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相続税対策向け!会社設立・法人化の手順とメリットデメリット

昨今、相続に関する雑誌や書籍の売れ行きは好調で、相続セミナーも人気を集めています。相続に対する世間からの関心は非常に高いですが、対策を検討する際にはさまざまな要素を考慮する必要があるため、「誰にでも当てはまる最適な相続税対策」は存在しないと言えるでしょう。

財産の種類や故人・相続人の年齢など、さまざまな要素を把握するための手続きがすべて完了するまで、ある個人にとって最良の相続税対策を作り上げることはできません。

そんな相続税対策ですが、その一つに「資産管理会社の設立」という方法があることをご存知ですか?今回は相続税対策としての会社設立について解説します。是非ご参考にしてください。

相続税対策としての会社設立

相続税は相続した資産の評価額に応じて課せられる税金です。しかし資産管理会社を利用すれば、相続税の軽減が期待できます。

資産管理会社とは?

資産管理会社とは、所有者が不動産などの財産を所有している場合、または資産を会社に譲渡して会社の財産としている場合に、資産を管理することを目的として設立された会社のことです。

資産管理会社設立の手順

現在、会社の設立は資本金1円から可能です。登記費用や代表印などのハンコ代等の実費を用意して、会社名・決算月・代表者を指定して設立登記を行うことで会社を設立することができます。

人生100年時代と言われていますので、莫大な資産を持っているわけではない方でも会社を設立し、資産を運用することも選択肢の一つとして持っておくのが良いと言えるでしょう。資産管理会社の運営が定年後のやりがいにつながると言う方もいらっしゃるかと思います。

報酬分配

資産管理会社による相続税対策の一つに役員報酬の支払いがあります。

資産を譲り受けた資産管理会社の役員として相続人を選任し、役員報酬を支払えば、相続税の金額を減らしつつ、実質的には資産を相続させた場合と同じ効果を得ることができます。

評価額を下げる

故人のすべての資産が資産管理会社に譲渡され、その上で故人が株式の100%を所有していた場合、相続される唯一の資産は資産管理会社の株式になります。

非上場株式の相続税評価額は、必ずしも会社が所有する資産の価値と一致するわけではありません。株式の相続税評価額が純資産よりも低くなる場合には、純資産の金額に応じて相続税を支払う必要はありません。未公開株式の評価方法にはいくつかの方法があり、条件によって選択できる評価方法が異なります。

選択できる評価方法による株式の評価額が必ずしも最安値になるとは限りませんが、株式による相続で相続税の軽減が期待できると言えるでしょう。

資産管理会社の設立は本当に相続税対策になる?

ここまで資産管理会社による節税策を提案しましたが、活用方法として特に効果的なのが、不動産管理です。

不動産管理の方法には以下のいくつかがあります。

不動産管理方法
  • 不動産所有方式=建物や土地を個人から法人に譲渡する方式
  • 管理会社方式=オーナー所有の賃貸物件を管理会社が管理し、オーナーが管理会社に管理費を支払う方式
  • サブリース方式=法人が不動産を一括して賃借し、転貸する方式
その中でも「不動産所有方式」が最も節税効果が高いと言われています。不動産の所有者変更には手続きが必要であり煩雑ですが、不動産投資で得た利益は全額法人に還元されるため、後々の財産分配が容易になります。また先述した通り、財産の所有権を設立した会社に譲渡し、配偶者や子供に役員として報酬を支払うことで、賃金の形で財産を分配することができます。

さらに、不動産を個人から法人に譲渡した場合、不動産から得られる利益は法人の利益となりますので、その後の不動産投資による利益は相続財産から除外されることになります。財産を渡す方法としては贈与もありますが、財産の無償譲渡は贈与税の対象となり、一般的に、給与所得にかかる所得税よりも重い税負担の対象となります。

資産管理会社を設立する上での注意点

資産管理会社を設立する上では、以下の点に留意する必要があります。

小規模宅地等の特例

住宅として使用できる土地を所有している一定の場合、特例控除を受けることができます。この特例では最大、相続税評価額が80% 減額されます。

しかし宅地を会社所有とすると、居住用の宅地としての特例は受けられないので注意が必要です。

株式保有

一般的な相続と同様に、複数の子供で資産管理会社の株式を持ち合う場合、その子供が亡くなった後にお互いに余り面識のない親族間でのやり取りが必要になるケースがあります。

言い換えると、株式を子供たちに分けることで、孫以降の親戚関係がどのようになるのかがわからないため、親族トラブルが発生する可能性があります。

資産運用会社は合同会社の方がいいの?

日本では株式会社がメジャーですが、会社には他にも、合名会社・合資会社・合同会社があります。資産運用会社を設立するなら合同会社が良いという説があります。

合同会社とは?

合同会社は2006年5月の会社法によって承認された新しい形態の会社です。

株式会社では出資者(株主)と経営者が必ずしも同じではありませんが、合同会社では社員(合同会社の社員とは出資者のこと)が経営に携わることになるため、資産運用会社としては適していると言えるでしょう。

会社設立の登記手続きで支払う登録免許税が、株式会社より合同会社の方が安いというメリットもあります。また会社経営に関する取り決めである定款について、株式会社の場合は認証が必要で費用が掛かりますが、合同会社の場合は認証が不要です。

合同会社を設立する際の注意事項

合同会社では社員が死亡した場合、原則として株式会社の株主に相当する社員の出資金を払戻すことに注意する必要があります。つまり社員一人の合同会社のその社員が死亡すると、合同会社は解散することになります。

相続を希望する場合は、定款に相続人は社員の持分を相続できる旨を記載する必要があります。また合同会社経営上の注意事項として、議決権を行使する上で賛否の意思表示を行う場合、賛否の数が同じになり、会社としての意思決定を下せないことは避けなければなりません。社員数を奇数とする等の措置が必要です。

相続税対策としての会社設立のメリット・デメリット

資産管理会社設立の相続税対策以外のメリット:所得税対策

資産管理会社を設立することは所得税対策になります。

日本の所得税は累進課税制であるため、所得が高いほど税率が高くなります。そのため個人の所得ではなく、会社を設立して会社の収入にすることで、所有者の所得を減らせば、所得税の節税に繋がります。最近では、資産管理会社が所有者の資産を譲り受け、会社の資産を運用するというケースが増えており、こうすることで個人所得と法人所得とを完全に切り離すことができます。

一方、会社が利益を上げたとしても、法人税について過剰に心配する必要はありません。法人税は累進課税ではないためです。

デメリット

(1) 税制改革

相続税の改正は頻繁ではありませんが、特例として財産の評価額の減額が始まった場合には、法人に財産を譲渡しないほうが節税になるケースも想定されます。

たとえば
相続税法の改正等により「小規模宅地等の特例」の対象面積が大幅に拡大し、宅地等の減額が大きく増えた場合には、会社を始めるメリットがなくなるかもしれません。

税制の変更は年に1回行われます。会社を設立した直後に税制の変更によって悪影響を受ける可能性があります。他にも個人が持っていれば使える税制が使えないことによる弊害が懸念されます。

財源を確保するために税率を引き上げようとする国際的な動きがあり、実際に税制が見直された場合、法人税の税率が個人所得税率よりも高くなるリスクがあります。さらに2000年代には同族会社の税率を引き上げる改正が検討されました。

この改正は批判を受けて廃止されましたが、資産管理会社の利用を制限する動きがあることを念頭に置いておくことが重要です。

(2) 諸経費

会社を運営するにはコストがかかります。

(3)事務

企業の複式簿記は単式簿記とは大きく異なります。この作業の負担は決して小さくありません。また、会計の知識があったとしても、決算実務や法人税の申告書の作成は簡単ではありません。

基本的には税理士に依頼する必要があるため、費用が掛かります。

(4) 廃業も手続きが必用

会社を設立して事業を始めると、廃業する時に手続きに時間がかかります。税理士は廃業手続きのサポートできますが、すべてを代行することはできません。廃業手続きが手に負えないと思われる場合は、法人の設立を控えた方が良いかもしれません。

資産管理設立に関する判断には知識が必須

財産を資産管理会社に譲渡した場合、相続財産を株式のみにできます。ただし、会社を設立すれば法人税・登録免許税、廃業の場合にも登録免許税がかかります。

資産運用会社を利用する相続税対策を実施する場合は、全部でどれぐらい費用がかかるのかを見積もることが重要です。もちろん、相続財産を資産運用会社に譲渡した場合に、相続税がどれくらい減額されるかを計算することも重要です。また、役員報酬をいくらにするかなど、経営面の問題も考えなければなりません。

年度ごとに役員報酬の適切な水準を定めていない場合は、役員報酬を経費として計上できなくなるケースがあります。資産管理会社を設立して終わりではなく、経営の知識と計画が重要であるため、資産管理会社を相続対策として始めるには、専門家などへの相談が不可欠であると言えるでしょう。

まとめ

以上、相続税対策としての資産管理会社について解説してきました。資産運用会社を始めることは相続税対策の一つです。

しかし、相続税に対する十分な知識なく資産管理会社を設立しようとしたり、無計画に資産管理会社を設立・運営して早期に廃業しようとすると、それ以上の費用がかかるリスクがあります。資産管理会社は、設立前の対策の前後で様々なコストを精査した上で設立することが最も効果的です。

この記事で紹介したメリット・デメリットを参考にして、本当に資産管理会社を始めた方が良いのか、税理士等に相談するのが有効な手段であると言えるでしょう。

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ABOUT US
税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。