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相続財産にみなされる財産とは一体なに?みなし相続財産の代表例と相続放棄との関係性について徹底解説

身内が亡くなった際にやらなくてはならないことの1つが「遺産相続」です。

相続する財産の中には「相続財産になるもの」「相続財産とみなされるもの」などがあり、財産の種類によって取扱いが異なります。また、相続税の申告をおこなう際には相続財産を漏らすことなく集計し、適切な計算方法で税額を計算する必要があるため、それぞれの相続財産がどのような取扱いになるのかを気をつける必要があります。

そこで今回は、相続財産とみなされる財産を中心に解説していきます。

相続財産は大きく2つに区分される

遺族が受け取ることができる財産のことを「相続財産」といい、相続財産は大きく次の2つに分けられます。

相続財産
  • 本来の相続財産
  • みなし相続財産
「相続財産は1つではなく2つも種類があるの?」

「最終的に受け取る財産だからそれぞれの違いが分からなくてもいいのでは?」

と思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、この2つをしっかり押さえておくことは、相続税の計算を正しくおこなう上で、非常に大切なことです。特に「みなし相続財産」は少し特殊な取扱いとなっているため注意が必要です。

次では「みなし相続財産とは一体どういうものなのか」「本来の相続財産となにが違うのか」ということについて、詳しく解説していきます。

本来の相続財産

本来の相続財産とは、

本来の相続財産
  • 被相続人が生前に所有していた財産
  • 金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの

という2つの定義にあてはまるものをいいます。生活の中で財産価値があると考えられるものが「本来の相続財産」となり、下図のような財産が本来の相続財産に該当します。

種  類 細  目
土地 宅地
山林
その他の土地(牧場、原野、池沼など)
家屋 家屋・構築物
事業(農業)用財産 機械、器具、農機具、その他の減価償却資産など
商品、製品、半製品、原材料、農産物等
売掛金
その他の財産(電話加入権など)
有価証券 株式、出資
公債、社債
証券投資信託、貸付信託の受益証券
現金・預貯金 現金、普通預金、当座預金、定期預金、金銭信託など
家庭用財産 家具、備品、電話加入権、書画、骨董品、宝石など
その他の財産 立木

みなし相続財産

みなし相続財産とは本来の相続財産に該当しないが、相続財産とみなされる財産のことをいいます。具体的に下記の定義に該当する財産のことをいいます。

本来の相続財産
  • 相続もしくは遺贈(遺言書による贈与)によって受け取る財産ではないこと
  • 被相続人が亡くなったことがきっかけで受け取る財産のこと

みなし相続財産は、被相続人の死亡を起因として受け取る財産のことを指すため、被相続人が生前所有していた財産ではなく、死亡後に相続人が受け取る「生命保険金」や「死亡退職金」などがみなし相続財産に当てはまります。

また、みなし相続財産を相続する場合、通常の遺産相続と同様に財産の集計を行う必要があります。そのため、相続税の計算の際には集計漏れなど間違いの無いように慎重に作業を進める必要があります。

みなし相続財産にはどういったものがある?

みなし相続財産は相続財産とみなす財産のことを意味するため、一部の財産については見落しがちであるともいえます。代表的なみなし相続財産は、「生命保険金」と「死亡退職金」の2つですが、その他にもいくつか種類があり、次では具体的なみなし相続財産について解説していきます。

亡くなった際に受け取る「生命保険金」

被相続人が亡くなった際に保険会社から遺族に支払われる生命保険金は「死亡保険金」と呼ばれ、みなし相続財産の1つとなります。ただし、ここで注意したいポイントが「誰が保険料を負担していたか」という点です。

保険料を負担していたのが被相続人である場合は「みなし相続財産」とされますが、保険料を支払っていたのが被相続人ではなかった場合、課税されるのは相続税ではなくなるため、相続財産の集計には含めないということになります。

  • 保険料負担者が被相続人→みなし相続財産に該当
  • 保険料負担者が被相続人以外→みなし相続財産に非該当

保険料負担者ごとの課税される税金は以下の通りになります。

【被相続人が夫の場合】

条件 契約者 被保険者 受取人 課税される税金
契約者=被保険者 妻・子 相続税
契約者=受取人 妻・子 所得税
契約者・被保険者・受取人すべてが異なる 贈与税
契約者=受取人 妻・子 所得税
契約者≠受取人 贈与税

亡くなった際に受け取る「死亡退職金」

被相続人が亡くなった際に、勤務先から相続人に支給される「死亡退職金」も相続財産とみなされます。死亡退職金とは、被相続人の退職手当金等として支給されるはずであった退職手当金のことを指します。

死亡退職金は被相続人が亡くなった場合に被相続人の勤務先から相続人へ支給されるため、本来の相続財産ではなく、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。ただし、死亡退職金は受け取る時期によって課税される税金が異なるため、注意が必要です。

  • 死亡後3年以内に遺族が受け取った退職金⇒「相続税」
  • 死亡後3年以降に遺族が受け取った退職金⇒「所得税」

また、生前において被相続人が勤務先を退職し、退職金を受け取っていた場合は、遺族に退職金が支払われることはなく、生前の被相続人に対して所得税の課税対象となります。

年金などを受け取る「定期金の権利」

定期金の権利とは被相続人が受け取っていた個人年金や保険金など、一定期間にわたり受け取ることができる権利のことをいい、定期金の権利によって、相続人が受け取る金銭は、みなし相続財産として相続財産に含まれます。

「定期金」とは一定の期間に年金のようにお金が支払われるお金のことをいい、たとえば、個人年金などが該当します。ただし、同じ年金であっても国民年金や厚生年金などの公的年金制度における年金は、みなし相続財産に該当しないため注意が必要です。また、契約に基づく定期金に関する権利の取り扱いについては、契約者が誰であるかによって次のように取り扱いが異なります。

未来の財産 契約者が被相続人である場合
みなし相続財産 契約者が被相続人以外である場合

債務を免除された場合における「債務免除」

債務を免除された場合における「債務免除」もみなし相続財産としてみなされます。被相続人の遺言により債務を無償で免除された場合、免除された債務の金額がみなし相続財産として扱われます。

たとえば
被相続人に500万円を借りていたが、被相続人の遺言によって返さなくてよいとなった場合です。この場合、返済が免除された500万円がみなし相続財産として相続税の課税対象になります。

相続財産の金額によっては、相続する財産は何もないにもかかわらず、相続税が発生する場合もあるため注意が必要です。

その他

その他にも「みなし相続財産」として扱われるものがありますのでいくつか紹介していきます。

弔慰金(ちょういきん)

弔慰金とは社員が亡くなった際に、企業が遺族に対して渡すお金のことをいいます。弔慰金の金額は勤続年数や企業が独自で決めた条件により、金額が変動することが一般的です。

また、弔慰金は基本的に非課税財産となることが多いですが、これは弔慰金に非課税枠が設けられているためであり、次の算式で求めた金額を超えた分は死亡退職金とみなされ、相続財産として課税対象となります。

  • 業務上での死亡である場合・・・普通給与の3年分(月給×36ヶ月分)
  • 業務外での死亡である場合・・・普通給与の半年分(月給×6ヶ月分)

信託受益権

被相続人が信託銀行などに遺産を預け、管理や運用を信託銀行に任せるということを「信託」といいます。遺言によって相続人がその利益を受ける場合は相続税の課税対象となります。

公共法人等から受ける利益

法人に対して財産の遺贈が行われ、その法人と特別な関係を持つ者が利益を受けた場合、この利益部分がみなし相続財産として相続税の課税対象となります。

相続税には非課税枠がある?

相続税の一部の財産には非課税枠が設けられており、「生命保険金」と「死亡退職金」を受け取る場合に限り、一定額までは非課税枠が設けられています。受け取ったみなし相続財産の金額が非課税枠に収まる場合は、相続税の課税対象額は0円ということになります。

生命保険金の非課税枠の計算

生命保険金の非課税枠は【500万円×法定相続人の数】で求めることができます。

たとえば

【相続人】・・・配偶者と子2人

である場合における生命保険金の非課税枠の金額は、1,500万円(500万円×3)となります。

この場合、1,500万円までの生命保険金は課税対象とはならず、超過した分が相続税の課税対象になります。また、生命保険金の計算式で適用される「法定相続人」については、相続税の基礎控除額の計算と同じ考え方になっています。

具体的には、法定相続人について下記の規定があります。

法定相続人についての規定
  • 相続放棄した人がいてもその数を含める
  • 養子に関しては、実子がいなければ2人まで、実子がいれば1人まで含めることができる

以上の条件と方法で、生命保険金の非課税枠を求めることができます。

すべての生命保険金に非課税枠があるわけではない

生命保険金の非課税枠について紹介しましたが、すべての生命保険金に非課税枠があるわけではありません。

たとえば、相続人ではない人が被相続人の生命保険金を取得する場合、非課税枠は適用されず、受け取る生命保険金すべてが課税対象になります。また、相続放棄をおこなった人は、非課税枠の計算をするときには法定相続人の数に含まれますが、生命保険金を受け取っても相続税の非課税枠は適用されません。

具体例

○相続人は母と子の2人で、子どもが1000万円の死亡保険金を受け取る場合

「生命保険金の非課税枠 = 500万円×2人= 1000万円」

  • 母と子がそれぞれ財産を相続するとき

母と子がそれぞれ財産を相続する場合は、子どもが受け取る生命保険金1000万円全てに非課税枠が適用されます。

  • 子が相続放棄をするとき

子が相続放棄をおこなった場合は、子が受け取る死亡保険金に非課税枠は適用されず、1000万円全額が相続税の課税対象となります。

このように、相続放棄をした人には非課税枠は適用されませんので注意しましょう。

死亡退職金の非課税枠の計算

それでは次に、死亡退職金の非課税枠の計算方法を確認していきましょう。死亡退職金の非課税枠も、生命保険金の非課税枠と同様の算式で計算することができます。

たとえば
相続人が配偶者と子が2人の場合、非課税枠の金額は1,500万円(500万円×3)となります

この場合1,500万円までの死亡退職金は課税対象とはならず、1500万円を超過した部分が相続税の課税対象になります。死亡退職金の計算式で適用される法定相続人については、相続税の基礎控除額の計算と同じ方法です。

具体的には、法定相続人について下記の規定があります。

  • 相続放棄した人がいてもその数を含める
  • 養子に関しては、実子がいなければ2人まで、実子がいれば1人まで含めることができる

以上の条件と方法で、死亡退職金の非課税枠を求めることができます。

弔慰金には注意が必要

弔慰金の取り扱いについてはケースごとに注意すべきことがあります。ここでは次の2つのケースにおいて注意すべきことを解説していきます。

注意するケース

① 複数の勤務先から弔慰金をもらった時

② 会社以外から弔慰金をもらった時

① 複数の勤務先から弔慰金をもらった時

複数の勤務先から弔慰金をもらった時は計算が複雑になるため注意が必要です。

たとえば
A社を退職しB社に就職した後に死亡した場合において、A社とB社から弔慰金が支給されるようなケースです。

この場合、A社から受け取った弔慰金は死亡した段階では勤務先ではないため、受け取った相続人の一時所得として課税されます。また、B社から受け取った弔慰金については、受け取った金額が弔慰金の非課税枠内の金額であれば相続税が課税されることはありません。

しかし、弔慰金の金額が非課税枠を超えている場合は、非課税枠を超えた部分の金額が相続税の課税対象となります。

② 会社以外から弔慰金をもらった時

勤めている会社以外から弔慰金をもらった時は相続税がかからないケースがあるため注意が必要です。

たとえば
自然災害などによって国や自治体が弔慰金を支給するケースなどが該当します。

この場合は公的な弔慰金の取り扱いとなり、次の弔慰金に該当する場合は相続税の課税対象とはなりません。

課税対象外の弔慰金
  • 災害弔慰金
  • 国会議員の死亡にともなう弔慰金
  • 戦没者遺族に対する弔慰金や特別弔慰金
  • 国外犯罪被害弔慰

死亡保険金は相続税以外の税金が課税されることがある?

死亡保険金には、必ずしも相続税の課税対象になるとは限らず、相続税以外の税金が課税されることがあります。これは、生前契約していた生命保険の保険契約に基づいて死亡保険金が支払われるため、法律上「受け取った人の固有の財産」になるからです。

具体的には
  • 保険契約の被保険者
  • 保険料の負担者
  • 保険金の受取人

上記が誰かによって、課税される税金が異なり、相続税以外でいうと「贈与税」か「所得税」が課税される場合があります。ここでは、それぞれのケースについて解説します。

贈与税がかかる場合

まず、贈与税がかかる場合を説明します。

たとえば
  • 被保険者:夫
  • 保険料の負担者:妻
  • 保険金受取人:子

この場合は妻が保険料を負担し、保険金を受け取るのは子どもであるため、贈与関係が成立し保険金に贈与税が課税されます。相続税の課税対象ではないため、相続税の非課税枠は関係ありません。妻がお金を支払い、子どもに保険金を与えるという構造になるため、妻から子への「贈与」ということになります。

所得税がかかる場合

次に所得税がかかる場合です。

たとえば
  • 被保険者:夫
  • 保険料の負担者:妻
  • 保険金受取人:妻

この場合は保険料を負担しているのが妻で、保険金を受け取るのも妻自身となるため、相続や贈与などは関係ありません。そのため、上記のケースでは所得税が課税され、上記同様に相続税の非課税枠は関係ありません。

みなし相続財産における注意点

ここまでみなし相続財産について解説してきましたが、いくつかの注意点もあります。みなし相続財産は、厳密に言うと「相続財産」ではないため、通常の相続財産とは異なる要素があります。

ここからは、みなし相続財産における注意すべきポイントを3つ紹介します。

みなし相続財産は遺産分割の対象にならない

まず、みなし相続財産は遺産分割の対象にならないことに注意が必要です。

遺産分割とは、法律で決められた相続人(主に遺族)が全員参加し、相続財産の分け方を決めることです。みなし相続財産は相続税が課税されますが、法律上相続財産ではないため、遺産分割の対象にはなりません。

たとえば、生命保険金は受取人が取得する固有の財産に分類されることから、遺産分割の対象とはならず財産を分ける必要はありません。また、みなし相続財産が遺産分割の対象外であることで、トラブルが発生することがあります。

たとえば
法定相続人が子A・子Bの2人である場合で、

  • 子A:本来の相続財産である不動産
  • 子B:生命保険金(死亡保険金)

をそれぞれ受け取っている場合、生命保険の受取人になった子Bは、本来の相続財産である不動産についての遺留分を請求することができます。しかし、子Aについては生命保険金に対しては、遺留分の請求ができません。

このように、「本来の相続財産」と「みなし相続財産」に差があると不公平になり、相続人の間でトラブルが発生する原因となる場合があります。

みなし相続財産は相続放棄をおこなっても受け取ることができる

相続では相続放棄をおこなうケースがありますが、みなし相続財産は相続放棄をおこなっても受け取ることができます。

みなし相続財産は本来の相続財産ではなく、被相続人が亡くなったことがきっかけで受け取ることのできる財産です。そのため、何らかの理由で相続放棄をおこなった場合でも、受取人であればみなし相続財産を受け取ることができます。ただし、相続放棄をおこなっている場合は、受け取ったみなし相続財産のすべてが相続税の課税対象となるため注意が必要です。

相続放棄をおこなうと非課税枠が使えない

相続放棄をおこなっていると、生命保険金や死亡退職金のみなし相続財産を受け取ることはできますが、非課税枠を適用することができないため注意が必要です。

たとえば
  • 相続人が配偶者と子1人
  • 死亡保険金6,000万円のうち、それぞれ半分ずつを相続する
  • 子が相続放棄をおこなっている

である場合における非課税枠は1,000万円(500万円×2人)となり、配偶者は相続放棄をおこなっていないため、1,000万円は非課税枠が適用できます。

結果として差額の2,000万円(3,000万円−1,000万円)が相続税の課税対象となります。相続放棄をおこなった子は、生命保険金として受け取った3,000万円すべてが、相続税の課税対象となります。

まとめ

みなし相続財産は生命保険金や死亡退職金など様々ですが、みなし相続財産の種類によって、非課税枠が適用されるもの、適用されないものがあったりと、細かい決まりがあります。みなし相続財産の考え方は非常に複雑といえますが、それらを適切に理解をしていなければ、正しい税金を計算することができません。場合によっては延滞税や加算税などのペナルティが発生する場合もあるため、慎重に計算をおこなう必要があります。

そうならないためにも、相続について少しでも不安や疑問がある場合は税理士などの専門家に依頼するようにしましょう。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。