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相続財産に未支給年金は含まれる?受取時の注意点もわかりやすく解説!

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被相続人が受給できるはずだった「未支給年金」があった場合、相続財産に含まれるのでしょうか。結論から言うと、厚生年金や国民年金などの未支給年金は相続財産に含まれず、遺産分割の対象にもなりません。しかし、受取時には知っておきたい注意点もあります。

そこで、この記事では相続財産に含まれる未支給年金について、受取時の注意点や相続税の課税の有無などをわかりやすく解説します。

未支給年金とは

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「未支給年金」とは、年金を給付されている方が亡くなられたことによって「未支給」となっている年金を意味します。

国民年金や厚生年金といった「公的年金」は被相続人の死亡月まで受け取ることができるため、死亡した時点で必ず未支給年金が発生します。その理由は以下です。

  • 公的年金は偶数月の15日ごろに、前月・前々月の合計2ヶ月分がまとめて支払われる
    (年6回の支給)
  • 偶数月に亡くなると1か月(もしくは3か月)分、奇数月に亡くなると2ヶ月分が未支給

たとえば、6月10日に亡くなられると4月分・5月分が未支給です。6月30日に亡くなられると、6月分が未支給となります。

未支給年金は相続財産に含まない

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未支給年金は相続財産(遺産)に含みません。預貯金や株式、不動産などの財産は相続財産に含みますが、なぜ未支給年金は含まないのでしょうか。その理由は以下です。

未支給年金には請求権があるため

未支給年金には、国民年金法第19条で請求権が定められており、未支給年金は被相続人と整形を同一にしていた方が「自己の名」で請求することができます。

引用:国民年金法第19条1項

年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。

厚生年金法37上も同様の規定があります。自己の名で請求できる、ということは請求する方ご自身の「権利」とみなすため相続財産には含まないのです。

遺産分割・相続税からも対象外

未支給年金は相続財産に含まないため、遺産分割の対象にも含まなくてOKです。また、相続財産には含まないため原則として相続税計算にも含まなくてOKです。ただし、後述しますが一部の年金は相続税の対象となる可能性があります。

受取時の注意点

未支給年金の受取時には注意が必要です。国税庁は「遺族が支給を受けた当該未支給年金は、当該遺族の一時所得に該当します。」としており、以下の条件に該当する方は確定申告も必要です。

・50万円以上の未支給年金を受け取った方

・未支給年金以外の一時所得と合算すると、50万円を上回る所得がある方

一時所得は所得税や住民税の課税対象となるため、ご注意ください。

参考URL  国税庁 未支給の国民年金に係る相続税の課税関係

相続放棄をしても受け取れる?

被相続人が生前に高額の債務(借金)を残している場合、相続放棄を検討される相続人も多いでしょう。相続放棄をすると、被相続人名義の財産はプラス・マイナス問わず放棄するため、特には住まいを失うことすらあります。

では、相続放棄をした場合は未支給年金はどうなるのでしょうか。未支給年金は繰り返しですが相続財産に含まないため、相続放棄をしても受け取れます。

内縁の妻・夫は受け取れる?受取時の注意点

生計を同一にしている内縁の妻・夫は未支給年金を受け取れるでしょうか。内縁関係の方は事実婚を日本年金機構へ書類を提出し、認められれば受け取れます。未支給年金を受け取れる「配偶者」には内縁関係の方も含むためです。国民年金法第5条8項で、以下のように定めています。

引用:国民年金法第5条8項
この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。

ただし、日本年金機構へ「事実婚関係及び整形同一関係に関する申立書」を提出する必要があるため受取時にはご注意ください。詳しくは下記リンクをご確認ください。

参考URL 日本年金機構 生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき

未支給年金には3つの種類がある!

クエスチョンマークと女性

未支給年金は次の3つの種類に分けられ、相続税の課税対象となる可能性がある年金もあります。詳しくは以下です。

未支給年金は次の3つの種類に区分されます。

未支給年金の種類
  1. 公的年金
  2. 企業年金
  3. 個人年金

上記の年金ごとに課税関係の取り扱いが異なるため注意が必要です。まずは、それぞれの違いについて確認していきましょう。

①公的年金

公的年金とは、いわゆる国民年金と厚生年金を指します。

  1. 国民年金…老齢基礎年金のこと
  2. 厚生年金…老齢厚生年金のこと

公的年金が未支給の場合、相続税の課税対象にはなりません。公的年金は冒頭に述べたように2ヶ月に1度、2ヶ月分の年金が後払いとして支給されるしくみです。

②企業年金

企業年金とは、私企業が従業員の退職後の生活の備えて運営している年金で、公的年金制度に上乗せして年金を支給するしくみです。国による運営ではない運営ではないため、すべての企業が備えているしくみではありません。

従業員規模が大きいほど、運営されている傾向があります。また、企業年金の種類やルールも、企業によって大きく異なります。

未支給年金については相続税の課税対象で、退職後に分割払いで受け取っています。(受け取れる年数は企業によって異なる)

たとえば
退職金を支給期間20年の年金形式で受給することとし、10年目で亡くなってしまった場合は残存期間である10年分の企業年金が未支給年金となります。

この場合の未支給年金部分が、相続税の課税対象です。

③個人年金

個人年金とは、個人が老後の資金を目的に加入する年金のことで、公的年金を自らの資金を活用して補うことができます。未支給年金については相続税の課税対象です。

金融機関や保険会社などが取り扱っている「個人年金保険」のことを指します。契約内容によってしくみが異なり、死後に未支給年金が残されることがあります。

なぜ企業年金・個人年金には相続税が発生するの?

相続と書かれた積み木と家と人の模型

公的年金の未支給年金には相続税が発生しませんが、企業年金・個人年金の未支給年金については相続税の課税対象となります。その理由は以下のとおりです。

企業年金:在職中に死亡した場合

企業年金に加入しており、在職中に死亡した場合は「死亡退職金」として相続税の課税対象になります。死亡退職金は在職中に死亡した社員の遺族に支払われる退職金のことを指し、退職手当金は被相続人の相続財産とされるため、相続税の課税対象になるのです。そのため、受け取るご遺族には所得税の課税はなされません。

死亡退職金については一定の非課税枠が設けられており、次の算式で非課税枠の計算をおこないます。

■死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
たとえば
死亡退職金が5,000万円、法定相続人が3人であった場合は死亡退職金の金額から非課税枠の金額を差し引いた3,500万円が相続税の課税対象となります。

企業年金:受給中に死亡した場合

企業年金を受給している場合に受給者が死亡した場合は「契約に基づかない定期金に関する権利」として相続税の課税対象となります。定期金に関する権利とは被相続人と企業などが定期金給付契約により一定期間にわたって、金銭等の給付を受ける権利のことです。

しかし、企業年金における未支給年金を受給するご遺族は、支払い元となる企業と契約を結んでいるわけではありません。そのため、契約に基づかない定期金に関する権利となり、相続税の課税対象となります。

また、企業年金の未支給年金については上記の死亡退職金のような非課税枠が設けられていないため注意が必要です。

まとめ

本記事では未支給年金について、相続財産に含まれるのか詳しく解説しました。未支給年金は相続税・所得税・住民税に影響を与えるため、受取時には注意が必要です。また、相続税や確定申告漏れにつながる可能性があります。被相続人が生前に金受給者だった場合は必ず受給状況などを確認しましょう。

また、相続税については未支給年金以外にもさまざまな相続財産が課税対象となります。ただし、多数の税額控除や特例があるため、正しく適用することで節税できることがあります。ぜひ響き税理士法人へ、お気軽にご相談ください。

響き税理士法人のスタッフ

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ABOUT US
税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。