要注意! 不動産の生前贈与をする前に税理士に相談すべき3つの理由

税理士友野
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不動産を子どもや孫に生前贈与しようと考えている方の中には、「不動産の登記名義の変更申請をするのだから登記の専門家である司法書士に相談しよう」とお考えの方もいるのではないでしょうか。

確かに、不動産の生前贈与には登記申請が必要で、登記申請の専門家は司法書士ですので、「司法書士に相談しよう」というお考えは間違っていません。ただ、登記申請を行う前に税金のことを考えないと、不動産の生前贈与を受けた人、つまりあなたの子どもや孫に多額の税金を負担させてしまう可能性があることはご存知でしょうか。

司法書士へ相談するのは税金の負担関係を整理した後でも遅くはありませんので、まずは税金の負担関係について税理士に相談することをおすすめします。

この記事では、不動産の生前贈与をする前に税理士に相談すべき3つの理由を紹介します。

税理士に相談すべき3つの理由

まず、不動産の生前贈与をする前に税理士に相談すべき3つの理由を簡単に紹介します。

多額の贈与税がかかる可能性がある

一点目は、多額の贈与税がかかる可能性があるためです。贈与税の最高税率は55%ですから、贈与する財産の時価によっては時価の半分以上の贈与税を納付する必要が生じる可能性もあります。

たとえば、配偶者の親から時価15,000万円(1億5千万円)の土地の贈与を受けたときの贈与税額は約7,800万円です。「せっかく土地を贈与してもらったのに、贈与税が払えないからその土地を売る羽目になった」ということにならないよう、贈与の前に税理士に相談することをおすすめします。

贈与の方法によっては贈与税を抑えることができるため

二点目は、贈与の方法によっては贈与税を抑えることができるためです。一定の要件を満たせば、「相続時精算課税制度」という制度を選択することが可能で、この制度の適用を受けると2,500万円の特別控除額を使えるようになりますから、贈与を受けたタイミングでの贈与税額を大きく減らすことが可能です。

将来の相続まで踏まえた検討が必要であるため

三点目は、将来の相続まで踏まえた検討が必要であるためです。財産が現金以外の場合、贈与税評価額や相続税評価額は贈与または相続があった時点の時価で算定されることが一般的であるため、その財産が将来値上がりしそうな資産かどうかで、いつ財産を移転すれば得なのかが変わります。

以上の3つの理由について、詳しく解説します。

多額の贈与税がかかる可能性がある

贈与税の仕組み

贈与税は個人からの贈与によって財産を取得した場合にその取得した財産に課税される税金で、贈与によって財産を取得した人が贈与税を納める義務を負います。「贈与税 は財産をあげた(贈与をした)人が課税される」と勘違いされている方もいますが、そうではなく、贈与税は財産をもらった人(贈与を受けた人)が課税される税金です。

贈与税額の計算方法は、原則課税と相続時精算課税の二種類があります。相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

原則課税の場合の贈与税額は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計し、その合計額から基礎控除額である110万円を差し引いた残額に贈与税率を乗じて計算します。

一方、相続時精算課税の場合の贈与税額は、相続時精算課税制度の選択に係る贈与者からその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計し、その合計額から2,500万円を引いた残額(去年以前で使った特別控除額がある場合は2,500万円からその特別控除額を引いた残額)に20%の税率を乗じて計算します。

相続時精算課税制度を選択できる場合において、原則課税と相続時精算課税のどちらを選択する方が得かは個別の事情(例:財産の種類、現状の余剰資金の状況など)によって変わりますので、適切な判断をするためにも税理士に相談されることをおすすめします。

贈与税は忘れたころにやってくる(贈与した年の翌年3月15日)

贈与税の申告と納税は、個人からの贈与によって財産を取得した人が、その財産を取得した年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。

1月や2月に財産を取得した人であれば、その財産を取得した日の1年以上後に贈与税の申告と納付をすることになるので、まさに「忘れたころにやってくる」税金です。

贈与税は次の4つの方法で納付することができますが、いずれにしても一括して支払うことが原則です。

  • 金融機関または税務署の窓口で現金納付する
  • e-Taxで電子納付する(預貯金口座から振替により納付する「ダイレクト納付」と、インターネットバンキングから納付する方法があります)
  • クレジットカードで納付する(専用のWeb画面から納付します。最大で1,000万円まで納付できます)
  • コンビニで納付する(QRコードを使う方法や、Loppi、Famiポートなどの端末を使う方法などがあります。最大で30万円まで納付できます)

なお、一度に多額の納税をすることが難しい場合もあり、そのような人のために5年以内の年賦により納税する延納という納税方法があります。延納をする場合は、贈与税の申告期限(つまり3月15日)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して所轄税務署長に提出する必要があります。原則課税と相続時精算課税のどちらが得かを税理士に相談される場合は、延納についても一緒に相談するとよいでしょう。

不動産取得税もかかる

不動産の贈与を受けた場合にかかる税金は贈与税だけではなく、不動産取得税も課税されます。

不動産取得税とは、不動産(土地・建物)の取得に対して課される税金です。根拠法令は地方税法で、その不動産の所在する都道府県が、不動産の取得者に対して課税を行います。要件は「取得」ですから、売買による取得だけではなく、贈与による取得や交換による取得も原則として不動産取得税が課されます

不動産取得税の税率は、原則として取得した不動産の価格の4%です。「取得した不動産の価格」は、新築や増築以外の場合は固定資産税評価額で、新築や増築の場合は固定資産評価基準によって評価・決定された金額です。「固定資産税評価額」は、毎年送付されてくる固定資産税の納付書に記載されている他、市区町村で確認することも可能です。

ケースによっては贈与税を抑えることができる

特例を使う

あまり知られてはいませんが、贈与税には原則税率と特例税率があります。特例税率は、直系尊属(祖父母や父母など)からその年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与の場合に適用できる税率で、基礎控除後の課税価格が300万円を超える場合は特例税率を適用すると贈与税の金額を抑えることができます。たとえば、基礎控除後の課税価格1,000万円の場合、原則税率で計算した贈与税額は275万円、特例税率で計算した贈与税額は210万円と、65万円もの差があります。

この特例税率の適用を受ける場合は、贈与税の申告書とともに、受贈者の戸籍謄本または戸籍抄本その他の書類でその人の氏名、生年月日及びその人が贈与者の直系卑属(子や孫など)に該当することを証する書類を提出する必要がありますのでご注意ください。

相続時精算課税制度を利用する

上で紹介したとおり、相続時精算課税制度には2,500万円の特別控除額がありますから、課税価格が2,500万円以内の財産であれば贈与税を1円も支払わずに財産の贈与を受けることができます(過去に特別控除額を使っている場合は除きます)。

もっとも、「相続時精算」の文言からも分かるように、相続時精算課税制度を利用した場合は贈与税の納付だけで完結するわけではなく、相続時の相続税額の計算の過程で精算されます。したがって、特別控除額の2,500万円は「永久免税」というわけではなく、あくまでも「課税が相続時まで繰り延べられる」というものです。とはいえ、贈与を受けたときに課税が生じない、あるいは課税額を大幅に減らすことができるのは大きなメリットだと言えるでしょう。

土地をしっかり評価して課税価格を下げる

建物の贈与税評価額の計算は単純(固定資産税評価額と同じ)ですが、土地の贈与税評価額の計算は色々な考慮要素があるため、建物に比べるとはるかに複雑です。それゆえに、その土地の評価をしっかりと行えば、贈与税の課税価格である贈与税評価額を下げることができる可能性もあります。

土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の二つがあります。路線価方式は路線価が定められている地域の評価方法で、倍率方式は路線価が定められていない地域の評価方法です。

路線価方式における土地の評価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後にその土地の面積を乗じて計算します。一方、倍率方式における土地の評価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

権利関係による補正を除けば、倍率方式の場合の土地の評価額は機械的に決まるため、その土地の評価をしっかり行ったとしても評価額を下げることはできません。一方で、路線価方式の場合は奥行価格補正率などの各種補正率による補正を入れることが可能であるため、その土地の評価をしっかり行って補正を入れれば、その土地の評価額を下げることも可能です。このような補正を入れるには専門的な知識が必要なので、税理士に相談されるとよいでしょう。

将来の相続税まで踏まえた検討が必要

生前贈与をする必要性はある?相続まで待つ?

ある財産の移転について贈与税を課税されるのと相続税を課税されるのとでどちらの税負担額が少ないかを一概に言うことは非常に困難です。たとえば、財産が現金以外の場合、贈与税評価額や相続税評価額は贈与または相続があった時点の時価で算定されることが一般的であるため、その財産が将来値上がりしそうな資産かどうかで、いつ財産を移転すれば得なのかが変わります

たとえば、贈与をしようと考えている土地が、新しい駅のできる計画が具体化してきた地区にあったり、都道府県が再開発に力を入れると宣言した地区の中にあったりする場合は、その土地の時価は現時点よりも将来の方が高くなることが想定されますから、贈与税及び相続税の観点からだけ考えると現時点で贈与を行った方が税負担額は少なくて済みます。一方で、贈与をしようと考えている土地のある地域が過疎化の進む地区にあって将来更に住む人が減少することが想定される場合は、その土地の時価は現時点よりも将来の方が低くなることが予想されますから、贈与税及び相続税の観点からだけ考えると将来相続により財産の移転を受けた方が税負担額は少なくて済みます。

また、移転する財産が小口の現金(年110万円まで)であれば、贈与税の基礎控除額を毎年使うことで結果として相続税額を抑えることも可能ですが、不動産の評価額が贈与税の基礎控除額の範囲内であることは通常想定されないため、移転する財産が不動産の場合は生前贈与のメリットが現金の場合よりも薄いと考えられます。

遺言・死因贈与による移転など

遺贈(遺言による贈与)または死因贈与(贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与)によって財産を取得した者に対しては、贈与税ではなく相続税が課税されます(相続税法1条の3)。遺贈も死因贈与も「贈」という文字が入っているので贈与税の課税対象と思われがちですが、贈与税は課税されません。なお、遺贈と死因贈与は、遺贈が単独行為(遺言者の意思のみで贈与の効力が生じる)であるのに対して、死因贈与は贈与者と受贈者との契約であって双方の意思の合致が必要である点など、いくつか細かい違いがあります。

最適な財産の残し方は目的によって変わる

生前贈与を行うべきかそれとも相続によって財産を移転させるべきかは、<strong>その財産を移転する目的によって変わります</strong>。目的が財産を取得する人が受ける税負担を減らすことのみであれば、どちらの税負担額が少なそうかのシミュレーションを税理士に依頼して、その結果を見て判断するとよいでしょう。あるいは、税負担額に大きな違いがなければ今すぐ土地を贈与して子どもに使わせたいという目的がある場合も、その税負担額のシミュレーションを税理士に依頼するのもよいと考えます。

まとめ

以上、不動産の生前贈与をする前に税理士に相談すべき3つの理由を紹介しました。

贈与税の相談を受けていると、「もっと早く税理士に相談しておけばよかった」と言われるお客様も多くいます。後悔のない生前贈与ができるよう、お早めに税理士へご相談ください。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。