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贈与証明書と贈与契約書は違う?具体的な書き方を解説します

そもそも贈与とは

そもそも贈与とは、所有する財産を無償で第三者に譲り渡す行為のことをいい、贈与をおこなう人を「贈与者」、贈与を受ける人を「受贈者」といいます。

贈与は当事者となる贈与者と受贈者が合意することで成立するため、口頭などでも成立してしまう行為です。しかし、口約束だけで贈与を済ませてしまうと、後々トラブルの原因となってしまいます。

そこで贈与証明書などの書類を作成することが重要になります。

贈与証明書とは

贈与証明書とは贈与という行為があったことを証明する書類のことをいい、「贈与証書」や「贈与契約書」などが該当します。贈与は贈与者と受贈者の双方が合意することで成立する行為のため、どちらか一方だけが贈与を認識しているだけでは認められません。

たとえば
父が息子に現金を100万円贈与する場合、父が贈与をした認識があった場合でも、息子が贈与を受けた認識がなければ贈与は成立しません。

そのため、贈与があったことを双方において認識するために、贈与証明書や贈与契約書が作成されます。

贈与証明書と贈与契約書は違う?

 

贈与証明書と贈与契約書は言葉は違いますが、この2つに大きな違いはありません。

贈与を証明する書類のことを贈与証明書といい、贈与を証明する書類の1つが「贈与契約書」となります。そのため、贈与証明書が大きな括りであり、贈与契約書はその大きな括りの中の1つであるといえます。

ただし、贈与自体に贈与契約書などの贈与証明書の作成は必要とされていないことから、必ずしも贈与契約書などの贈与証明書を作成する必要はありません。あくまでも、贈与契約書を作成しておいたほうが、トラブルを未然に防ぐことができるなど、様々なメリットがあるということにすぎません。

贈与契約書の必要性とは

贈与をおこなう際に贈与契約書の作成は必須ではありません。しかし、贈与契約書を作成することは様々なメリットがあります。

ここでは贈与契約書の作成が必要といえる理由を5つ紹介していきます。

贈与があった事実を証明するため

贈与契約書は贈与があった事実を証明するために必要といえます。

贈与は贈与者と受贈者の双方において、贈与があった認識がある場合に認められる行為のことをいいます。そのため、贈与がおこなわれた当時において、お互いに「贈与をおこなった」「贈与を受けた」という認識を一致させておく必要があります。

たとえば
親が子供の名義で預金口座を開設し、子供名義の預金口座へ現金を預け入れた場合、子供が預金口座の管理を行っている場合とそうでない場合で取り扱いが異なります。

  • 子供が預金口座の管理をおこなっている場合・・・贈与が成立している
  • 子供が預金口座の管理をおこなっていない場合・・・贈与が成立していない

ここで重要なのは、贈与を受けた認識が子供にあるかどうかです。

預金口座の管理をおこなっているということは「贈与を受けた認識がある」と認められるため、贈与が成立しているとされます。このように贈与があったことを証明するためにも、贈与契約書を作成することが重要になるのです。

また、民法においては贈与契約書などの書面によらない贈与の場合、贈与が実行されていなければ取り消すことができるとされています。

参考:民法第五百五十条|e-GOV 法令検索

税務調査の対策

贈与契約書を作成することは税務調査の対策のためでもあります。

相続税の税務調査では「名義預金」について調べられることがあります。名義預金とは預金口座の名義人と実際のお金の持ち主が異なる預金口座のことをいいます。

たとえば
親が子供の名義で預金口座を開設し、子供名義の預金口座へ現金を預け入れた場合、子供が預金口座の管理をおこなっていなければ名義預金とみなされます。

名義預金とみなされた場合は、預金口座の名義人ではなく、実際のお金の持ち主である親の財産としてみなされるため、相続税が課税される可能性があります。

そういったことにならないためにも、贈与があったことを証明する贈与契約書が重要になります。

親族間トラブルを防ぐため

贈与契約書は親族間におけるトラブルを防ぐための役目もあります。

贈与についてトラブルになるケースとしては、「贈与すると言った」「贈与すると言われていた」などの口約束によるトラブルです。このようなトラブルを発生させないためにも贈与契約書が必要といえます。

贈与契約書を作成しておくことで、親族間での議論や問題解決のための材料とすることができ、トラブルを未然に防ぐことができます。

登記手続きを円滑におこなうため

贈与契約書は登記手続きを円滑におこなうためにも必要といえます。

贈与によって不動産を取得した場合、不動産の名義を新たな名義人に変更する必要があります。その際に必要となるものが贈与契約書です。

名義人を変更する際には「なぜ名義人が変更することになったのか」を証明する書類が必要になるため、贈与契約書を作成しておくことで、不動産の所有権移転登記手続きを円滑におこなうことができます。また、贈与契約書には贈与に関する条件や注意事項などを記載することが一般的です。

そのため、受贈者は贈与契約書の内容を確認し、契約違反にならないように注意することができます。贈与契約書はこのような贈与にともなうトラブルを、未然に防ぐ効果もあるといえます。

贈与契約書の記載項目とは

贈与契約書に記載する項目は一般的に次のような項目となっています。

贈与契約書の記載項目
  • 贈与者に関する情報(氏名・住所・連絡先など)
  • 受贈者に関する情報(氏名・住所・連絡先など)
  • 贈与に関する条件
  • 贈与に関する注意事項
  • 贈与に関する保証事項
  • 贈与に関する誓約事項
  • 贈与契約の解除に関する事項
  • 贈与の返還に関する事項
  • 贈与に伴う紛争発生時の管轄裁判所
このように贈与契約書では細かな記載項目が多々あります。契約書の内容が細かければ細かいほど、トラブル防止の効果が高いといえますが、その反面、確認漏れなどによってトラブルを招く場合もあるため注意が必要です。

贈与財産別における贈与契約書の記載項目

贈与契約書は上記の記載項目以外にも、贈与をおこなう財産によって記載項目が異なります。

ここでは贈与財産別における贈与契約書の記載項目について解説します。

現金や預金を贈与する場合

現金や預金を贈与する場合、上記の記載項目に加えて次のような項目を記載します。

現金・預金贈与の記載項目
  • 贈与財産の名称(現金や預金など)
  • 贈与する金額
  • 現金や預金の贈与日
  • 贈与期限

など

現金や預金を贈与する場合は、現金を直接手渡しすることは現実的であるとはいえません。そのため、贈与契約書には「預金口座への振り込みによる贈与」である旨の条件を記載するようにしましょう。また、振込期限についても併せて記載するようにしましょう。

不動産を贈与する場合

土地や建物などの不動産を贈与する場合、上記の記載項目に加えて次のような項目を記載します。

不動産贈与の記載事項
  • 贈与財産の概要(所在・番地・地目・地積) ※贈与財産が土地である場合
  • 贈与財産の概要(所在・番地・家屋番号・種類・構造・床面積) ※贈与財産が建物である場合
  • 引き渡し日
  • 贈与前の名義人
不動産を贈与する場合は、必ず不動産登記簿謄本を確認するようにしましょう。

また、贈与財産が持分100%の不動産ではない場合は、「持分○分の○」という項目も追記するようにしましょう。

株式を贈与する場合

株式を贈与する場合は、上記の記載項目に加えて次のような項目を記載します。

株式贈与の記載事項
  • 贈与財産の概要(株式の銘柄・株式数)
  • 引き渡し日
株式を贈与する場合、未上場の法人の場合、株式の譲渡制限が設けられていることが一般的です。

そのため、贈与をおこなう前に株主総会などによる譲渡承認を決議する必要があります。

贈与契約書が満たすべき要件

贈与契約書には記載項目以外にも満たすべき要件がいくつかあります。

ここでは3つの要件を紹介します。

署名および捺印

贈与契約を確実なものとするためには、贈与者と受贈者の双方が贈与契約に合意したことを証明する必要があります。

贈与があった実態を証明するためには、署名および捺印がよいとされています。ただし、この場合における捺印は必ずしも実印でなくても問題ありません。

確定日付

贈与契約書の証明力を高めるために確定日付をとることも重要です。

確定日付とは、書類がその日に存在していたことを証明するために日付を確定させることをいい、公証人役場などで確定日付をとることができます。確定日付は贈与契約の締結日を証明する効果しかないため、重要度は低いといわれていますが、将来起こりうるトラブルを未然に防ぐためという意味では、非常に重要であるといえます。

また、確定日付を取る際は、当事者双方の立ち合いのもとでおこなうとよいでしょう。

未成年者に贈与する場合の契約書はどうする?

未成年者に贈与する場合は、贈与契約書に注意が必要です。未成年者との贈与契約は「法定代理人の同意」が必要とされています。

法定代理人
  • 親権者
  • 未成年後見人
  • 成年後見人

の3種類に分かれ、一般的に親権者が法定代理人となるケースが一般的です。そのため、未成年者に贈与する場合の贈与契約書には、法定代理人の署名および捺印が必要になります。

ただし、未成年者は民法上、「制限行為能力者」とされているため、自らの意思で判断や法律行為ができないとされています。そのため、法定代理人の許可なく締結した贈与契約であれば、契約を取り消すことができます。

贈与契約書を作成する際に注意すべき2つのポイント

贈与契約書は贈与者と受贈者にとって非常に重要な契約書となります。そのため、贈与契約書を作成する際にはいくつかのポイントがあります。

ここでは贈与契約書を作成する際に注意すべきポイントを2つ紹介します。

① 収入印紙が必要

贈与契約書を作成する際には贈与する財産によって、収入印紙が必要な場合があります。贈与する財産が不動産である場合、必要な印紙税は「200円」と定められています。

通常であれば、財産の金額によって印紙税が変動しますが、贈与の場合はあくまでも無償による取引となるため一律200円となります。また、贈与する財産が現金や株式などの不動産以外である場合は、収入印紙は必要ありません。

ただし、受贈者に特定の債務を負担させることを前提に贈与をおこなう「負担付贈与」の場合は、通常の売買取引などと同じ取り扱いとなるため、下記のとおり、金額に応じた印紙税が必要になります。

記載された契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1千円
100万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

引用:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

②連年贈与に注意する

贈与をおこなう際には連年贈与に注意する必要があります。

贈与税には1年間で110万円の基礎控除があるため、「1年間で110万円までの贈与であれば贈与税がかからない」と考える方が多いのではないでしょうか。しかし、連年贈与とみなされてしまうと、多額の贈与税が発生してしまう可能性があるため注意が必要です。連年贈与とは毎年繰り返されている贈与のことをいいます。

たとえば
毎年100万円を10年間贈与していた場合などがあげられます。

この場合、あらかじめ1,000万円を10年間にわたって贈与するという意思表示があったのではないかとみなされる場合があります。その場合、総額である1,000万円に対して贈与税が課税されてしまいます。

連年贈与とみなされないためには、

  • 毎年、贈与する金額を変動させる
  • 毎年、贈与する時期を変更する
  • 毎年、贈与契約書を作成する

など、贈与が「当初から計画的におこなってきたものではない」と、明確化しておくことが重要になります。

贈与税が発生するのはいくらから?

贈与税が発生するのは暦年贈与の場合、年間110万円を超える贈与である場合は贈与税が発生します。贈与税は上記にもあるように110万円の基礎控除があり、具体的に次の算式で計算されます。

そのため、贈与額が110万円を超える場合は贈与税が発生することになります。また、贈与税率は贈与額から110万円を差し引いた課税価格に応じて変動します。

具体的には次のように定められています。

<一般贈与財産>(一般税率)

この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。

例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

<特例贈与財産用>(特例税率)

この速算表は、贈与により財産を取得した者(贈与を受けた年の1月1日において18歳(注)以上の者に限ります。)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税の計算に使用します。

(注) 「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。

例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。(夫の父からの贈与等には使用できません)

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

引用:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与税では、贈与する相手が親族であるかどうかなどによって贈与税率が変動します。

たとえば
親から子への贈与で、1,000万円の贈与がおこなわれた場合における贈与税額は次のとおりです。

贈与税額=(1,000万円−110万円)×30%−90万円=177万円

生前贈与は相続税対策にならない?相続税の持ち戻しとは

相続税対策として活用されるものが生前贈与ですが、場合によっては相続対策とはならない場合があります。

これは「相続税の持ち戻し」という制度によるものであり、贈与のタイミングが相続が発生する3年以内であれば、その贈与はなかったものとされるという内容です。厳密には相続が発生する3年以内に贈与された財産は、相続財産に戻して相続税を計算するという内容になっています。

そのため、相続財産を減らすために生前贈与をおこなった場合でも、相続が発生する直前であれば「相続税の持ち戻し」の対象になるため、相続税対策にはならないことになります。また、税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与については、相続税の持ち戻しの対象となる期間が3年から7年に延長されることになっています。

まとめ

贈与契約書は贈与をおこなう際に必ずしも必要なわけではありません。しかし、贈与は親族間においてもトラブルになりやすい行為の1つです。そのため、贈与契約書などの証明書類を作成しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

しかし、贈与契約書を作成する際に記載項目に誤りやがある場合や、不備がある場合は反対にトラブルの原因となってしまうため、契約書の作成方法に疑問や不安がある場合は、専門家に依頼するようにしましょう。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。