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遺言書で他人に遺産相続させる場合のルール・法律

超高齢社会を迎える日本では、預貯金・土地・家屋などの資産の相続について悩んでいる人が少なくありません。通常の相続手続きだけでは、内縁の妻や養子ではない人など、法的には他人である人に財産を残すことはできないからです。

ただし、遺言の仕組みを利用すれば、法的には他人である人に相続させることができます。そこで今回は、高齢化社会を迎えた日本でますます注目されている「遺贈」について分かりやすく解説します。是非ご参考にしてください。

遺言により他人に財産を譲渡することも可能

現代、相続に関して、家庭内紛争の防止や相続税対策について多くの情報がネット上などに存在しています。遺言書は家族同士で作るものというイメージがあり、財産は親族にしか相続させられず、法的には他人である人には財産を相続させることはできないと思っている方も少なくないのではないでしょうか。

実際のところ、遺言による財産の相続は誰でも受けることができます。法定相続人ではない親族(同居する長男の配偶者など)だけでなく、全く見ず知らずの人でも財産の相続を受けることができます。

そのため、家族よりも親しいけれど法的には他人である人に対して、遺言を用いて相続させることは可能です。なお、この「他人」には法人も含まれます。そのため、例えば地域の福祉法人に、遺言によって財産を相続させることも可能です。

「包括遺贈」と「特定遺贈」

「遺贈」とは遺言によって財産を他人に相続させる行為のことです。「遺贈」は「包括遺贈」と「特定遺贈」とに分けられます。

「包括遺贈」

「包括遺贈」とは財産の全部または一部を遺贈する方法のことです。この包括遺贈においては、遺言書には以下のように記載されます。

  • 「私は私の財産のすべてを ____ に遺贈します」
  • 「私は私の財産の半分を ____ に遺贈します」。

受益者(財産を受け取る人)には、相続人と同じ権利義務があります。

「特定遺贈」

一方で「特定遺贈」とは、特定の財産のみを遺贈する方法です。遺言書には以下のように記載されます。

「東京都中央区銀座△△の土地を遺贈します。」受益者は、特に明記されていない限り、遺言者(遺言を残して財産を相続させる人)の債務については相続しません。

相続税の計算

相続が発生した場合には、相続税の支払いが必要かどうかを検討する必要があります。

相続税の計算の流れ

ステップ1 課税価格の計算
ステップ2 課税遺産総額の算出
ステップ3 課税標準と相続税総額の算出および各相続人・各受遺者の相続税の算出
ステップ4 申告・納付

課税価格の計算

課税価格とは相続税の対象となる遺産の金額のことです。

たとえば
1億円の家と1億円の借金を相続した場合、受け取った1億円の家は1億円の借金を完済するために使うことになることが想定されるので、課税価格は0円です。

相続財産だけでなく、次の3つは課税価額に加算されます。

(1) みなし相続財産

退職金や死亡保険金は相続財産ではありませんが、相続財産とみなされ、相続税の課税対象額に含まれます。死亡保険金などの相続財産とみなされるものは、相続税上、相続財産と同じように税務処理されるべきであると考えられているからです。

(2) 死亡前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産

原則として、死亡前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税価格に加算されます。死亡直前における贈与による相続税の減税を防ぐためです。死亡前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は相続財産と同じ扱いとなっています。

(3) 相続時精算課税の対象財産

相続時精算課税の制度とは、原則として、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫に財産を贈与する場合に選択できる贈与税の制度です。

その名の通り、「相続時に相続税として精算する」ことを宣言して贈与税を繰り延べられるものなので、相続時精算課税の対象財産は相続税の課税価格に加算されます。

課税遺産総額の算出

課税価格から基礎控除額を差し引いた額を「課税遺産総額」といいます。次の式で計算されます。

なお、課税遺産総額が0円以下の場合、相続税は課税されません。

相続税の総額の基となる税額の算出

次に、課税遺産総額を各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして仮定して分配し、法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額を計算します。

そして、法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額に税率を乗じて、相続税の総額の基となる税額を算出します。

相続税総額の算出

各法定相続人ごとの相続税の総額の基となる税額の合計が相続税総額です。

各人の相続税額の計算

相続税総額を、財産を取得した人の課税価額に応じて配分し、財産を取得した人ごとに税額を計算します。そして計算した相続税等から各種税額控除を差し引いた残額が、個人の納税額となります。

財産を相続した人が被相続人の配偶者・父母・子でない場合は、税額控除前の相続税に20%相当額を上乗せした後に、税額控除を行います。

申告・納付

相続税は、遺言者が死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納付しなければなりません。

突然相続を受けた場合の相続税対策

相続開始後に遺言者からの遺贈が判明した場合は、相続税対策を事前に取ることはできません。また、相続する人が法的に他人である場合、親族よりも節税対策が限定になります。不動産が相続財産に含まれている場合、課税価格は不動産の評価額によって変わります。

たとえば
1,000万円の預金を相続した場合、課税価格は預金通帳の残高である1,000万円のままです。

ただし、土地等の不動産を相続する場合は、不動産の相続税評価額を算出して相続税の申告をする必要があります。不動産の相続税評価額を適正に下げることが、遺言による相続における相続税軽減のポイントです。

たとえば
土地の相続税評価額は基本的に路線価にて算出しますが、面積が大きい宅地は路線価による評価額よりも低くなる可能性があります。

他人に財産を相続させる時の注意点

法定相続人以外は基礎控除額と非課税枠の計算に含まれない

相続税には、故人の家族の生命の保障を確保する観点から、「基礎控除額」や「死亡保険・退職金の非課税」など、一定額を上限として非課税となる制度があります。それぞれの計算式は以下の通りです。

この計算における「法定相続人」とは、民法で定められた相続人のことです。法定相続人でない人が遺言で遺贈を受けても、基礎控除額などの計算には含まれません。

たとえば
故人に法定相続人が存在せず、友人の一人が遺言で全財産を譲り受けた場合、基礎控除額は3,000万円となります。

特定遺贈については借金や葬儀費用の控除不可

故人の財産を取得すると、財産額から故人の借金・未払費用・葬儀費用を差し引くことができます。これは相続だけでなく、遺贈にも当てはまります。

ただし条件があります。あてはまるのは「包括遺贈」だけです。つまり、遺産の全部または一部を遺贈する場合、借金や葬儀費用を差し引くことができます。

一方、「土地A〇〇を遺贈します」などの遺言で財産を受け取る特定遺贈の場合、借金や葬儀費用を控除することはできません。

死亡保険金などの控除は使えない

相続人が死亡保険金を受け取っていても、上記の「500万円×法定相続人の数」の控除限度額までは税金が徴収されません。

被相続人が受け取る死亡保険金はすべて相続税の対象となります。ただし非課税枠の恩恵を受けることができるのは、法定相続人だけです。

未成年者控除・障害者控除・相次相続控除は利用不可

相続財産を取得した人が未成年者や障害者であったり、過去10年以内に発生した相続に関連して相続税を納めたりした場合、相続税から一定額が控除されることがあります。

ただし、これは法定相続人に限ります。法定相続人でない人が遺言で財産を取得した場合でも、この控除は適用されません。

他人は相続税が2割増し

先述した通り、財産を相続した方が「被相続人の配偶者及び近親者(子・父母)」でない場合、相続税が20%増税されます。受取人が孫・兄弟・姉妹・友人の場合、注意が必要です。

ただし代理相続する孫の相続税は2割増しにはなりません。

相続税が払えない場合の対処法3つ

相続税は現金納付が原則ですが、現金不足により現金で納付できない場合があります。

この章では相続税が払えない場合の3つの対処法について説明します。

相続財産の売却益を税金に充てる

土地などの不動産を他人に売却する方法や、自社株を購入して売却益で税金を納める方法があります。

後払い・現物払いを利用する

相続税の納付には、延納制度と物納制度があります。それぞれについて見てみましょう。

(1) 延納制度

相続税の額が10万円を超え、現金での納付が困難な事由がある場合、納税者は納付が困難な額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。

(2) 物納制度

相続税は原則として現金納付となります。しかし相続財産を一定の範囲内で現物で支払うことが認められています。

銀行から融資を受ける

銀行融資を受けて相続税を納める方法があります。

メリット 利息税よりも低い金利
デメリット 保証人が必要・期日までに融資を受けられないリスク

まとめ

相続人だけでなく誰にでも財産を残すことができる遺贈は家族間でトラブルを起こしやすいという側面があります。この仕組みを利用して財産を譲渡する場合は、遺言者だけでなく、受益者も相続税に関する法律知識をきちんと確認し、適切な方法で慎重に手続きを進める必要があります。

今回の記事が皆様の遺贈に関する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。