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相続税が払えない場合はどうしたらいい?誰に相談するのがベスト?

税理士友野
税理士友野

相続税が払えない場合、相続税の申告を担当した税理士がいるのであれば、まずはその税理士に相談することをおすすめします。

相続税は納期限までに現金で一括納付するのが原則ですが、クレジットカードによる納付、分割による納付(延納)、相続財産による納付(物納)といった方法を取ることも可能です。税理士に相談すれば、あなたに合った納付方法を提案してくれるでしょう。

なお、延納や物納を申請する場合、相続税の納期限までに一定の書類を税務署へ提出する必要があるため、一括納付が困難であることがわかったら早めに税理士や税務署へ相談することをおすすめします。

相続税の支払い方

原則

相続税額は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に、全額を現金で納付するのが原則です。

例えば
被相続人が2021年1月16日に亡くなった場合、相続人は2021年11月16日までに相続税額を納付する必要があります。

なお、相続税の申告期限(相続税の納期限と同じく、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です)までに遺産分割が終わっていない場合であっても、納期限までに相続税額を納付する必要があります(この場合は、いったん各人の法定相続分で相続税額を納付します)。

支払い手段

相続税の主な支払い手段は次の4つがあります。

支払い手段
  • 金融機関(銀行、郵便局、信用金庫など)の口座引き落とし
  • 税務署窓口
  • コンビニエンスストア
  • クレジットカード

口座引き落とし/税務署窓口

この中で最もよく使われるのは口座引き落としです。口座引き落としであれば多額の現金を持ち歩かずに済みますし、納付時に領収証書が発行される上、手数料は無料です。税務署窓口で納付することも可能ですが、現金を引き出した上で税務署まで持ち込む必要があるため、口座引き落としと比べると利便性に欠ける納付手段です。

口座引き落としのデメリットは、金融機関や税務署の営業が平日日中のみに限られること。平日日中に時間が取れない方は、コンビニエンスストアでの納付やクレジットカードによる納付が便利です。

コンビニ納付

コンビニでの納付は、「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」でQRコードを作成した上で、LoppiまたはFamiポートで手続きを行います。コンビニで納付できるのは30万円までですので、税額が多額になりがちな相続税の納付ではあまり出番はないかも知れませんが、QRコードを使ったコンビニ納付の手続きに関する国税庁のサイトもありますので、納付を行う際は参考としてください。なお、コンビニでの納付も、口座引き落としと同じく手数料は無料です。

ご参考:国税庁ホームページ [手続名]コンビニ納付(QRコード)

クレジットカード納付

クレジットカードでの納付は、「国税クレジットカードお支払サイト」で行います。利用可能額は一度の手続きにつき1,000万円かつクレジットカードの利用限度額までの金額です。利用限度額のないクレジットカードであれば、1,000万円ずつ何度も決済処理を行うことで、相続税額が何億円であってもクレジットカードで支払うことが可能です。

クレジットカード納付のメリットは、納付手続き時に銀行口座に現金がなくても納付ができる点、最大12回までの分割払いやリボ払いが選択できる点(クレジットカード会社の定める分割手数料などが発生します)、およびクレジットカードのポイントをためることができる点です。

一方、クレジットカード納付のデメリットは、領収証書が発行されない点と、決済手数料(1万円あたり消費税抜76円)が必要な点です。相続税額の口座引き落としをわずかでも遅らせたい方や、ポイントが決済手数料を上回るクレジットカードを使われている方は、クレジットカード納付を検討してはいかがでしょうか。

ご参考:国税庁ホームページ [手続名]クレジットカード納付の手続

相続税が支払えない場合

期限までに支払わないとペナルティーを課せられる

この記事の冒頭に、相続税額は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に、全額を現金で納付するのが原則であることを紹介しました。それでは、期限までに納付しなかった場合はどのようなペナルティーを課せられることとなるのでしょうか。まずは金銭的なペナルティーを二つ紹介します。

  • 金銭的なペナルティーの一つ目は「無申告加算税」が課せられる点です。

無申告加算税は文字どおり無申告であることに対する罰金的な税で、原則の税率は納付すべき税額が50万円までの部分に対しては15%、50万円を超える部分に対しては20%です。たとえば、本来納付すべき税額が200万円だった場合、無申告加算税は37万5千円ですから、期限までに申告した場合の約18.5%増の税金を支払う必要が生じます。

  • 金銭的なペナルティーの二つ目は「延滞税」が課せられる点です。

延滞税は文字どおり延滞利息的な性格を持っているもので、税率は納期限の翌日から2か月が年2.5%、それ以降が年8.8%です(2021年1月1日以降の場合)。たとえば、本来は2021年1月末にまで200万円を納付すべきだったところ2022年1月末に納付した場合、課せられる延滞税の額はおよそ15万5千円です。この場合、無申告加算税と延滞税を合わせると約53万円と計算できます。期限までにきちんと納付しておけばこの53万円を支払う必要がなかったと考えると、期限までに納付することの重要性が分かるのではないでしょうか。

財産の差し押さえ・他の相続人への請求

続いて、相続税額を期限までに納付できなかった方に対するその他のペナルティーを紹介します。

  • 一つ目は、財産が差し押さえられる点です。

これは他の国税(所得税、消費税など)を納期限までに支払わなかった場合と同じで、納付の督促や納付の催告を無視する、あるいはこれらに応じない場合は、法律に基づいて財産(金銭や不動産など)の差し押さえが行われることとなります。生活に最低限必要な金銭の差し押さえは禁止されているため、差し押さえによって直ちに生活が困窮するということにはなりませんが、差し押さえの事実が職場や家族に知られる可能性もある点は留意が必要です。

  • 二つ目は、他の相続人への請求が行く点です。

相続税は、相続人間の連帯納付義務があるため(相続税法34条1項)、相続人の一人が相続税を滞納した場合は、他の相続人に対して納付を求める通知書(納付通知書)が発送されることがあります。この場合、「相続税を納期限までに支払うことができていない」という極めてプライベートな情報を他の相続人が知るところとなる点に留意が必要です。

誰に相談するのがベスト?

ここまで、相続税の納付の原則、納付の方法、納期限までに納付できなかった場合のペナルティーについて解説しました。

「原則は分かったし、ペナルティーも理解しているが、事情があってどうしても期限までに納付できそうにない。誰かに相談したほうがよいと思うが、誰に相談したらよいのかわからない」という方もいらっしゃると思います。そこで以下では、相談先として税理士、税務署の職員、その他の人を選択する場合のメリットとデメリットを解説します。

税理士に相談する場合のメリット

相続税の申告を税理士に依頼していた場合は、納期限までに税額を納付できないことについても、その税理士に相談するとよいでしょう。通常、相続税の申告書を作成する過程においては、被相続人の財産や経歴だけではなく相続人の財産の状況や経歴を確認しますから、その税理士はあなたが持っているおおよその財産、職業、家族構成などを総合的に踏まえた上で、あなたに合った納付方法をアドバイスすることができるためです。

また、元から所有していた財産を売却して納税資金を捻出することを検討する場合は、売却によって発生する税金(所得税)のシミュレーションや、実際に税金が発生した場合の確定申告をワンストップで依頼することができることも、税理士に相談する場合のメリットです。

税理士には、税務署の職員のように「早く納付させたい」という思いや、不動産業者のように「不動産の売却で手数料を稼ぎたい」という思いはありません。そのため、様々な選択肢を平等に考慮して、あなたがもっとも幸せになる納付方法を、あなたの思いを伺いながら一緒に検討することが可能です。

税理士に相談する場合のデメリット

税理士に相談する場合のデメリットは、税理士費用が必要な点です。相続税の申告を税理士に依頼していた場合、ある程度の範囲であれば無償または低額でアドバイスを受けることも可能でしょうが、時間を要する検討などを依頼する場合はどうしても税理士費用が発生します。

税務署の職員に相談する場合のメリット

相続税の申告を税理士に依頼していない場合や、税理士費用を抑えたい場合は、税務署の職員に相談することも可能です。税務署の職員に相談する場合、後述する「延納」や「物納」の手続きを前提に話が進むことが多いので、延納や物納をスムーズに申請できるメリットがあります。

税務署の職員に相談する場合のデメリット

「税務署の職員」という立場上、税金を少しでも早く納付させたいというバイアスが働いているという点が、税務署の職員に相談する場合のデメリットです。あなたの事情をどこまで考慮してくれるかは担当職員次第ですが、税務行政は公平性が強く要求されますから、融通の利いた対応はあまり期待できません。

その他の人に相談する場合

その他の人、たとえば不動産業者や税理士資格を持たない「節税」コンサルタントに相談することはおすすめしません。

不動産業者に相談したところ、ほとんど話を聞いてもらえないまま手持ちの不動産の売却を急かされたケースや、税理士資格を持たないコンサルタントに相談したところ、税法上間違っている方法をアドバイスされたケースも聞くため、税金のことは税理士もしくは税務署へ相談することを強くおすすめします

延納と物納

ここまで、納期限までに納付できそうにない場合の相談先について解説しました。この記事の最後に、税務署の職員に相談する場合のメリットで触れた「延納」と「物納」について解説します。

延納の要件と手続き

延納とは、相続税の一括納付が困難である旨を税務署へ申請し、税務署長が許可することにより、相続税額の納付を分割払いで行うことができる制度です。分割の期間は相続財産の種類によって異なり、最高の延納期間は20年です(20年分割払い)。延納は、次のすべての要件を満たす場合に認められます。

延納要件
  • 相続税額が10万円を超えていること
  • 相続税を納期限までに金銭で納付することが困難な事由があること
  • 延納申請書を相続税の納期限までに提出すること

また、延滞税額が100万円を超える、または延滞期間が3年を超える場合は、上記に加えて次の要件を満たすことも必要です。

延滞期間3年以上の延納要件
  • 延納税額に相当する担保を提供すること
  • 担保提供関係書類を相続税の納期限までに提出すること

よって、延納の申請を行いたい場合は、相続税の納期限までに次の手続きを行う必要があります。

延納申請の手続き
【延滞税額が100万円以下、かつ延滞期間が3年以下の場合】

  •  延納申請書を相続税の納期限までに提出すること

【延滞税額が100万円を超える、または延滞期間が3年を超える場合】

  •  延納申請書を相続税の納期限までに提出すること
  • 延納税額に相当する担保を提供すること
  • 担保提供関係書類を相続税の納期限までに提出することここに

延納のメリット・デメリット

延納のメリットは、相続税額を最大20年の分割払いで支払うことができる点です。手元に十分な納税資金がなくても、被相続人から受け継いだ資産(特に自宅の土地建物)を引き続き使いながら、毎年コツコツと納税できる点は大きなメリットです。

一方、延納のデメリットは利子税がかかる点です。利子税は延滞(遅延)利息的な性格を持つ延滞税とは異なり単に「利息」的性格を持つものなので、税率も延滞税と比べるとかなり低く設定されています(最大で年0.8%です)。0.8%とは言え、延納税額が1,000万円の場合は年8万円を支払う必要がありますが、銀行借り入れの利率と比べるとかなり低いでしょうから、納税資金を銀行から借り入れるよりも延納の申請をするほうが利息の負担は少なくて済むことが多いです。

物納の要件と手続き

物納とは、延納によっても相続税の金銭納付が困難である事由がある場合に、その旨を税務署へ申請し、税務署長が許可することにより、相続税額の納付を相続財産(土地・建物など)で行うことができる制度です。物納は、次のすべての要件を満たす場合に認められます。

物納要件
  • 延納によっても金銭で納付することが困難な事由があること
  • 物納申請書と物納手続関係書類を相続税の納期限までに提出すること
  • 物納財産が日本国内にある相続財産であること

よって、延納の申請を行いたい場合は、相続税の納期限までに次の手続きを行う必要があります。

延納申請の手続き
  • 物納申請書を相続税の納期限までに提出すること
  • 物納手続関係書類を相続税の納期限までに提出すること

物納のメリット・デメリット

物納のメリットは、十分な現金収入が見込めなくても相続税額を納付できる点です。毎年ある程度の現金収入が見込まれる現役世代の方であれば分割払いで相続税の納付を行うことも可能でしょうが、少額の年金で生活をされている方であれば分割払いになったところで毎年の分割額の支払いに苦労することは目に見えています。物納の制度を使えば、年金生活の方であっても今後の生活費を削ることなく相続税額を納付することが可能です。

一方、物納のデメリットは、相続財産が他人の手に渡る点と、物納された財産の評価が市場価格よりも低いことが多い点です。

一点目について、物納された相続財産にかかる権利は国に移転するため、物納後は自由に使うことができなくなります。

物納した財産が自宅の土地建物だった場合は、住み慣れた自宅を出ていく必要があります。

二点目について、物納財産を国が収納するときの価額は、原則として相続税価額額です。

一般に、宅地の相続税評価額は実勢価格(実際の取引価格)の8割程度とされていますから、物納をする際の金額は市場で売却した時よりも2割程度低い金額で評価されてしまいます。

なお、小規模宅地等の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合の収納価額は特例適用前の相続税評価額ではなく特例適用後の価額であるため、このときの評価額は市場価格と比べるとかなり低い金額となります。小規模宅地等の特例の適用を受けた相続財産を物納するよりも、不動産業者などへ売却して現金化した後に現金で納付した方が手元に残るケースもあるため、どちらが良いかはよく検討されることをおすすめします。

まとめ

以上、相続税が払えない場合にどうするか、誰に相談するのがベストかについて解説しました。相続税を現金一括で支払うことができない場合に取りうる方法はいくつかあります。方法ごとにメリットとデメリットがあるため、一概に「この方法がベスト」とは言えません。

税理士に相談すれば、あなたのニーズに合った納付方法についてアドバイスを受けられるので、ぜひお近くの税理士にご相談されることをおすすめします。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。