相続について、不安や悩みをかかえていませんか?相続の悩み事があっても、何から始めたらよいのか、どのように準備を進めていったらよいのかわからない…という方も多いでしょう。
そんな時に頼りになるのが、相続についての悩みや相談を聞いてくれる窓口です。相続について相談できる窓口はたくさんありますが、相談には料金がかかるのか、代行を依頼したらどこまで仕事をしてくれるのかなど、相談するには疑問も多く、直接の問い合わせはしにくいものです。
そこで今回は、相続税の無料相談や申告代行をしてくれるサービスを10選に厳選し、紹介していきます。
サービスを選ぶ際のポイントもお伝えしていくので、相続についてお悩みを抱えている方はぜひ、最後まで読んでください。この記事を読めば、相続にまつわる相談をどこにしたらよいかしっかりと理解できます。
目次
相続の無料相談、誰にする?
では、相続について相談できるサービスを紹介していきましょう。無料で相談できるところから申告代行まですべてお任せできるサービスまで様々にありますが、今回紹介するのは、以下の10選です。
- 市役所の無料相談
- 国税局電話相談センター
- 税務署の窓口
- 司法書士
- 法テラス
- 弁護士
- 行政書士
- 信託銀行
- 銀行
- 税理士
何を相談したいかを明確にすることが、解決への近道
先述の通り、それぞれの窓口は得意とする分野、できる作業が異なります。相談する内容やどのくらい深い話になるかによって、問い合わせるべき窓口が異なるため、本記事では「相談したい内容」や「相談内容、お任せしたいことの種類」に応じてまとめました。
そこで、まず最初にしっかりと考えていただきたいのは「どこに相談するか?」ということよりも「何を相談したいのか?」ということです。どこに相談するにしても、まずは「相続について何を相談したいのか」を明確にしておくことが問題解決への近道となります。
ざっくりした相談
相続について少し不安に思っている事がある、今持っている財産で相続税が発生するかが心配という、比較的ライトな相談がしたい方は、ざっくりした相談ができる窓口を選ぶとよいでしょう。
敷居も高くないため気軽に相談でき、話をしていく中でもう少し専門的な相談をしたくなった場合には、税理士や弁護士などの専門家を紹介してもらう事ができます。
1.市役所の無料相談が◎
ざっくりした相談がしたいという方におすすめなのが、「市役所の無料相談」です。
市役所などでは、弁護士や税理士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家を招き、定期的に相談会を行っています。各自治体で行っているため、専門家に直接相談できるにもかかわらず、費用は「無料」での相談が可能です。
今は予約制になっているところが多く、中には人気で募集をかけると、すぐに一杯になってしまうというところもあるでしょう。すぐに相談したい!という切迫した状況や詳細な相談などには不向きかもしれませんが、そうでなければ積極的に利用したいサービスです。
予約の方法は各自治体によって異なりますので、相談を希望される方は、お住まいの地域の広報やホームページで確認しましょう。
- 料金を気にすることなく、気軽に相談できる
- 依頼を強要されない
- 地域にいる弁護士や税理士などを知ることができる
- 具体的な話や踏み込んだ内容への回答は難しい
- 相談時間が決まっている
- なかなか予約が取れない可能性も
相続にまつわる税について、じっくり、しっかり相談
相続の税についてじっくり、しっかりと相談したい場合は、税の専門家に問い合わせましょう。
紹介する二か所では、相続税の仕組みやルールだけではなく、納付に必要な書類や税額の計算方法、土地の評価方法など、かなり踏み込んだ内容についても相談できます。相続が発生した場合や相続が目前に迫っているなど、現実的に相続手続きの可能性が高まっているときに問い合わせると有効でしょう。
2.国税局電話相談センターに問い合わせ
あまり知られていないかもしれませんが、国税庁では税についての相談窓口を設けています。相談窓口は「電話での相談」と「国税庁のホームページから調べる方法」の二つの方法があります。
電話での問い合わせ先は「国税局電話相談センター」で、国税局の職員が相続税についての相談にもしっかりと回答してくれます。問い合わせ方法は、以下の要領です。
- 所轄の税務署に電話をかける
- 音声案内に従い「1」を選択
- 引き続き音声案内に従い、相談する税の種類によって番号を選択します
- 相続税は「3」なので、3を選択しましょう
- 職員につながるので、相談・問い合わせ内容を伝えます
電話での問い合わせが不要な場合や税務署の開庁時間には電話が掛けられない場合には、国税庁のホームページで調べることもできます。チャットボットという、人工知能を活用した自動会話プログラムを利用した問い合わせも受け付けているため、こちらであれば24時間いつでもどこでも問い合わせが可能です。
- 電話だけでOK
- 相続税や財産評価について細かく確認できる
- 電話対応専門のスタッフが常駐しているため、迅速に回答が得られる
- 税務署の開庁時間(平日の昼間)に限られる
- 通話料が発生する
3.税務署の窓口で相談
直接顔を合わせて相談や問い合わせをしたい場合は、税務署の窓口での相談が良いでしょう。税務署職員は様々な業務を抱えている事や他の相談者がいる場合など手が空かない事も考えられるため、じっくり相談するためには時間を作ってもらうことが必要です。
税務署に相談に行く前に、必ず電話で事前の予約や対応できる時間を確認しておくと、しっかりと対応してもらえます。問い合わせ方法は、以下の要領です。
- 所轄の税務署に電話をかける
- 音声案内に従い「2」を選択
- 税務署職員が電話口に出るため、相談をしたい旨・希望の日時を伝える
- 直接会って話ができるため、より詳細に話を聞きやすい
- 事前の予約が必要
- 税務署の開庁時間(平日の昼間)に限られる
- 管轄の税務署でないと、明確な回答が得られない可能性も
専門家への相談
税に限らず、相続には土地の評価や遺言書、民法など様々な事案が絡んできます。そのような税金にまつわる事以外の、専門的な相談についてはそれぞれ専門家への相談が有効です。
4.司法書士
相続について、不動産の相続手続きについて悩みを抱えている場合は、司法書士に相談しましょう。その他、遺産分割協議や相続放棄、遺言については司法書士に相談するのが向いています。
相続が発生する際、不動産や預貯金などの財産はすべて名義変更が必要ですが、その手続きは、司法書士だけが行うことができます。相続時の不動産の登記や名義変更は司法書士にお願いするため、あらかじめ司法書士に相談しておくことで、相続が発生した場合にもスムーズに事が進みます。
ただし、司法書士は不動産の登記や預貯金の手続きについてはプロですが、税金、ましてや相続税のプロというわけではありません。不動産等の財産評価や税務的なことに関して、明確な回答は得られない可能性があることを覚えておきましょう。
- 不動産について詳しく相談でき、アドバイスがもらえる
- 各種名義変更、遺言作成、遺産分割協議なども相談できる
- 専門外、特に税金についての相談は不向き
- 相続トラブルになっている場合は、できることが少ない
- 相続税の申告業務はできないため、別途税理士への依頼が必要
5.法テラス
実際に、相続で法律トラブルが発生している場合には、相談窓口の一つに「法テラス」があります。
法テラスとは、国が運営する法律問題を解決するためのセンターで、全国に相談窓口があります。弁護士や司法書士などの専門家に無料で相談し、情報提供してくれますが、誰でも利用できるわけではない点に注意しましょう。法テラスの無料相談を利用できるのは、以下の要件を満たした人のみです。
民事法律扶助の趣旨に適すること
上記の条件を満たし、相談ができるかどうかは「法テラスサポートダイヤル」に問い合わせてください。
- 弁護士や司法書士に無料で相談できる
- 弁護士や司法書士に依頼した場合の費用の立替を行ってくれることも
- 実際に法的トラブルが起こっていることが前提
- 相談には収入制限など、かなり厳しい審査が必要
6.弁護士
法テラスでの相談が難しく、専門性の高い法律相談をしたい場合には、弁護士に相談しましょう。
弁護士は、税理士や司法書士、行政書士と異なり、本人に代わって法律行為を行うことができる「代理権」を持っています。相続税の申告や不動産の名義変更以外、相続にまつわる業務にも多く対応できるため、相続トラブルが大きくなってしまった場合、近い将来トラブルになる可能性が高い場合には、頼れる存在です。
ただ、弁護士への相談には費用が発生する可能性があり、実際に依頼をすれば費用は数十万円ほどかかることもあります。
- 法律トラブルになっている、なる可能性が高い場合は有効
- 裁判はじめ、各種手続きを代理してもらえる
- 高額な費用が発生する可能性も
- 不動産の登記手続きはできない
- 相続税の申告業務はできないため、別途税理士への依頼が必要
7.行政書士
法律トラブルにはなっておらず、相続についての書類作成や作製の相談をしたいのであれば、行政書士に相談するのもよいでしょう。行政書士への依頼は、ほかの士業(弁護士や税理士、司法書士)に比べて比較的安価な事が多い点も安心です。
ただ、行政書士は不動産の登記や相続税の申告はできません。そのため、相続財産に不動産が含まれていない、相続税の申告も不要という比較的規模が大きくない相続で、相続人が自分で手続きするという場合がオススメです。預貯金や車の名義変更等手間がかかる部分だけ、行政書士にお願いするというのもOKでしょう。
- 名義変更などの手続きを比較的安価に行ってくれる
- 不動産の登記手続きはできない
- 相続税の申告業務はできないため、別途税理士への依頼が必要
8.信託銀行
現在、預貯金を信託銀行に預けているのであれば、信託銀行に相談するのも一つの手です。
ただ、実際に相続手続きの代行をお願いする前に、しっかりと費用を検討することをおすすめします。信託銀行に相談、申告代行を依頼する場合、銀行が窓口となり、弁護士や税理士、司法書士など各種専門家に依頼をするというパターンが多いです。相続手続きの代行費用は、相続財産の割合に応じた金額になることが多く、相続財産が多いほど、報酬は多額になります。
さらに、信託銀行への支払いとは別に、銀行から依頼した弁護士、税理士への支払い、資料収集などにかかる実費も加算されます。最初の相談を受けてくれる窓口は、基本的に弁護士でも税理士でもなく、銀行員です。あくまでも、専門家ではないというところに注意が必要ですが、日頃から顔を合わせている銀行員に丸投げでお願いしたい、ということであれば相談、検討してみるのもよいでしょう。
- 普段から接している銀行の職員が対応するので安心
- 信託銀行が各専門家を紹介してくれる
- 財産の資産運用など、実生活の相談も可能
- 申告代行などの費用は、かなり割高になる
- 信託銀行で各種業務を行うわけではないため、別途士業が行う
(直接の担当者ではないため、作業についての細かい確認はとりにくい)
9.銀行
信託銀行と同様に、銀行でも申告代行を行っているところがあります。
費用は信託銀行と同様に、高額になるケースが想定されますが、普段から顔を合わせることが多い銀行員に対応してもらえると安心であれば相談するのもよいでしょう。
- 普段から接している銀行の職員が対応するので安心
- 銀行が各専門家を紹介してくれる
- 財産の資産運用など、実生活の相談も可能
- 申告代行などの費用は、かなり割高になる
- 銀行で各種業務を行うわけではないため、別途士業が行う
(直接の担当者ではないため、作業についての細かい確認はとりにくい)
相談から申告代行までお任せできるのは?
最後は、相続についての相談から申告代行までお任せできるサービス。相続税の申告代行ができるのは、士業の中でも唯一「税理士」に限られます。
10.税理士
相続の相談、相続税の申告代行まで依頼したいのであれば、「税理士」一択です。税理士は税金のプロですので、相続税が発生する場合には申告業務を依頼した方がベターです。
相続税の申告は、相続人や財産の洗い出しから始まり、不動産や株式の財産評価、控除や減税など細かく確認する必要があり、個人で行うのは非常に困難です。また、限られた期限内に申告する必要があるため、通常通りの仕事や家事に追われている中ではなかなか作業が進みません。
税理士は不動産の登記手続きはできませんが、近隣や士業間のネットワークがあり、税理士から司法書士に依頼できるため、依頼人は税理士に任せるだけで作業が完結します。税理士であれば、お任せで相続についての一式を完了することができます。税務署は大きな財産の移動を確実に見逃しません。
万が一、期限内の申告が成されない場合には、故意であるか否かに関わらず延滞税や重加算税が加算されることもあるのです。相続税が発生するかどうか分からない…という方もぜひ一度、税理士への相談をおすすめします。
- 相続税が発生するかの確認含め、税にまつわる一式を任せられる
- 節税対策などのアドバイスももらえる
- 贈与など早期に相談することで、健全な節税が行える
- 法律トラブルに発展している相続の場合は、別途弁護士への依頼が必要になる
- 申告や手続きを依頼すると、相続財産に応じて費用が発生する
相談や申告代行は専門家にお任せすれば安心!
今回は、相続にまつわる相談や申告代行サービスができる10選をお伝えしました。
どのような財産があり、どのような家族構成なのかは、その家族ごとにそれぞれ異なり、ひとつとして同じ悩みはなく、悩みが異なれば、どこに相談するべきかも当然、異なります。軽い相談や初めての相談であれば市役所等の無料相談を利用し、より専門性の高い相談であれば専門家に問い合わせてみるのが良いでしょう。
相続税が発生する可能性が少しでもあるのであれば、税理士に相談してください。近年、税法改正により相続税の申告が必要になる人は、昔よりもずっと増えています。親の代には相続税の申告はしなかったから、自分の時も大丈夫、では済まされない可能性があります。
税理士は士業の中で唯一、税金の申告代行をすることができます。ぜひ、無料相談などを上手に利用して、相続にまつわる不安を取り除きましょう!
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。