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父の財産を母に全て相続させるための遺産分割協議書の書き方

税理士友野
税理士友野

日本では父が母より年長者であるケースが少なくありません。また男性の平均寿命より女性の平均寿命が長いです。

そのため、父が母より先に亡くなることが多いと考えられます。残されたのが母と子どもたちだという場合、母が父の遺産を全て相続するという流れになることは少なくないでしょう。

母が全て相続する場合と法定相続分で分ける場合とで、遺産分割協議書について、どういった点が異なるのでしょうか。本章では父の財産を母に全て相続させるための遺産分割協議書の書き方について解説をしていきます。

遺産分割協議書の内容

まずは、遺産分割協議書に記載すべき項目から説明します。遺産分割協議書には、以下の項目などを記載します。

遺産分割協議書の記載内容
父の情報(死亡年月日・住所)
相続人の情報(父との関係・氏名)
誰がどの財産を相続するのか
相続する財産の内容
書類作成日
全ての相続人で協議を行い、全員が合意した旨
相続人全員の押印・署名(住所・氏名・押印)

遺産分割協議書は、父の財産を、誰がいつ遺産分割協議を行い、どのように分けることに決定したのかを、明確に分かるように記載する必要があります。

父の住所については、住民票除票や除籍謄本に記載されているとおりの表記で記載しましょう。住民票除票とは、死亡届の提出などにより、住民登録が抹消された住民票のことです。除籍謄本とは、中に入っている人が全員いなくなった戸籍の写しのことです。

相続する財産の内容について「一切の財産」と記載するケース

父が遺した遺産を全て把握しきれているわけではない場合、個別に全て列挙することが絶対に必要であるというわけではありません。遺産の全てを「一切の財産」として、まとめて記載することもできます。

「一切の財産」には債務も含む

ただし上記の「一切の財産」には、借金などのマイナスの財産も含まれることに注意しましょう。

債務が財産に含まれることを理解せずに遺産分割協議書を作ると、全財産を母に相続させる遺産分割協議書を作成したことにより、父の借金などのマイナスの財産も全て母が返済しないといけないことになりかねません。また、後になって父の債務が発覚する場合もありえます。

この場合に備えて、「後日判明した財産」という項目を作成し、「相続人全員が再度協議を行うこととする」と記載しておくと、良いでしょう。さらに債務だけは相続人で分担するという場合、次で紹介するように、財産を個別に分けて記載すると良いでしょう。

財産を個別に列挙する

父の財産の内訳が分かっている場合には、財産を個別に列挙し、それぞれについて母が相続することを明記する書き方もあります。

記載する項目は、基本的には、財産の内訳が分からない場合と同じですが、財産の項目別に分けて、それぞれに「妻 〇〇(氏名)が相続する」と書きましょう。例えば不動産については面積や家屋番号などの情報を漏れなく記載します。

やはりこの記載方法を取る場合も、後日、遺産分割協議書に記載していないプラスの財産又はマイナスの財産が、新たに見つかるというケースがあり得ます。そこで「後日判明した財産」という見出しを設け、「相続人全員が再度協議を行うこととする」と記載しておくと、良いでしょう。

注意点

ここまで遺産分割協議書の書き方の大筋について説明してきました。遺産分割協議書は、一度作成すると、後から同意を取り消すことが難しい書類です。そのため、内容についてはよく吟味の上作成してください。後から後悔しないようにきちんと作成する必要があります。遺産分割協議書は、さまざまな機関に提出する書類です。不備があると、法務局や銀行などで受け付けてもらえないケースが想定されます。

特に相続人同士が離れた場所に住んでいるなどの理由で会う機会が少ない場合、遺産分割協議書を作成しなおすときは、再び署名を集めるために郵送でやり取りをするなど面倒な作業が必要になります。相続人が多いほど、時間も手間も多くかかってしまいます。

そのためここからは、遺産分割協議書の作成が1度で済むよう、注意点について説明します。

遺産分割協議では、相続人全員の合意を得る必要がある

遺産分割協議書は、協議の上、全ての相続人が記載内容に同意したことを証明する書類です。言い換えると、母が全て相続するからといって、母だけの押印・署名があればよいわけではありません。子を含めた相続人全員の押印・署名が必要です。

そのため財産について協議するにあたり、まずは法定相続人が誰なのか把握することから始めましょう。

相続人の確認をしておく

まれに把握している以外の相続人(例えば、愛人との間の子どものような隠し子など)が遺産分割協議後に現れることがあります。その場合には、原則として、遺産分割協議をやり直さなければいけません。そういったことを防ぐためにも、遺産分割協議を行う前に、相続人の調査を徹底しておきましょう。

遺産分割協議書は必ず作成しておく

遺産分割協議書は必ず作成しておくべきです。以下にて条件別に、遺産分割協議が必要となるケースについて説明します。

遺言書がない場合

民法は父の財産を承継することのできる法定相続人と、その法定相続人が相続する財産の割合である法定相続分を定めています。遺言書がない場合でも、この法定相続割合で遺産を分割するのであれば、遺産分割協議書は絶対に必要であるというわけではありません。

そもそも、遺産は絶対に法定相続割合で分割しなければならないわけではありません。相続人全員で協議を行い、どのように遺産を分けるのかについて、自由に決定することができます。母に全てを相続させるのであれば、それを基に遺産分割協議書を作成します。

遺言書はあるが、遺産分割協議が必要なケース

父が残した遺言書が存在すれば、父の遺志を尊重して遺言どおりに遺産を分けるのが一般的ではあります。しかし、以下の場合には、遺産分割協議が必要となります。

遺産分割将棋が必要な場合
  • 「日付が抜けている」「押印がされていない」など、その遺言書が、法律上の形式要件を満たしていない場合
  • 遺言書はあるが、分割される財産の具体的な内容(例えば、銀行預金であれば口座番号など)が記載されていない場合
  • 遺言書どおりでは無い割合で、遺産分割を行う場合
ここまで説明してきたように、さまざまなケースで遺産分割協議が必要となります。この協議の結果を書面にしたものが、遺産分割協議書です。遺産分割協議書は相続人の中のどなたかが作成することもできますが、専門家に依頼することも少なくありません。遺産分割協議により母が全て相続することに相続人全員の合意が得られた場合には、その内容を遺産分割協議書にしておきましょう。

書面にして証拠として残しておかなければ、後になって相続人の誰かが「自分は同意なんかしていない」と言い出す可能性も、残念ながら否定できません。遺産分割協議書は、不動産を相続人名義に相続登記する際に必要です。漏れなくしっかりと遺産分割協議書を書いておけば、相続手続がスムーズに行えます。母に金銭的な余裕がない場合も、相続が滞りなく進めば安心です。

遺産分割協議書には割印を押す

遺産分割協議書が紙1枚に収まらない場合、割印を押すことで書類が一連のものであることを示す必要があります。

複数枚の遺産分割協議書は、ホチキスだけでなく、市販の製本テープを使って製本しておくと、より良いでしょう。割印はテープと表紙をまたぐように、相続人の実印を押します。ページを開いたところにも、両ページをまたぐように割印を押してください。相続人全員の押印が必要です。

遺産分割協議書はいつまでに作成するもの?

遺産は、いつまでに分けなければならないというような期限がありません。一方で、相続税は相続開始から10カ月以内に申告・納税をしなくてはいけないという期限が設けられています。さらに、父に多額の借金が残されていたような場合に選択されることの多い相続放棄などは、相続発生後3カ月以内に申し出をする必要があります。

そのため、財産に関する調査や、誰がどれだけの財産を相続するのかに関する遺産分割協議は、目安として相続開始から1カ月以内にはスタートさせたいところです。

遺産分割協議書が無効になる場合

一旦作成を完了した遺産分割協議書でも、次の場合などには無効になりえます。

遺産分割協議を相続人全員で行わなかった場合

遺産分割協議には、相続人全員の合意が必要となります。仮に遺産分割協議の場に、1人でも相続人が欠けていれば、無効となります。

上記のように、遺産分割協議の後に、父が認知していた婚外子がいることがわかったというような場合には無効となりえます。

判断能力が乏しい状態の相続人が成年後見人をたてずに協議に参加した場合

認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力が不十分である相続人がいる場合、成年後見制度を利用し、代理をたてて、遺産分割協議を行います。自分で遺産分割に関する正しい判断を行うのが、難しい場合があるからです。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

成年後見制度を利用せずに、判断能力が不十分な状態の相続人との間で行われた遺産分割協議は無効となりえます。

まとめ

ここまで、父の財産を全て母に相続させるための遺産分割協議書の書き方について説明してきました。具体的な書き方やどういった点に注意すればよいかよく理解できたという方もいらっしゃることでしょう。遺産分割協議書について、不明点が出て来た場合には、専門家にご相談いただければと思います。

今回の記事が読者の皆様の相続に関する理解の一助となれば幸いです。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。