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遺言執行者報酬の相場と報酬の記載例

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遺言を確実に実現してもらうために設定する遺言執行者ですが、その仕事内容はとても大変で、大きな責任を伴います。

そのため基本的には報酬が発生するのですが、明確な報酬規程がないこと、さらに弁護士や司法書士など依頼する人によっても相場に違いがあるため「いくら払ったらいいの?」と迷われる方が多いのが現状です。

そこで本章では、遺言執行者報酬の相場に焦点を当て、遺言書の記載例も含めて解説していきます。

この記事の監修者

税理士桐澤

税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。

大まかな相場は遺産総額の1~3%

電卓とボールペンと一万円札

遺言執行者の報酬相場は、大まかには遺産総額の1~3%で、遺言内容の難易度や手間の度合いによって上下します。

たとえば
遺産総額が1億円の場合の報酬は100~300万円、1,000万円であれば10~30万円という計算になります。遺産が少ない場合であっても、10万円というのはさすがに少ないと感じられることもあるため、最低でも30万円という考え方もあります。

特に、相続人などの親族に依頼する場合には、気持ち的な配慮が大きくなりやすいでしょう。あくまでも遺産総額の1~3%というのは、「大まかな相場」であることをご理解ください。

依頼先による相場

相談窓口と書かれた積み木と人と家のおもちゃ

遺言執行者報酬が悩ましくなる大きな原因は、誰に依頼をしたかで相場が異なる点にあります。特に、弁護士や司法書士などへ依頼する場合は、料金体系が設けられていることがほとんどです。

当然ながら、先方は仕事として利益を得るために請け負いますので、相続人など一般の方へ依頼した場合よりも高額になる傾向があります。それでは、遺言執行者報酬の大まかな相場を知ったところで、次に依頼先ごとの相場を確認していきましょう。

弁護士

弁護士報酬は、現在では弁護士が自由に設定することができるようになっていますが、ほとんどの弁護士が2016年3月まで定められていた日弁連の報酬規程をそのまま使っています。

遺産総額報酬額
300万円以下30万円
300万円超~3,000万円遺産総額×2%+24万円
3,000万円超~3億円遺産総額×1%+54万円
3億円超遺産総額×0.5%+204万円
たとえば

遺産総額が1億円だった場合には、1億円×1%+54万円=154万円となります。
大まかな相場では100~300万円ですから、ちょうどその中間ということになりますね。

ただ、自由報酬になっている点を忘れないようにしましょう。依頼する弁護士によっては、数十万の差がある可能性がありますので、事前に見積もりを取ることが重要です。

司法書士

司法書士は、弁護士のように参考にできる報酬規程などがありません。司法書士によるという以外にありませんので、ホームページに遺言執行者報酬を公表している司法書士を無作為に5社選んで計算してみると、遺産総額1億円の場合の相場は40~150万円前後のようです。

一般的に、弁護士よりも司法書士の方が報酬が低いイメージがありませんか?しかし、依頼する司法書士によっては弁護士を超える報酬になる可能性があることが分かります。

税理士

税理士も司法書士と同様に、明確な報酬規程はないため税理士ごとに異なります。

ホームページに遺言執行者報酬が載っている税理士事務所5社を無細工に選んで計算した相場は、50~150万円となりました。司法書士と同等程度と考えて良いでしょう。

相続人

相場は遺産総額の1~3%です。

これまで紹介した専門家は、基本的には先方の方で報酬の指定があるのに対して、相続人など親族が遺言執行者になる場合には、真っ白な状態で遺言執行者報酬を決めなければなりません。多すぎても少なすぎてもトラブルの原因になってしまいますので、遺言執行者の負担や責任と、専門家への報酬を考慮しながら慎重に決めましょう。

遺言執行者本人と話し合って、事前に折り合いを付けておくと安心です。

遺言執行者報酬を決める流れ

 

裁判所の看板

遺言執行者報酬は次のような流れで決定します。

  1. 遺言書に従う
  2. 遺言執行者と相続人全員での協議で決める
  3. 家庭裁判所に決めてもらう

では、流れに沿って解説していきましょう。

① 遺言書に従う

遺言書に遺言執行者報酬が記載されている場合には、基本的には専門家・相続人を問わずその金額に従います

遺言書に記載がなかった場合、記載された報酬額が相場よりも低いなどを理由に拒否された場合には、遺言執行者と相続人全員の協議へ進みます。

② 遺言執行者と相続人全員での協議で決める

遺言書で報酬が決まらなかった場合には、遺言執行者と相続人全員が話し合いを行います。この場合の相場は、遺産総額の1~2%といわれています。

協議によっても決まらない場合には、最終的に家庭裁判所への申立に進むことになります。

③ 家庭裁判所に決めてもらう

協議が整わない場合や、協議自体を行えない場合など、当事者だけで解決できない場合には、家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立」を行って、報酬額を決定してもらいます。

遺言執行者報酬は遺言で決めておこう

遺言書

遺言執行者は、遺言内容を確実に実行してくれるうえに、残された家族の負担も大きく軽減してくれる重要な人です。遺言者が自身の死後に家族のためにできることのひとつでもありますね。

ただし、遺言執行者報酬が決まっていないと、せっかく設定した遺言執行者が家族の負担になってしまう可能性があるので注意しましょう。遺言執行者を設定するのであれば、報酬まで決めておくことをおすすめします。

遺言書の記載例

第〇条 本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
住所:東京都千代田区○○町〇丁目○○番○○号
氏名:弁護士 遺言太郎
連絡先:03-1234-5678

第〇条 遺言執行者への報酬は遺産総額の1%とする。
弁護士遺言太郎氏には依頼のうえ、承諾を得ている。相続開始と同時に連絡すること。

まとめ

今回は、遺言執行者報酬の相場について解説しました。要点をまとめておきましょう。

  • 遺言執行者報酬の大まかな相場は「遺産総額の1~3%」
  • どの専門家も自由報酬であるため事前の確認が必須
  • 相続人に依頼する場合には、遺言者の生前にしっかり話し合って決めておく
  • 遺言執行者の報酬まで遺言書に記載しておく
響き税理士法人のスタッフ

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税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。