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嫁を養子にするなど養子縁組を利用すると相続税対策になる

「養子縁組すると相続税の節税対策になる」という話を耳にしたことがある人もいるでしょう。

たとえば、ご子息のお嫁さんと養子縁組することで相続税を節税できる可能性は高く、大きなメリットがあります。養子縁組により、血縁関係がないお嫁さんにもスムーズに相続させることができるのは安心ですね。一方で、養子縁組が認められない場合や思わぬ相続トラブルに発展するリスクがあることなど、マイナスの面についても知っておかなければなりません。

そこで今回は、養子縁組により得られる効果と注意するべき点について、詳しく解説していきます。養子縁組の基礎知識に加え、相続税の節税対策となる仕組み、さらには実際に養子縁組をする場合に発生するリスクなどをまとめてお伝えしていきます。

この記事を読むことで、養子縁組についてしっかりと理解することができます。ぜひ、しっかり読み込んで、養子縁組を用いた相続対策に役立ててください。

養子縁組とは?

養子縁組とは、血縁関係がない人と法律上、親子関係を結ぶ制度を言います。

養子縁組は大きく分けて「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があり、それぞれに違いがあります。まずは、2つの養子縁組について詳しく見ていきましょう。

普通養子縁組

「普通養子縁組」は、多くの場合で一般的に行われる養子縁組で、相続税の対策で用いられるのもこの方法です。

普通養子縁組では、血縁上の親(実親)との法的な親子関係はなくならず、養親と実親の2組の親が存在することになります。養子は養親と実親、両方の法定相続人になることができます。

特別養子縁組

「特別養子縁組」は子どもの福祉のために作られた制度であり、実親との親子関係が断絶され、養親のみに親子関係が認められます。つまり、血縁上の親の遺産は相続できなくなります。

養子は原則6歳未満であることや家庭裁判所の決定が必要である等、厳しい要件があり、相続対策ではあまり用いられません。

法定相続人に含まれる養子の人数は制限される

養子縁組により法定相続人が増えることは、相続税の節税効果になります。しかし、相続税法上で増やすことのできる法定相続人の数は以下のように制限されています。

法定相続人の増員人数
  • 実子がいる場合は、法定相続人としての養子は1人まで
  • 実子がいない場合は、法定相続人としての養子は2人まで
相続税の節税対策を狙って複数人と養子関係を結んでも、無意味に終わるので注意しましょう。

なぜ、養子縁組は相続税対策になる?

では、なぜ養子縁組は相続税対策になるのでしょう?養子縁組によって得られる相続税の節税効果には、以下の3つのことが挙げられます。

相続税の節税対策効果
  • 相続税の基礎控除額がUPするため
  • 相続税の非課税枠がUPするため
  • 相続人ひとり当たりの税率が下がるため

上記の節税効果にメリットがあると感じる人は、養子縁組を前向きに検討するとよいでしょう。それぞれ、詳しく説明していきます。

相続税の基礎控除がUPするため

まず、最初の節税効果は相続税の基礎控除がUPするためです。

基礎控除額は相続税額に非常に大きな影響を与えるため、3つの効果の中でも最も大きな効果があると言えます。相続税の基礎控除額とは、相続財産の中で「税金がかからない一定の金額」です。

基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

では、実際に得られる効果を例に挙げてみてみましょう。

法定相続人が1人のみの場合
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人1人=3,600万円
法定相続人が1人+養子1人の場合
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人2人=4,200万円
法定相続人が1人+養子2人の場合
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人3人=4,800万円

上記の通り、法定相続人が1人のみの時と比較して、養子2人を迎え入れた場合は、1,200万円基礎控除額が増えることになります。

たとえば
相続財産が4,500万円である場合を検討してみましょう。養子がいない場合の基礎控除額は3,600万円となり、900万円が課税対象となります。課税対象の900万円に税率をかけた金額が納付する相続税額です。一方で、2人と養子縁組した場合は、基礎控除額は4,800万円となり、控除内に収まるため相続税は発生しません

基礎控除がUPすることで、相続税がかかる財産を減らすことができるのです。

相続税の非課税枠がUPするため

次に、相続人の非課税枠がUPするため、相続税の節税効果が期待できます。

相続税は以下の財産に非課税枠が認められています。

非課税枠が認められる財産
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 宗教的な財産

上記のうち、宗教的な財産は財産そのものに非課税枠があるため、相続人の数は関係ありません。つまり、養子縁組により増える非課税枠は死亡保険金と死亡退職金の2つです。

死亡保険金と死亡退職金の非課税枠は、それぞれ以下の計算式で求めます。

ちなみに、死亡保険金の非課税枠を利用するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

非課税枠を満たす要件
  • 被保険者=被相続人
  • 保険料負担者=被相続人
  • 保険金受取人=法定相続人

死亡退職金の非課税枠も同様に、受取人が法定相続人の場合にのみ適用されます。養子縁組により法定相続人が増えることで、死亡保険金などの非課税枠が増額し、相続財産を圧縮することができます。

相続人ひとり当たりの税率が下がるため

最後は、相続人一人当たりの税額が下がることです。法定相続人が増えることで相続人ごとに割り振られる財産が少なくなり、課せられる税率が下がります。なぜなら、日本の相続税では累進課税制度を採用していて、受け取る財産が大きいほど税率は高くなるためです。

また、相続税額の計算は、単純に相続人が受け取った財産に税率をかけるわけではありません。相続税額の計算ではまず最初に、すべての相続財産額から基礎控除・非課税枠を差し引き、残った部分を「法定相続分」で分けます。

次に、分けられた法定相続分の取得金額に応じて、下記の税率をかけます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

上記の速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが、相続税の総額となります。上表の通り、法定相続分の取得金額が小さいほど、税率が低くなり、結果として相続税の総額も低くなるということに繋がります。

養子縁組をするときの注意点

養子縁組をするときには、いくつかの注意点があります。相続税の節税に効果のある養子縁組ですが、思わぬ落とし穴トラブルもゼロではありません。

特に注意するべき点として、次の3つを解説します。

養子縁組の注意点
  • 孫養子の相続税は2割増しに
  • 節税目的だけの養子縁組は認められないこともある
  • 争族の火種になることも

上記の注意点を理解しておくことでリスクやトラブルを避けることができます。養子縁組を検討している人は、ぜひしっかり覚えておいてください。

孫養子の相続税は2割増に

まず、最初の注意点は「孫養子の相続税は2割増になることがある」です。孫養子とは祖父母から孫へのスムーズな相続のために、孫を養子にすることを言います。

通常、相続は親から子へ、子からその子(つまり孫)へと財産が渡っていき、その度に相続税を支払うことになります。そこで、孫を養子にすると、本来あった親から子への相続がなくなり、直接孫に財産を相続させることができます。相続の回数が減るため、相続税の支払いも1回に抑えることが可能です。

しかし、上記のような孫養子への相続は不公平にあたるとされ、平成15年に「孫養子の相続税は2割増」と税制改正がなされました。ちなみに、すでに被相続人の子が亡くなっていて、孫に相続させるという「代襲相続」である場合は、2割増の対象外となります。

孫養子にすると相続税は2割増になるものの、基礎控除額や非課税枠は増額するため、一概にメリットがないとは言えません。また、孫が未成年者である場合には「未成年者控除」の利用も可能になり、さらに控除額を増やすことも期待できます。

孫を養子にするべきか止めるべきかはケースバイケースなので、検討している方は一度税理士に詳しく相談してみましょう。

節税目的だけの養子縁組は認められないこともある

次の注意点は、節税目的だけの養子縁組は認められないことがあることです。

明らかに相続税を減らすために養子縁組を行った、と税務署に判断された場合は、養子は法定相続人に含まれません。養子が法定相続人に含まれないと当然、節税の効果が失われるばかりでなく、相続税の修正申告や追徴課税の恐れもあります。

どのようなケースが明らかな節税目的とされるかは、現状、明確な定義はありません。ただ、以下のような場合には、養子縁組は否認される可能性が高くなります。

  • 養子縁組の時期が相続発生の直前である場合
  • 養子に遺産が渡っていない場合
  • 養子縁組に関する書類などに「相続税対策」と記載してある場合

養子縁組は確かに節税対策になりますが、明らかに目的を節税対策に置くことは認められません。養子縁組の時期や財産の分け方など、具体的なことは専門家の意見を聞きながら慎重に検討しましょう。

争族の火種になることも

最後の注意点は、争族の火種になる可能性があることです。

被相続人にとっては節税効果があり、多くのメリットを感じる養子縁組ですが、すべての相続人が心から納得しているとは限りません。特に、法定相続人が増えるということは、ひとり当たりの財産が減るということになり、良く思わない相続人がいる可能性もあるでしょう。遺産分割協議では人数が増えるほど話し合いが複雑になり、揉めやすくなる傾向があります。

上記のようなトラブルを防ぐために、被相続人の生前からしっかり話し合っておくことが大切です。また、同じ家に住み、自分たちの面倒をよく見てくれるから、と息子の嫁を養子にしたいと考える方もいるでしょう。

しかし、嫁と養子縁組することは、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。

注意すべきトラブル
  • 「自分の遺産の取り分を減らすために、養子縁組をした」と相続人の不信感が募る
  • 息子に兄弟がいた場合に「自分の嫁(旦那)とは養子縁組してくれなかった」と不満を感じる
  • 息子と嫁が離婚した場合でも、嫁が相続権を持ってしまう

「当人同士(養親・養子)の話だから」と、養子縁組することを他の相続人に相談しなかったり、事後に伝える事はトラブルになりがちです。確かに、養子縁組そのものは双方の同意で結ぶことができますが、相続は被相続人とすべての相続人に関係します。最悪のケースでは、養子を無効にする訴えを起こされることもあります。

その他の相続関係者にもきちんと確認をとってから養子縁組を結ぶことで、トラブルなく節税の恩恵を受けることができるでしょう。

養子は相続税節税の効果◎!でも実行は慎重に。

養子縁組をすることで、相続税の節税対策になります。

養子縁組により得られる節税効果は以下の3つです。

養子縁組の節税効果
  • 相続税の基礎控除がUP
  • 相続税の非課税枠がUP
  • 相続人ひとり当たりの税率が下がる

基礎控除額と死亡保険金・死亡退職金の非課税枠は、金額が大きいので相続税の対策に大きな効果があります。

一方で、法定相続人に含まれる養子の人数は実子の数に応じて制限されるため、注意しましょう。また、メリットの大きい養子縁組ですが、実行に移す前に慎重に検討することが重要です。場合によっては、孫養子で相続税が2割増になることや思わぬトラブルに発展する可能性があります。養子縁組を利用する場合には、養親・養子だけでなく、その他の相続人ともしっかり話し合うようにしましょう。

手続きの方法や実際の節税効果など、具体的に養子縁組を考えている方はぜひ税理士へ相談してください。実際に話を聞かせてもらうことで、よりあなたに効果のある節税対策やアドバイスを伝えることができます。

ぜひ、さまざまな観点から相続税にアプローチし、賢く対策しましょう。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。