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親子間の金銭消費貸借契約書の書き方は?注意点についても!

税理士友野
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親子間でお金の貸し借りをするとき、きちんと契約書を交わしていますか?親子だし、書面まで準備する必要ないでしょ?と思われる方も多いかと思います。

しかし、きちんと契約書を交わしていないと贈与税の課税対象になることも…。親子間であってもしっかりと契約を交わすことが重要です。では、実際どのような契約書が必要なのでしょうか?記入や作成にあたっての注意点についても紹介しますよ。

それでは、今回は「親子間の金銭消費貸借契約書の書き方は?注意点についても!」についてお伝えしていきます!

親子間での金銭消費貸借契約書が必要な理由

「金銭消費貸借契約書」というもの、ご存知ですか?「金銭消費貸借契約書」とは、お金の貸し借りをする際にかわす契約書。

貸主からお金を借りて、借りた金額と同じ額のお金(利息がある場合は利息も含む)を返すという契約を結ぶときに作成します。わかりやすくいえば「借金するための契約書」ということ。親子間で金銭消費貸借契約書を結ぶことで「お金をあげたのではなく、貸して、返してもらっていますよ」という証明になります。

実は、親子間では契約書なしでお金を貸し借りした場合、税務署は「貸した」のではなく「あげた」と見なすことが。これにより、場合によっては贈与税が課税されることも。贈与税の税率は相続税よりもずっと高く、控除される金額も少ないので多くの税金を支払う可能性があります…。

そこで、贈与税の課税対象ではないことを証明するするために、重要になるのが「金銭消費貸借契約書」なのです!「金銭消費貸借契約書」の詳しい説明はこちらの記事をご覧くださいね。

なぜ親子間でも必要になるの?

親子間で金銭消費貸借契約書が果たす役割について少し説明しました。しかし、親子間で契約書なんて、作成や手続きが少し手間に感じますよね…。

では、作成の手間があっても金銭消費貸借契約書は本当に必要なのでしょうか?契約を交わした方がよい金額の目安は?もう少し詳しく、その理由について見ていきましょう。

贈与を疑われる可能性があるため。

親子間で「金銭消費貸借契約書」を作成するのはお金のやりとりが「贈与税」と見なされないため、とお伝えしました。実際に、平成15年12月、金銭消費貸借契約書を交わさずに親族関係で資金移動をし、結果的にこのやり取りが贈与であると判決を出された事例があります。

最高裁判所公式サイト  贈与税決定処分取消請求の判例

贈与税の支払い義務が生じた場合、税務署に申告・納付を行う必要があります。これを怠るとただでさえ高い税率の贈与税にさらに重いペナルティが課せられる可能性が…。このような贈与税の課税を未然に防ぐためにも金銭消費貸借契約書は作成しておくべきでしょう。

贈与税とは?

贈与税とは、個人が個人から財産を受け取ったときに発生する税金です。贈与する人のことを「贈与者」、受ける人のことを「受贈者」と呼びます。一般的には親御さんが贈与者、お子さんが受贈者となるケースが多いでしょう。

たとえば
住宅の購入の際などに親がまとまったお金を子に貸すということはよくありますよね。

このとき、子が親に返済や利子の支払いをしないで、親も返済を催促せずに「あるとき払い」や「出世払い」で済ませようとしていませんか?上記のような場合には、実質的に贈与が行われたと税務署に判断されてしまい、子が贈与税を支払う可能性が。

このことは国税庁のHPにもしっかり記載されています。知らなかったでは済まされませんね。
国税庁公式サイト タックスアンサー

ちなみに、教育費や生活費など通常必要と認められるものについては贈与税はかかりませんよ。

契約を交わした方がよい金額の目安

契約を交わした方がよい金額は、具体的に「いくらから」という決まりはありません。ただし、金額については注意するべき点があります。それは「借主が返済可能な金額を借りること」。借主の貯蓄や収入を考えて、実際に返済可能と考えられる金額よりも大きく上回る金額を借り入れるのはやめましょう。この場合もまた、贈与を疑われる可能性が高くなるため注意が必要です。

一般的に、金融機関では貸付の判断をするとき、年収の一定割合の返済額であるかを確認します。年間の返済総額が年収の30~40%以内であることを目安にしましょう。このとき、他のローン返済があればその額も含め40%以内にしてください。

また、利子をどうするかについても考えておきましょう。きちんと返済をしていても、親子間であれば利子をつけずに貸し出すこともありますよね。

しかし、このような取引は、税務署に『利子分の支払い金額を贈与している』と判断されることがあります。本来、支払う必要がある利子を支払わずに済んでいるため『利子分の金額の利益を受けている』とみなされるのです。その場合、暦年課税の贈与税であれば110万円を超える金額は贈与税の課税対象に。利子は、銀行借入の相場を目安に設定されます。

たとえば
2%の利子を支払うと仮定しましょう。利子分だけで贈与税の基礎控除110万円を消化してしまうのは、5,500万以上借り入れた場合です。

親子間とはいえ、ここまで高額な金額の貸し借りはちょっとありえませんよね。したがって、利子についてはそこまで目くじらを立てる必要はないでしょう。しかし、利子以外に、財産を贈与する場合はあわせて110万円を超えることがあります。そのような場合には、他の財産との兼ね合いを考えることが必要です。

具体的な金銭消費貸借契約書の作成方法

親子間でお金の貸し借りをする場合、金銭消費貸借契約書が重要なことがわかりました。それでは、実際どのように作成していけばよいのでしょうか?

続いては、具体的な記載内容と作成方法についてお伝えします!

金銭消費貸借契約書の記載内容

金銭消費貸借契約書の作成には、下記の項目を記載します。

金銭消費賃借書記載項目
  • 借入金額
  • 返済期間
  • 返済方法
  • 利率などの借入条件
  • 貸主と借主それぞれの住所、署名または記名・押印
  • 日付
  • 借入金額に応じた収入印紙を貼付・消印
上記の項目は、作成する際に必ず記載するようにしましょう。

また、これ以外にも必要に応じて遅延損害金や期限利益の喪失、連帯保証人などを記載します。記載するかどうかはお互いによく話し合って決めましょう。

項目ごとの細かな説明と、設定するときの注意点をお伝えします。

借入金額

年間の返済総額が借主の年収の30~40%以内を目安に設定しましょう。金額の漢数字は『壱』や『弐』、「萬』など大字を使用し、文字間隔を空けずに記載してください。これにより、後から改ざんしていませんよ、という確実性が増します。

返済期間

貸主である親後さんの年齢を考えて決定しましょう。完済するときに親御さんの年齢が100歳を超えてしまうような場合、常識的な貸し借りとは考えにくいですね。返済する気がなく、贈与であるとみなされることも。

返済方法

「持参払い」ではなく、「銀行振込」にしましょう。振込用紙や預金通帳で金銭のうごきを確実な証拠として残せます。

また、借り入れてから返済開始まで少し待ってもらいたいというケースもあるでしょう。このような場合は、いつから返済を始めるかを契約書に記載します。記載がなく返済が滞っていると、例のごとく「贈与」とみなされる可能性が。

また、返済開始までの期間(据え置き期間と呼ばれます)が大幅にあると、返済期間を決めるとき同様、親御さんの年齢によっては返済の意思がないと判断される場合もあります。据え置き期間を設けるときは、完済する時点での親御さんの年齢を考慮し、取り決めましょう。

利率や利息について

当事者間で取り決めることができるので、無利子でも問題はありません。しかしながら、可能であれば、ある程度の利子を設けた方がよいでしょう。

先ほど説明したとおり、利子分をお子さんに贈与しているとみなされることがあります。利子をつける場合は、銀行の金利の相場を参考にすることが多いです。

署名または記名・押印

署名は自筆で記載したもの、記名はパソコンなどで記載した名前のことを言います。自筆であれば、基本的に押印は必要ありません。しかし、確実性を持たせるために押印する場合が多いですね。

記名で済ませる場合は必ず「実印」を押印してください。できれば、印鑑証明書を貼付するとさらに真正さを増します。「認印」は誰でも手に入るため、所有者本人が押印したものと立証できません。

日付

年号からしっかり記載しましょう。通帳や振込用紙に記載された日付と比較することでその日に貸し借りがあったということがしっかり証明できます。

収入印紙

借入金額に応じたものを準備します。100万~500万円以下の借入金額では2,000円の収入印紙が必要です。その他の金額は国税庁のHPから確認できます。
国税庁 印紙税額HP

収入印紙を貼る場所は、左上の余白部分が一般的です。契約書と収入印紙の模様部分にまたがるように「消印」を押しましょう。印紙が貼られていなくても、契約書が無効になることはありません。しかし、印紙の貼付がなかったり、印紙額が不足していたりする場合は、本来貼付すべき印紙税額の3倍の金額の過怠税がかかります…。

注意点は?

続いては作成や保管、実際のお金のやり取りについての注意点を説明します。注意点は以下の通りです。

注意点
  • 金銭消費貸借契約書は2通作成する
  • 公証役場で確定日付をもらう
  • お金を動かすのは、契約を結んだ当日もしくはそれ以降に。
  • 金銭のやり取りはできれば銀行経由
  • 贈与税の申告漏れは必ずばれる!
金銭消費貸借契約書は2通作成し、貸主と借主の両方が1通ずつ手元に保管します。借用書と異なり、1通作成し貸主が保管するという形ではありません。

また、記載した日付に誤りや改ざんがないことを証明するため、公証役場で確定日付をもらっておくと安心でしょう。契約者以外の代理人でもらうことも可能で、一通700円の手数料がかかります。

確定日付とは、『変更のできない確定した日付』のことで、その日にその契約書が存在していたことを証明するものです。ここで注意するべきなのは、確定日付が証明できるのは「日付」だけということ。契約書の成立や内容の真実性について公証するものではないため、内容については一切証明はされません

実際にお金の貸し借りを行うのは、金銭消費貸借契約書を締結し、公証役場で確定日付をもらってからにしましょう。通常、他人との契約であれば、契約書を交わしてから現金のやり取りをするのが一般的ですよね。

当たり前のことではありますが、契約を交わしてからお金を動かすことも大切です。先にお伝えしましたが、お金のやり取りは基本的に銀行を経由しましょう。

数年間に渡ることが予想される返済において、細かい日付や金額まで覚えておくことは困難ですし、毎月記載するのもかなり骨が折れますよね。そこで、銀行口座振込を使って貸付や返済を行うと、通帳や口座の取引履歴に相手との入出金のやりとりが記録されます。どうしても現金でのやり取りが必要であれば、領収証を発行・保管する、メモ等取引の履歴を作成し、第三者にもわかるようにしておきましょう。

また、親御さんから現金で借り入れた際、それを一度、全額銀行に預け入れるのもひとつの手です。通常預け入れだけでは通帳に相手先が記載されませんが、手書きでも構わないのでその金額の近くに「○○から借入」などの記載をしておくだけでも記録として残ります。契約書を交わした日付と照らし合わせれば、借入の事実がわかるでしょう。

最後に、「現金の貸し借りをして、実際のところ贈与になるかもしれないけど、バレないでしょ?」と思っている方、いませんか?贈与があった場合、税務署には確実にバレます

まず、借りたお金で住宅を購入した場合、税務署から「お尋ね」と呼ばれる財産の確認の書類が届きます。このお尋ねに対して、回答していくと贈与が発覚するケースが一般的です。住宅の購入などをしない場合には、すぐに税務署にバレることはないでしょう。しかし、親御さんが亡くなったときには必ずバレると思っていてください。

死亡届を役所に提出すると、それが税務署にも通知されます。税務署は死亡した方の過去の所得や預金の流れをきっちりと調査し、相続税が発生するかどうかを確認。その中で、記載や申告のない不自然なお金の動きがあると相続人に対して贈与の確認が行われます。このようにして、贈与の申告漏れはバレるのです。

まとめ

いかがでしたか?今回は「親子間の金銭消費貸借契約書の書き方は?注意点についても!」についてお伝えしました。親子間でのお金の貸し借りに金銭消費貸借契約書が必要な理由は『贈与を疑われる可能性があるため。』でした。

親子間での金銭消費貸借契約書について記載する項目は以下の通りです。

金銭消費賃借書記載項目
  • 借入金額
  • 返済期間
  • 返済方法
  • 利率などの借入条件
  • 貸主と借主それぞれの住所、署名または記名・押印
  • 日付
  • 借入金額に応じた収入印紙を貼付・消印

作成や保管についての注意点は以下の通り。

注意点
  • 金銭消費貸借契約書は2通作成する
  • 公証役場で確定日付をもらう
  • お金を動かすのは、契約を結んだ当日もしくはそれ以降に。
  • 金銭のやり取りはできれば銀行経由
  • 贈与税の申告漏れは必ずばれる!

作成には手間もかかりますが、大切なお金のやり取りです。親しい親子間であっても、しっかり契約書の取り交わしを行いましょう。

契約書の作成には、身近にいる税理士さん行政書士さんに相談するのもよいでしょう。お金の貸し借りをする際にはきちんとした金銭消費貸借契約書を作成し、良好な親子関係でいたいものですね。

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税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。