、固定資産税を納付していれば、当然、はっきりとしています。
原野や山林などを持っている可能性がある場合は、役場で名寄帳を取得し調べましょう。
●相続財産の具体例
- 預貯金、現金
- 株式、債権などの有価証券
- 生命保険など
- 不動産(土地、建物など)
- ゴルフ会員権など
- 美術品、貴金属など
- 貸付金
- マイナス財産(借金など)
2.遺産分割協議を行う
1)財産を相続する人で、相続財産をどのように分けるか決めます。
①遺言書がある場合
遺言書に基づいて、相続財産の分割をします。
②遺言書がない場合や、遺言書にない財産がある場合
相続人で、相続財産の分け方を、話し合います。
(遺産分割協議)
2)相続財産の分け方が決まったら、相続人全員が署名・実印で押印します。
相続財産のすべてを、一度で決めなくてよいので、決まったタイミングで、財産を取得する人に移転手続きすることも出来ます。
3)相続財産の分け方の話し合いがうまくいかず、トラブルになりそうな時
相続人だけで話し合いをしても、どう分割していけばよいか分からなかったり、うまくいかないことがあります。
トラブルになりそうな時や、トラブルに発展した時は、相続に関する相談窓口のある弁護士事務所に相談することを考えた方がよいでしょう。
3.相続登記(不動産の名義変更)する
遺産分割協議が終わったら、相続した不動産の名義変更ができます。
土地や建物などを相続した場合は、所有権移転登記が必要になります。
この手続きが終わると、不動産の名義が、亡くなった方から、相続した配偶者や子供に変更されます。
1)名義変更に必要な書類などを取得する
相続登記(不動産の名義変更)する際には、書類の用意が必要になります。
法務局や市町村役場など複数のところから取得しなければいけませんので、早めに準備しておくとよいでしょう。
必要書類は、下記①または②となります。
①法定相続人が1人、または法定相続分で相続する場合
- 亡くなった方(被相続人)の「生まれてから亡くなるまで」の戸籍謄本
- 亡くなった方(被相続人)の除籍謄本
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 相続関係説明図(任意)
②遺産分割協議で決めた割合で相続する場合
- 上記①の書類
- 法定相続人の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
2)法務局で相続登記を申請する
相続登記の必要書類がそろったら、法務局で申請しましょう。
申請するのは、名義変更する不動産の所在地を管轄する法務局となります。
登記申請するには、上記①または②の書類(添付書類)と、「登記申請書」を提出します。
申請書は、法務局に見本などがありますので、参考にするとよいでしょう。
4.相続登記(不動産の名義変更)にかかる費用
1)相続登記にかかる費用
①登録免許税:不動産の固定資産評価額の0.4%
②必要書類の取得費:状況によりますが5,000円から1万円程度
③司法書士手数料:依頼内容により3万円から15万円くらい
2)自分で行う場合
上記①登録免許税:不動産の固定資産評価額1,000万円の場合に4万円
上記②必要書類の取得費:状況により5,000円から1万円程度
3)司法書士に依頼する場合
上記③司法書士手数料:
- 相続登記のみ依頼する場合は、3万円から7万円程度
- 相続人調査、戸籍謄本など必要書類の取り寄せ、遺産分割協議書作成を含め、相続登記まで全て依頼する場合は、7万円から15万円程度
実費として、上記①②の費用も別途、必要となります。
4)司法書士に依頼した方がよい場合
- 忙しく、自分で手続きをする時間がない場合
- 不動産の権利関係が複雑な場合
- 相続人が多い場合
- 相続する不動産が多い場合
- 相続する不動産が遠方にある場合
- 遺産分割協議書の作成を含め、アドバイスが必要な場合
- 相続人同士が不仲や疎遠な場合
- 相続登記を早く行いたい場合
- 相続人が配偶者や子供以外の場合
- その他、複雑な事情のある場合
費用対効果などを総合的に考えて、検討するとよいでしょう。
5.まとめ
両親などが亡くなり相続が発生した場合、まず相続人や相続財産を確認します。
- 相続人を確認する
- 遺言書を確認する
- 不動産などの相続財産を確認する
次に、遺産分割協議を行います。
- 相続財産の分け方を決める
- 決まったら、相続人全員が署名・実印で押印する
- 遺産分轄協議が整わない場合や、トラブルになりそうな場合は、弁護士などに相談する
そして、遺産分割協議が終わったら、相続登記します。
- 必要書類を取得する
- 法務局で相続登記を申請する
相続登記にかかる費用を確認します。
(不動産の固定資産評価額1,000万円の場合)
- 自分で行う場合は、登録免許税4万円と必要書類の取得費1万円で合計5万円ほど
- 司法書士に全てを依頼する場合は、手数料7万円~15万円と実費5万円ほど
遺言書もあって、相続人も少なく、シンプルな場合は、相続人が自分で手続きすることは可能でしょう。
ただし、手続きに時間や手間がかかる場合や、複雑な事情がある場合などは、費用対効果などを考えて、司法書士など専門家に依頼することを検討すると良いでしょう。
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。
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