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【公正証書遺言がある場合】遺産分割協議書が必要ではなくなるのか

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相続が開始され、もしも被相続人が生前に「公正証書遺言」を残していた場合は遺産分割協議を行わないため「遺産分割協議書」を作る必要がなくなります。

では、なぜ公正証書遺言があると遺産分割協議書がいらなくなるのでしょうか。そこで今回は、公正証書遺言がある場合に遺産分割協議書が必要ではなくなる理由をご説明します。

公正証書遺言による相続手続きの進め方についても解説しますので、ぜひご一読ください

この記事の監修者

税理士桐澤

税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。

公正証書遺言が見つかると遺産分割協議書は不要

公正証書

被相続人が生前に公正証書遺言を残していた場合、遺産分割協議書は不要です。民法によって遺言は遺産分割より優先されることが定められており、公正証書遺言があれば、遺産分割をせずに、遺言書の内容に沿って財産を分けていくことになります。

公正証書遺言以外の遺言書も遺産分割協議より優先される

民法第964条には以下の記載があります。

民法964条
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる

公正証書遺言があると遺言書内ですでに遺産の分け方が決まっているため、遺産分割よりも優先されます。また、公正証書遺言ではなく自筆証書遺言や秘密証書遺言など、別の遺言書であっても無効なものでなければ遺産分割協議より優先されます。

公正証書遺言があっても遺産分割協議を行うケースもある

公正証書遺言があると遺産分割協議は不要ですが、以下3つのケースのいずれかに該当すると、遺産分割協議を行う場合もあります。

  • 公正証書遺言が無効になった
  • 法定相続人と受遺者の全員が遺産分割協議を行うことに合意している
  • 公正証書遺言に掲載されていない財産がある

公正証書遺言は公証役場(もしくは公証人が出張する)で作成を行うため、無効になりにくい遺言書です。しかし、万が一無効となった場合は遺産分割協議を行うことになります。また、法定相続人全員・受遺者全員が遺産分割協議を行うことに合意した場合も遺産分割協議が可能です。

よくあるケースとしては「公正証書遺言に掲載されていない財産があった」場合です。不動産や預貯金口座など、掲載されていない財産が発覚した場合は相続人全員で遺産分割協議にて誰が財産をもらうのか決めることになります。

遺言執行者がいる場合は同意が必要

公正遺言証書があっても、相続人全員・受遺者全員の同意があれば遺産分割協議を行うことは可能です。しかし、公正証書遺言の中に遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の同意も必要です。

遺言執行者とは遺言内容を実現するために活動する人を意味し、死亡時に未成年者や破産者だった場合は遺言執行者になれませんが、個人・法人問わずどなたでも指定しておくことができます。亡くなった時点で成人している場合は、未成年者もあらかじめ指定できます。

遺産分割協議書を作った後に公正証書遺言が出てきたらどうする?

相続人が被相続人が作った公正証書遺言の存在に気付かず、遺産分割協議を行って遺産分割協議書を作ってしまうケースもあります。では、先に遺産分割協議書を作ってしまったら、公正証書遺言の効力はどうなるのでしょうか。

原則「遺言書が優先」される

たとえ先に遺産分割協議書を作り終えたとしても、その後に公正遺言証書が見つかった場合は、原則として遺言書の内容が優先されます。つまり、遺産分割協議で決めた内容どおりには、相続人への財産の分配ができなくなります。

意図的に隠していた場合は相続欠格に該当する

相続人の一部が「遺言書の内容どおりには財産を渡したくない」と思い、遺言書をこっそり隠していた場合はどうなるでしょうか。

こっそり遺言書を隠す行為(隠匿)は相続人としての権利を失う可能性があります。民法891条5で定められている「相続欠格」に該当するためです。

民法891条5(相続人の欠格事由)
相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

意図的に遺言書を隠す行為は私用文書等毀棄罪にも該当するため、刑事事件に発展するおそれもあります。この他に、改ざんや破棄も同様に相続欠格に該当します。遺言書は見つかったら隠すことなく、相続人全員で取り扱いを協議しましょう。

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公正証書遺言が見つかったら|相続手続きの流れ

公正証書遺言が見つかったら、さっそく遺言の内容に沿って手続きを進めましょう。この章では公正証書遺言による相続手続きの流れを紹介します。

1.遺言書を探し、必要に応じて検認手続きを進める

相続が開始されたら、まずは速やかに遺言書を探します。遺言書には公正証書遺言以外にも種類があり、見つけたら家庭裁判所で検認が必要な遺言書もあります。保管・検認については以下をご参考ください。

公正証書遺言自筆証書遺言秘密証書遺言
保管先原本は公証役場
正本は遺言者
謄本も遺言者
遺言者自身
(自筆証書遺言書保管制度の場合、原本とデータは法務局保管)
遺言者自身
検認の有無不要必要
(自筆証書遺言書保管制度の場合は不要)
必要

公正証書遺言の場合は、検認の手続きが不要のため見つけた時点で開封できます。公正証書遺言を探したい時は、最寄りの公証役場に足を運んでみましょう。「遺言検索システム」により、全国の公証役場にリサーチしてもらえます。

2.遺言内容を相続人全員で確認する

公正証書遺言に記載された遺言内容を、相続人全員で確認しましょう。
記載内容に問題がなければ、そのまま財産を分ける作業に入ればOKです。

3.遺産の名義変更

公正証書遺言に従って遺産を分ける際には、名義変更を行います。

預貯金や株式は各金融機関や証券会社ごとに名義変更が必要です。不動産は相続登記が義務化されており、取得した方が取得から3年以内に相続登記を行います。法務局で手続きを進めましょう。

その他、車がある場合なども名義変更が必要です。いずれの名義手続きにも公正証書遺言の提出を求められるためご注意ください。

3.相続税の申告・納付

遺産総額が大きく、相続税が発生したら「被相続人が死亡したことを知った日から10か月以内」に相続税の申告・納付を終える必要がありますので税理士に相談しましょう。

公正証書遺言に沿わず、遺産分割協議をする際の注意点

相続人全員・受遺者全員が納得していれば、必ずしも公正証書遺言の内容に沿う必要はなく、遺産分割協議を行えます。

しかし、遺産分割協議ができない場合もあります。では、どのような場合には遺産分割協議を行えないのでしょうか。

遺産分割協議ができないケース

相続人全員・受遺者全員の同意が得られていても遺産分割協議ができないケースは次の2つです。

  • 遺言により遺産分割協議が禁止されている
  • 遺言執行者が同意していない

あまり多いケースではありませんが、遺言書の中に遺産分割協議が禁止されていることがあります。この場合遺産分割協議は行えません。

民法では、遺産分割協議について以下のように定めています。

民法第908条1
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる

この法律に沿って遺言書に記載がある場合は、最大5年間は遺産分割協議はできません。

また、遺言執行者がいる場合は遺言執行者の同意が得られないと遺産分割協議ができません。

公正証書遺言が見つかったら相続手続きのスケジュールを確認しよう

公正証書遺言は検認が不要で、かつ安全性も高い遺言書です。無効にはなりにくいため、見つかったら速やかな相続手続きが可能です。

しかし、記載されていない財産が見つかった場合や遺言の有効性が認められる要件を満たしていない場合は、法律の専門家に相談しながらどのように対応するべきか相続人全員で早急に確認しましょう。

相続手続きには期限が多い

相続手続きには、先に触れた通り相続登記、相続税などに手続きの「期限」が設けられているものがあります。

特に相続税は、わずか10か月の期限内に相続税の資金を用意し、納付まで終える必要があります。遅れてしまうと延滞税・無申告加算税などが科せられるため、負担がさらに大きくなってしまいます。

遺産総額が大きい場合は相続税が課税される可能性があります。控除・特例によって0円になるケースも多いですが、控除や特例を受けるためには相続税申告は行う必要があります。現金や預貯金が多い、不動産が多い場合には、迷わず税理士へご相談ください。

まとめ

本記事では公正証書遺言がある場合に、遺産分割協議書が必要ではなくなる理由についてわかりやすく紹介しました。公正証書遺言は無効になりにくいため、見つかったら速やかに遺産の取得が叶います。

その一方で、遺産分割協議を行うことも、要件を満たせば可能ですので慎重に相続人・受遺者で話し合うことも大切でしょう。

響き税理士法人では、横浜市を中心に広く相続税に関するご相談をお受けしています。遺言書や相続のご相談も可能ですので、もしもお手続きに迷ったらお気軽にご相談ください。


響き税理士法人のスタッフ

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税理士 桐澤寛興
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