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公正証書遺言を無視するのはとても危険!無視したい場合の対応方法

公正証書遺言を無視するのはとても危険!無視したい場合の対応方法

「公正証書遺言と違う内容で遺産分割するのは違法?」

「遺言の内容に納得できないから無視したい!」

故人が遺言を残していた場合、基本的にはその内容にのっとって遺産分割が行われます。しかし、遺産に記されていた内容に納得できない場合や異議を唱える相続人がでてくることもあるでしょう。

公正証書遺言は専門家の立会いのもと作成されるため遺言の中でも特に強い効力を持ち、無視するのは危険とされています。では、公正証書遺言を無視したい場合はどうすればよいのでしょうか?

違法になるのか、ペナルティの有無も気になるところです。そこで今回は、公正証書遺言を無視した場合の危険性について解説します。公正証書遺言を無視したい場合の対処法や、無視する場合の注意点についてもお伝えしますよ。この記事を読むことで、公正証書遺言に納得がいかない場合にどうするべきかがきっとわかりますよ。

公正証書遺言の無視は違法?

結論から言って、公正証書遺言を無視して遺産分割の内容を変えようとすること自体は違法ではありません。ただし、公正証書遺言があることを知りながら手続きをせず隠したり、破棄したりした場合は違法となるので注意してください。

遺言は故人が亡くなった後、どのように財産を分けるかの意思を示す最後の手段です。故人の遺志を尊重するという意味を含め、公正証書遺言は専門家が作成するので無効になりにくく、強い効力を持ちます。したがって、公正証書遺言がある場合、その内容に沿って遺産を分けるのが原則です。しかし、例外として相続人全員の同意のもと、遺留分の問題が発生しない場合では遺言書は無視でき、違法にもなりません

存在を知りながら、検認手続きしないのは違法

以下のような行為を行った場合には違法となるので危険です。

違法となる行為
  • 公正証書遺言があることを知りながら、検認手続をしない
  • 遺言を破棄
  • 遺言を隠匿

公正証書遺言があることを知りながら検認手続きを行わない場合には、違法となります。悪意がなく、うっかり検認手続きを忘れていたという忘れていた場合でも、処罰の対象になるので注意してください。

【検認手続きとは?】

遺言書の偽造や変造を防止するための手続きのこと。その他にも以下のような意味合いを持つ。

  • 相続人に遺言の存在・内容を知らせる
  • 遺言書の形式や内容を明確にする

違法と判断された場合には刑法上の私用文書等毀棄罪となり、5年以下の懲役が科される恐れがあります。さらに、相続人の欠格事由となり、相続人の資格を失うことにもなりかねません。公正証書遺言の存在を知ったら、必ず検認手続きを行ってください。

無視したい場合の3つの対応方法

ここでは、公正証書遺言を無視したい場合の対応方法3つを紹介します。

対応方法
  • 相続人全員の同意の下、遺産分割協議
  • 遺言の無効を主張する
  • 遺留分侵害額請求を行う

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

相続人全員の同意の下、遺産分割協議

公正証書遺言を無視して遺産を分ける方法のひとつに、相続人全員の同意の下、遺産分割協議を行うというものがあります。以下の3点を満たす場合であれば、遺言を無視した遺産分割協議が可能です。

遺産分割協議を満たす条件
  • 相続人全員・受遺者全員が同意している
  • 遺言により遺産分割協議が禁止されていないこと
  • 遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者のが同意している

前提として、相続人や遺言により遺産を受け取る受遺者全員が、遺言と異なる内容での遺産分割に同意していなければなりません。また、遺言に遺産分割協議を禁止する旨が記載されている場合にも、遺産分割協議は不可です。遺言で遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者の同意も必要になることを覚えておきましょう。

遺言の無効を主張する

遺言の無効を主張することも、公正証書遺言を無視する方法のひとつです。遺言がくつがえりにくい公正証書遺言ですが、無効となるケースがあります。遺言の無効の主張が認められれば、遺言はなかったことになり、遺産分割協議を行うことになります。

遺言の無効を主張できる5つのケース

以下の5つのケースに該当すれば、公正証書遺言が無効になる可能性があります。

公正証書遺言が無効になるケース
  • 認知症など遺言者に遺言能力がなかった
  • 証人が不適格だった
  • 遺言者が遺言趣旨を口頭で公証人に伝えていなかった
  • 遺言者の真意と遺言内容に錯誤、詐欺、強迫があった
  • 遺言内容が公序良俗に反していた

まず、遺言者が認知症で遺言能力がなかったと考えられるときや、遺言内容に錯誤や強迫があった場合には遺言の無効が主張できます。また、作成の際に立ち会った証人が相続関係者や公証人関係者だった場合も同様に、無効の主張が可能です。

その他、配偶者がいるのにもかかわらず愛人にすべての財産を遺贈するなど、遺言内容が公序良俗に反するときも遺言を無効にできます。

遺言の無効を主張する流れ

公正証書遺言が無効となるケースに該当するようであれば、以下の流れで遺言の無効を確定することになります。

遺言の無効を主張する流れ
  1. 他の相続人・受遺者の意見を確認 → 相続人・受遺者全員の同意が得られない場合
  2. 他の相続人・受遺者と調停で話し合い → 調停でも解決できない場合
  3. 遺言無効確認訴訟を行う

最初に、相続人・受遺者で話し合いを行い、それぞれの考えを確認しましょう。相続人ら全員が「遺言に従うべきではない」と一致すれば、遺言を無視した遺産分割協議が可能です。誰か一人でも拒否するなど全員の同意が得られない場合には、家庭裁判所での調停になります。調停でも解決が難しいときは、遺言無効確認訴訟を提起して裁判官に判断してもらう、という流れです。

訴訟により無効の判決が確定した場合には、相続人で遺産分割協議を行います。ただし、公正証書遺言は自筆証書遺言よりも無効になりにくく、遺言の無効の主張にはしっかりとした証拠が必要です。

交渉の進め方や裁判所でのやり取りには専門的知識が不可欠なので、弁護士への相談を検討しましょう。

遺留分侵害額請求を行う

遺留分侵害額請求を行うことも、公正証書遺言を無効にする方法のひとつです。とはいえ、遺留分侵害額請求は遺言自体を無視するわけではなく、自分の取り分を増やす方法と言えます。本来、自分が受け取れるはずの財産よりも少ない取り分になっている場合に、遺留分侵害額請求が可能です。

【遺留分とは】

法定相続人に最低限保証されている相続財産のこと。

遺留分は、たとえ遺言であっても奪えず、侵害される場合には相当額の金銭を請求できる。ただ、遺産は不動産や現預金などさまざまなタイプの財産があり、遺留分を侵害するかの判断は難しくなります。そのため、遺留分侵害額請求を行う場合には、税理士などの専門家への相談がおすすめです。

また、遺留分侵害額請求をできる権利には相続開始と遺留分侵害を知ってから1年という期限があります。遺言内容の自分の取り分に疑問を抱く場合には、できるだけ早い段階から動くようにしましょう。

公正証書遺言を無視する際の注意点

最後に、公正証書遺言を無視する際の注意点についてまとめました。

公正証書遺言を無視する際の注意点
  • 遺言者の気持ちに反してしまう
  • 相続人全員の同意が続かない可能性がある

「遺言の内容に納得できない」という気持ちが強いと、焦りや怒りから周りが見えなくなりがちです。相続は本来、亡くなった方から相続人に財産を承継させて、遺された遺族の生活を保障するという役割を持ちます。遺言を無視することで、相続人間のトラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。

遺言者の気持ちに反してしまう

まず、遺言者の気持ちに反するということが、公正証書遺言を無視する場合の注意点です。

遺言書は、故人の相続人や財産に対する最後の気持ちや考えを伝える手段といえます。ましてや公正証書遺言は公証人役場で作成するため、自筆証書遺言などよりも手間も費用も必要です。それ相応の考えをもって故人が思いを遺したと考えると、無視してしまうのは少し寂しいように感じられますね。

遺言を無視したい場合には一度立ち止まり、遺言者がどのような考えで遺言内容を決めたのかを考えてみましょう。遺言書を無視するということは、遺言者の考えを無視するということを忘れてはいけませんね。

相続人全員の同意が続かない可能性がある

公正証書遺言を無視する場合の注意点には、相続人の気持ちが変わることも挙げられます。

遺言内容を無視して遺産分割協議を進めるには、相続人全員の同意が必要です。遺産分割協議では無視することに同意しても、後々考えが変わる相続人が出てくることは、十分に考えられます。

たとえば
「相続人同士の話し合いの場では切り出せなかったけど、やはり自分は遺言通りにしたい」など、人の考えは移ろいやすいものです。

一度遺言の無視に同意してもずっと続く保証はなく、急に意見を変える相続人が現れることで、相続人同士の関係に亀裂が入る可能性もあります。公正証書遺言を無視することで、思わぬトラブルが起こる危険性があることにも注意しておきましょう。

まとめ

今回は、公正証書遺言は無視できるのかについてお伝えしました。結論から言って、公正証書遺言であっても無視すること自体は可能です。ただし、以下の行為は違法であり、罰則となるため注意してください。

違法行為
  • 公正証書遺言があることを知りながら、検認手続をしない
  • 遺言を破棄
  • 遺言を隠匿

公正証書遺言を無視する具体的な方法には、以下の3つが挙げられます。

公正証書遺言を無視する方法
  1. 相続人全員の同意の下、遺産分割協議
  2. 遺言の無効を主張する
  3. 遺留分侵害額請求を行う

上記のうち、②③については専門的な知識が必要になるため、弁護士や税理士など専門家への相談がおすすめです。

遺言内容に納得できないと、悔しさや悲しさ、憤りを感じることも多いでしょう。また、遺言者としても自分が作成した遺言でそのような事態を招くのは、きっと辛いことだと考えられます。トラブルを未然に防ぐ方法としては、遺言者は相続人の考えを聞き、専門家を交えながら遺言を作成するのが有効です。ぜひ、遺言者・相続人間で相談し、協力しながら最善の解決策を探してくださいね。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。