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内縁の妻はメリットがある?相続のときどうなる?

税理士友野
税理士友野

内縁関係が婚姻関係と比較をしてメリットがあると考え、内縁関係を選択する夫婦は、様々な家族の在り方が社会的に認められる昨今において沢山いることでしょう。実際に内縁関係は婚姻に準ずるものとして一定の権利が認められており、貞操義務や相互扶助義務等は婚姻関係と変わりありません。しかし相続においては婚姻関係のある夫婦とは、取り扱いが大きく異なります。

夫が死亡し相続が発生した場合、婚姻関係のある妻と、内縁関係の妻ではどのように異なるのか、今回は相続の観点から比較をしてご紹介を致します。

内縁の妻とは

内縁とは、双方が結婚する意志を持って共同生活を送っているものの、入籍の届出を出していない状態のため法律上の夫婦とは認められていない男女関係のことであり、内縁の妻とはその関係にある女性のことです。

様々な家族の在り方が社会的に認められるようになりましたが、内縁関係及び事実婚関係にある夫婦については、婚姻に準ずるものとして一定の権利が認められてはいるものの、婚姻関係にある男女と同等の権利を有することは認められていません。

内縁関係とパートナー関係の違い

一般的にカップルと呼ばれるパートナー関係と、内縁関係は異なるものです。

内縁関係においては、お互いが婚姻の意志を持っている、共同生活をしている、内縁関係を公的資料に表明している、子供がいる場合には認知をしていること等が、パートナー関係とは異なります。また、内縁関係と認められると、同居義務、貞操義務、相互扶助義務、日常家事債務の連帯責任、内縁解消に伴う財産分与が発生し、パートナー関係では生じない権利義務が発生します。

たとえば
パートナー関係においては相互扶助義務が無いため、パートナーの一方が生活費を負担せず、他の一方が全額負担をすることに負担をしている人が不満を感じ、負担しない人に生活費を請求した場合、法的な措置をとることが出来ませんが、内縁関係においては、負担をしている人が負担しない人に生活費を請求した場合、法的な措置として内縁の配偶者に対し請求をすることが出来ます。

相続における内縁関係と婚姻関係の違い

貞操義務や相互扶助義務等、内縁関係にある夫婦には、婚姻関係にある夫婦と同様の権利義務があるものも多くありますが、相続においては、大きく異なります。

相続においては、配偶者は常に相続人になる、つまり常に遺産を受け取ることの出来る権利を有しますが、この場合の配偶者とは、婚姻関係にある配偶者のことをさし、内縁関係にある配偶者は含まれません。よって、夫に相続が発生した場合において、内縁の妻が遺産を受け取ることの出来る権利はありません

婚姻関係にある配偶者の相続におけるメリット

婚姻関係にある配偶者は、常に相続人になり遺産を受け取ることの出来る権利を有するのみならず、他の相続人と比較をして、婚姻関係にあることのメリットとして、様々な優遇措置が定められています

配偶者の法定相続分

法定相続分とは、遺産の分割にあたり、各相続人の取り分として法律上定められた割合のことです。法定相続分は、法定相続人の人数と、被相続人との関係によって、それぞれ定められています。

相続人が配偶者1人である場合、配偶者の法定相続分は1/1、相続人が配偶者1人と子供2人である場合、配偶者の法定相続分は1/2、子供の法定相続分は1/4ずつ、相続人が配偶者1人と被相続人の母1人である場合、配偶者の法定相続分は2/3、被相続人の母は1/3、と定められており、いずれの場合においても、配偶者の法定相続分は相続人で最も多いものとなっています。

法定相続分が最も多いということは、遺産を最も多く受け取る権利がある、ということと同意です。

相続税の配偶者の税額軽減

相続税の配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、1億6,000万円又は配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、相続によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、宅地の区分ごとに定められた割合を減額するという制度です。

小規模宅地等の特例を利用することの出来る宅地等のひとつに、特定居住用宅地等に該当する宅地等があり、この特定居住用宅地等に該当する宅地等を相続によって取得した場合には、330㎡を限度として、相続税の課税価格に算入すべき価額が80%減額されます。この特定居住宅地等とは、相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で要件に該当する被相続人の親族が相続によって取得したものをいいます。

特定居住地等に該当するための要件は、被相続人の居住の用に供されていた宅地等を被相続人の配偶者が取得をした場合、被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等を相続人の配偶者が取得をした場合には、定められていません。

一方で、その他の親族が取得をした場合には、相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有していること等の要件を満たすことが求められており、被相続人の配偶者が宅地等を取得する場合が最も小規模宅地等の特例を利用しやすいといえます。

配偶者居住権

配偶者居住権とは、相続開始以前から被相続人と同居をしていた配偶者は、その自宅を相続で取得しなかった場合においても、居住し続けることが認められる権利です。

不動産に居住する権利や売却をする権利は、一般的にはその所有権をもつ人に認められている権利であり、相続発生後は相続によって取得をした人に所有権があります。しかし、配偶者居住権を行使することで、本来所有権の無い配偶者が、居住する権利を持つことが出来ます。

内縁の妻が相続で財産を受け取るためには

内縁の妻は夫に相続が発生した場合において、遺産を受け取ることの出来る権利はありません。また、上記でご紹介をしたような、相続が発生した際における配偶者に認められた様々な特例も利用することが出来ません。

しかし、一定の場合においては、内縁の妻の夫に相続が発生した際に、財産や権利が受け取れることがあります。

相続人がいない場合

内縁の妻は上記でご紹介しました通り、相続人になることは出来ません。しかし、内縁の夫の推定相続人が全員死亡していた場合等、相続発生時に法定相続人が存在しないことも考えられます。

このように相続人がいない場合、特別縁故者への財産分与の制度を利用して、内縁の妻が財産を受け取ることが出来ます。

特別縁故者とは

特別縁故者とは、被相続人と生計を一にしていた人、被相続人の療養看護に努めた人、その他被相続人と特別の縁故があった人のいずれかに該当をする必要があり、いずれかに該当をする人が被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行うことで、特別縁故者であることが認められます。

特別縁故者になった場合の財産取得

特別縁故者は、家庭裁判所において申立が相当であると認めた後に、相続財産管理人が清算した後の財産を受け取ることが出来ます。特別縁故者が財産の分与を受けると、遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となります。

申告期限は財産分与があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内であり、基礎控除額は相続人では無いため3,000万円であること、内縁の妻は被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の人であることから、相続税額の2割加算が適用されること等に留意が必要です。

被相続人と同居をしていた場合

内縁の妻に遺産を受け取ることの出来る権利がないことから、同居をしていても被相続人の自宅を取得する権利はなく、他の相続人が取得をする権利を持ちます。これが自宅ではなく賃貸物件である場合も、被相続人が賃借人であり、保有していた賃借権は、相続の対象となります。そして、この賃借権は、相続開始により共同相続人による準共有状態となり、遺産分割協議を経て特定の相続人に帰属することになります。

このことから、内縁の妻は相続人では無く賃借権の相続が原則として出来ないことから、賃借人であった被相続人の死亡により直ちに退去しなければならないと考えられますが、相続人の有無によって賃借権の行使が異なります。

賃借人に相続人がいない場合

借地借家法の定めにより、居住用建物の賃借人が相続人なく死亡した場合、事実婚関係や事実上の養親子であった同居者は賃借人の地位を承継するとされています。この定めにより、縁の妻は、当然に賃借権を取得し、これを根拠に居住を継続することが出来ます。

賃借人に相続人がいる場合

賃借人が有していた賃借権はその相続人に相続されることにより、賃借人としての賃料支払義務が相続人に承継され、賃貸人は死亡した賃借人の相続人に対し賃料の支払を請求することが出来ます。

よってこの支払義務が無い内縁の妻に対して、賃貸人や相続人は住居の明け渡しを求めることが出来ますが、これに内縁の妻は被相続人の賃借権を援用し対抗をすることが出来、居住し続けることが可能となる場合があります。

遺言書で指定された場合

遺言書は相続人以外の第三者に遺産を承継させることが出来る効力があることから、内縁の妻に対して財産を遺すという旨が記載されている場合、その遺言内容に従って財産を内縁の妻が受け取ることが出来ます。

しかし、相続人がいる場合において、その遺言書の財産分与の指定が、相続人の遺留分を侵害する場合には、相続人による遺留分侵害額請求を受けることで、必ずしも遺言書通りの財産額を受け取れるとは限りません。

内縁の妻との間に子供がいるときの相続

内縁の妻には相続人となる権利はありませんが、内縁の妻との子供には相続人となる権利がある場合があります。相続人となる権利がある子供とは、認知されている非嫡出子です。

嫡出子と非嫡出子

嫡出子とは、法律上婚姻した夫婦の間に生まれた子供のことをいい、非嫡出子は未婚の男女の間に生まれた子供のことです。嫡出子は相続人に該当をしますが、非嫡出子は認知の有無によって相続人となる権利が異なり、認知された非嫡出子のみ相続人に該当します。

一般的な認知は、被相続人が生前に被相続人もしくは子供の本籍地、あるいは被相続人の居住地のある市区町村役場に非嫡出子が自分の子供である届を出して行われます。生前に行っていない場合は、遺言に認知の旨を記載し、非嫡出子に相続権を与えることが可能です。

嫡出子と非嫡出子の相続分

相続人に嫡出子と非嫡出子の両方がいる場合において、その相続分は同等に認められています。平成25年の民法改正以前では、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の1/2でしたが、被相続人と妻の婚姻関係の有無と、子供と被相続人の関係は必ずしも嫡出子の方が優先すべきものではないことから、同等に取り扱いが行われています。

まとめ

内縁関係は、姓の変更が不要であること、関係を終了した際に離婚歴が公的書類に残らないこと等、様々なメリットがあります。そして様々な家族の在り方が社会的に認められるようになり、婚姻関係にある夫婦と同様の権利義務があるものも多くあります。

ところが、相続においては、内縁関係にある夫婦よりも、婚姻関係にある夫婦の方が現状では様々な優遇措置が受けられます。特に終活として相続を考える内縁関係の夫婦にとっては、相続人になることが出来ないというのは、最大のデメリットでしょう。

しかし、必ずしも内縁の妻に財産を遺すことが出来ない、というものではありません。婚姻関係のある妻と比較をすると相続における権利は少なくなるものの、他の相続人がいる場合であっても、遺言による財産分与や、認知による非嫡出子への相続権の付与が可能です。内縁関係にある方に財産を遺したい等、相続対策でお困りの場合は、是非弊社にお気軽にご相談ください。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。