遺言とは?税理士が分かりやすく解説します!

税理士友野
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親族が亡くなった時、遺言が相続する財産や相続人にどのような影響を与えるのか分からない。そもそも遺言とはどういったもので、種類や詳細について知りたい。そのように考えている方がいらっしゃるかと思います。

この記事では、遺言とは何か、詳細について分かりやすく解説致します。

遺言とは

遺言とは、被相続人が自身の財産を誰にどれくらいの割合で相続するかという意思を残し、亡くなった後に法的効力を発生させるための行為のことです。

亡くなった後でも財産の引き継ぎ方を被相続人の自由にすることを認めるもので、相続の際のトラブルを防ぐためには重要です。遺言と似ているものとして遺書がありますが、遺言と遺書は異なるものです。遺書とは、家族や友人などに自分の思いを伝えるための手紙のことです。遺言は、法的効力を発生させるために相続のやり方などを書き残すというものであるため、目的が異なります。

法的効力

遺言には法的効力がありますが、様々な効力があります。一つずつ確認していきましょう。

相続分の指定

相続分の指定とは、各相続人がどれくらいの遺産を取得するか割合を決めることです。相続人が複数の場合、遺産の取得割合は民法第900条で定められている法定相続分に従って決定します。

具体的には、下記のように定められています。

相続人 相続分割合
子および配偶者が相続人
  • 各2分の1
配偶者及び直系尊属が相続人
  • 配偶者の相続分は3分の2
  • 直系尊属の相続分は3分の1
配偶者及び兄弟姉妹が相続人
  • 配偶者の相続分は4分の3
  • 兄弟姉妹の相続分は4分の1
子や直系尊属、兄弟姉妹が数人いるの場合や、父母の一方のみが同じである兄弟姉妹の場合
  • 各自の相続分は相等しいものとする
  • 父母の双方が同じである兄弟姉妹の相続分の2分の1

しかし、この規定は遺産分割の話し合いが進まない場合に裁判所が相続の割合を決めるための基準です。

必ずしもこの規定に従わないといけないわけではなく、被相続人が相続人の相続割合を定めた場合、その意思が優先されます。これが相続分の指定であり、定められた相続分を指定相続分といいます。指定相続分は遺言でしか決めることができません。これは、相続のトラブルを防止するためです。

遺産分割方法の指定

遺産分割方法の指定とは、遺言によって遺産分割の方法を指定することです。

指定する方法はいくつかあり、ある財産を特定の相続人に引き継ぐという指定をするのが一般的です。不動産や株式を売却し、その売却金を特定の相続人に引き継ぐというように、遺産をどのように扱うかという指定も可能です。また、第三者に委託することもできます。

相続人の認知

相続人の認知とは、遺言によって戸籍上の子供ではない人を子供と認め、相続人にすることです。血縁関係がなく、戸籍上で夫婦ではない人との子供でも認知することができます。

相続人の廃除

相続人の廃除とは、遺言によって遺留分を有する相続人を廃除することです。被相続人に対して虐待行為や侮辱行為などを行った相続人がいる場合、除外できるように定められています。

下記のようなケースの場合、廃除できる可能性があります。

相続人の排除理由
  • 被相続人に対する虐待行為
  • 被相続人に対する侮辱行為
  • 重大な犯罪経歴の保有
  • 配偶者以外との不貞行為
  • 財産目当ての婚姻関係及び養子縁組

遺留分を有しない相続人は、遺贈する必要がないため廃除の対象外です。相続人廃除をされた相続人は相続権を失いますが、理由もなく嫌いといった単純なものでは認められません。家庭裁判所で有効と判断された場合のみ廃除することができます。

遺言の種類

遺言には主に3つの種類があります。一つずつ確認していきます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、被相続人が自筆で作成する遺言書のことです。最も手軽でよく用いられる遺言です。遺言者が直筆で作成し、署名と押印をする必要があります。

作成する際に注意すべき点は下記の通りです。

自筆証書遺言作成の注意事項
  • 被相続人には遺言能力が必要
  • 被相続人の直筆でなければ無効
  • 署名や押印がなければ無効
  • 家庭裁判所での検認が必要ここにコンテンツを記載

自筆証書遺言には、いつでも費用をかけずに作成でき、自由に書くことができるというメリットがあります。一方で、家庭裁判所での検認が必要だったり、書き方を間違えると無効になるというデメリットもあります。

特に家庭裁判所での検認には注意が必要です。検認とは、相続人に対して遺言の存在と内容を通知する手続きのことをいいます。家庭裁判所に検認の手続きを申し込み、裁判官が遺言書を開封するという流れです。検認をせずに遺言を開封すると、5万円の過料に処されますので注意しましょう。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、被相続人が公証人へ口頭で遺言の内容を伝え、公証人が作成する遺言のことです。家庭裁判所の検認は不要で、遺言の原本は公証人が管理するため、遺言を誰かに隠されるリスクがありません。公正証書遺言を作成できるのは公証人のみで、公証人は国の公務である公証事務を担う公務員なので、信頼できます。

ただ高度な法的知識と豊富な法律実務経験を持っているだけではなく、中立で公正であることが求められており、判事や検事などを長く務めた法律実務の経験豊かな人の中から、法務大臣が任命することになっています。

公正証書遺言には、遺言が無効になりにくく、検認が不要であるというメリットがあります。一方で、作成に手間と時間がかかり、費用がかかるというデメリットもあります。手間はかかるものの、正確な遺言を作成したい場合には最適です。

公正証書遺言の作成方法は民法で定められており、主に下記のようなものがあります。

公正証書遺言の作成方法
  • 証人2人以上の立会いがあること
  • 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
  • 証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと

特に証人が2名以上必要であることに注意してください。証人は、未成年者や親族関係がある人は認められません。証人になれるのは、成人で親族関係がなく、被相続人から贈与を受けたことがない人のみです。公証人の配偶者も認められませんので、覚えておいてください。

作成する際には、公証役場へ手数料を支払います。手数料は相続財産の金額によって変わりますが、相続人の人数分が必要であるという点に注意してください。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、被相続人が遺言内容を誰にも知られたくない場合に使われる遺言です。内容を秘密にできますが、遺言書を作成した後に、秘密証書遺言であるということを公証人と証人に確認してもらわなければなりません。内容を誰にも知られたくないものの、遺言の効力を有効にしたいという場合に最適です。直筆だけでなく、パソコンでの作成も認められています。

手続きの流れとしては、遺言を入れた封筒に被相続人と証人2人が署名と押印をして、日付を書いた状態で役場へ提出するというものです。内容を秘密にできてパソコンで作成することも可能ですが、公証人のチェックが入らないため、遺言に不備があり法的効力を有することができない場合があります。

また、家庭裁判所の検認が必要で、遺言を自分で管理する必要があるため、紛失してしまう可能性もあります。どうしても遺言の内容を秘密にしたい場合だけ利用するようにしましょう。

遺言執行者

遺言執行者とは、遺言の内容に沿って手続きを進める人のことです。具体的には、相続財産目録の作成や不動産名義変更手続きなどを行います。被相続人の意思を実現するために法的な権限を持っているため、手続き全般は遺言執行者に任せましょう。

選ばれ方

遺言執行者を選ぶことができるのは被相続人、被相続人に指定を頼まれた人、そして家庭裁判所です。この3者によって選ばれます。

遺言で遺言執行者が指定されていた場合は、迅速に指定された人に連絡し、確認するようにしましょう。遺言執行者は指定されたら必ずやらなければならないわけではなく、拒否することもできます。仮に拒否された場合、遺言執行者が不在になり、手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。したがって、まずは遺言執行者に連絡することが大切です。

任務

遺言執行者には様々な任務があります。選任されて承諾したら、まずは相続財産の一覧を作り、各財産の価値を評価します。その流れで遺言の内容に沿った財産の分配を手伝い、相続人の廃除や認知を行います。相続人の廃除や認知などは、必ず遺言執行者が行うことになっています。

他にも任務は多く、具体的には下記のようなものがあります。

遺言執行者の任務
  • 戸籍等の証明書の収集
  • 法務局における登記申請
  • 相続財産の調査
  • 各金融機関における解約手続き

このように、遺言執行者の任務は想像以上に多く、負担が大きいものです。

復任権

復任権とは、遺言執行者が司法書士などの専門家に任務を依頼をすることができるというものです。以前は遺言執行者として選任された人は任務を他の人に負わせることができませんでしたが、相続法の改正によって可能になりました。誰でもできるわけではなく、一定の条件を満たした場合のみです。

遺言執行者はやむを得ない理由がなければ、第三者にその任務を行わせることができませんが、遺言者がその遺言に反対の意思を表示した時は可能です。第三者にその任務を負わせる場合、第三者は一定の責任を負わなければならないと決められています。選任と監督については、遺言を残した人に対して責任を負う必要があります。

代理人を選任することは可能で、その際責任は回避できますが、その代理人が不適任であると分かっているにもかかわらず任務を解かなければ責任を追及されます。したがって、基本的に遺言執行者は復代理人を選任することはできないと考えておいた方が良いかもしれません。

遺留分

遺留分とは、被相続人の兄弟や姉妹以外で近い関係にある相続人に保障される最低限の遺産取得分のことです。被相続人は自分の財産を誰にどれくらい相続するかを自由に決めることができます。

しかし、愛人のような親族ではない人物に全ての財産を引き継ぐといった記載が遺言にある時、財産を相続する権利を持っている親族が財産を全く受け取れなくなってしまいます。それを防ぐために存在するのが遺留分の制度です。

被相続人が特定の相続人や第三者に贈与や遺贈をして、相続人の遺留分が侵害された場合、侵害された相続人は贈与や遺贈を受けた相手に対し、遺留分侵害額に相当する金額の支払いを請求することが可能です。これを遺留分減殺請求といいます。

対象になる相続人

遺留分の対象になるのは、被相続人の配偶者や子供、孫などの直系卑属、父母や祖父母などの直系尊属だけです。

対象にならない相続人

遺留分の対象にならないのは、兄弟姉妹や甥姪です。また、相続放棄をした人、相続欠格になった人、相続廃除をされた人も対象になりません。相続放棄をした人は法的に相続人としての資格を失います。

遺言を偽造したり、脅迫して被相続人に遺言をさせたりなど、非合法的行為が行われた際は、相続欠格になります。相続人の態度や行動に問題がある場合、被相続人の意思によって相続廃除されます。

割合

遺留分の割合は次の通りです。

相続人 遺留分割合
相続人が配偶者のみ
  • 配偶者の遺留分は2分の1
相続人が配偶者と子供1人
  • 配偶者の遺留分は4分の1
  • 子供の遺留分は4分の1
相続人が配偶者と子供2人
  • 配偶者の遺留分は4分の1
  • 子供の遺留分は8分の1ずつ
相続人が配偶者と被相続人の父母
  • 配偶者の遺留分は3分の1
  • 被相続人の父母は12分の1ずつ
相続人が子供1人
  • 子供の遺留分は2分の1
相続人が子供2人
  • 子供の遺留分は4分の1ずつ
相続人が被相続人の父母のみ
  • 被相続人の父母遺留分は6分の1ずつ

割合はこのように定められています。

どういった財産が遺産になるか

どういった財産が遺産になるかを確認しておきましょう。

遺産に該当する財産

遺産に該当する財産は主に次のようなものです。

遺産に該当する財産
  • 自動車
  • 不動産
  • 現預金
  • 有価証券
  • 借地及び借家
  • 借金及び債務
  • 税金

プラスの財産だけでなく、負債も遺産に該当する点に注意してください。

遺産に該当しない財産

遺産に該当しない財産は主に次のようなものです。

遺産に該当しない財産
  • 一身専属権
  • 墓及び仏壇

一身専属権とは、ある特定の人物しか持つことができない権利のことです。具体的には、年金請求権や生活保護受給権などです。

みなし相続財産

みなし相続財産とは、法律上は相続財産ではなく、税務上では相続財産とみなされ課税対象になる財産のことです。みなし相続財産には主に次のようなものがあります。

みなし相続財産
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金

どちらも相続財産の対象にはなりませんが、相続税が課税されます。しかし、”500万円×法定相続人数”分の相続税控除を受けることが可能です。

遺言に関する注意点

遺言に関して注意すべき点がいくつかあります。一つずつ確認していきましょう。

日付と署名及び押印を忘れない

有効な遺言にするためには、日付と署名、押印を必ず記載する必要があります。これらの記載がない遺言は法的効力を持たず、無効になりますので注意してください。

  • 日付は遺言を作成した日を記入します。

正確な日付を書きましょう。

  • 署名は本名をフルネームで書きます。

戸籍謄本と同じ表記で自筆で記入することが重要です。

  • 押印は実印を使用するのが望ましいです。

財産調査を徹底する

遺言は被相続人の財産相続に関する意思を表す重要なものです。どういった財産がどれくらいあるのかを正確に把握し、調査を徹底的に行うことが大切です。日頃から全ての財産をしっかり管理できている人は、それほど多くないかもしれません。死期を意識し始めたら、真っ先に財産調査を徹底しましょう。

また、不動産については、登記事項に沿った正しい情報を遺言に書かなければなりません。相続における不動産関連のトラブルの割合は高いため、特に注意してください。どうしても自分の力だけでは不安という方は、専門家を頼ってみても良いかもしれません。

共同遺言は禁止

共同遺言とは、2人以上の人が同じ遺言書で遺言を残すことです。基本的に遺言は遺言者の意思を尊重するために、いつでも自由に撤回することができるようになっています。しかし、共同遺言は撤回する際のトラブルが生じやすいという観点から、民法によって禁止されています。

例えば、夫婦で共同遺言を作成しようとするケースが考えられます。墓場まで一緒にという気持ちも理解できますが、問題を回避するために、個別に遺言を残すようにしてください。

遺言能力の調査

遺言においては、遺言能力の調査が必要です。遺言能力とは、”遺言内容を理解し、遺言の結果を弁識しうるに足る意思能力”と定義されています。遺言能力が認められない場合、遺言は無効になります。

例えば、15歳未満の人には遺言能力がないと民法で定められています。15歳以上でも、精神疾患などによって遺言能力がないと判断される場合があります。認知症などの疑いがある高齢者も同様です。

まとめ

いかがでしたか。本日は、遺言について分かりやすく解説致しました。遺言には細かい決まりや注意点が多いため、気を付けてください。

この記事を参考に、遺言に関する知識を深めていただければ幸いです。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。