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銀行の相続手続きはどのくらい面倒?できるだけスムーズにする方法

税理士友野
税理士友野

相続の手続きの中でも、銀行の手続きは面倒なイメージがある。何をすべきかを知って、できるだけスムーズに終わらせたい。そんな思いを持っている方がいらっしゃるかと思います。

この記事では、銀行の相続手続きをできるだけスムーズにする方法について解説致します。

銀行の相続手続きの流れ

はじめに、銀行の相続手続きの流れを確認しておきましょう。どういった順番で何をすべきかを把握しておくことが、スムーズに手続きを終わらせるためには大切です。

銀行の相続手続き流れ
  1. 銀行への連絡 (被相続人の口座凍結)
  2. 残高証明書の取得
  3. 所定の用紙に記入
  4. 必要書類の収集
  5. 銀行へ書類を提出
  6. 払戻金の受取

主にやるべきことは上記の通りです。順調に進めば、全ての手続きを約1ヶ月程度で終わらせることが可能です。それでは、一つずつ詳しく確認していきます。

1. 銀行への連絡

家族が亡くなったら、まずは銀行へ連絡します。連絡する銀行は、被相続人が口座を所有する銀行です。可能であれば、電話で伝えるようにしてください。直接銀行に行って伝えても問題ありませんが、電話で相続の旨を先に伝えておくと、その後の手続きがスムーズになります。

銀行はこの連絡を受けて亡くなった事実を知ると、被相続人の銀行口座を凍結します。これは、銀行側が相続のトラブルに巻き込まれないようにするためです。遺産分割協議書などの正式な書類を確認せずに預金を払い戻してしまうと、相続人の間でトラブルが起きた場合に責任を問われる可能性があります。

こういった理由で、銀行は相続の手続きが完了するまでは預金の払い戻しをしません。口座を凍結すると、その口座の取引は一切できなくなり、預金を引き出すことはできなくなります。家賃や光熱費などの自動引き落としもできなくなりますので、引き落とし口座を変更する手続きは早めにしておくべきです。

ただし、口座凍結後でも、故人の葬儀代などを故人の銀行口座から引き出すことは可能です。その際に故人の戸籍謄本などが必要になるため、あらかじめ用意しておきましょう。また、被相続人の口座を凍結することは、不正利用の防止にもなります。万が一の場合を考慮して、必ず銀行に連絡してください。

2. 残高証明書の取得

家族が亡くなり相続が発生すると、被相続人の全ての資産を把握する必要があります。正確な資産の金額が分からないと、遺産分割協議や相続税を申告する際に問題になるためです。。

通帳の記載が最新の残高であるとは限らないので、正確な金融資産の金額を証明するために、残高証明書を取得します。残高証明書を発行してもらうためには、いくつかの書類を提出する必要があります。必要な書類は下記の通りです。

残高証明発行に必要な書類
  • 被相続人の通帳及びキャッシュカード
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書及び実印
これらの書類を揃えて、銀行の担当者へ提出してください。提出後、10日前後で郵送で届きます。残高証明書の発行は、相続人の誰か一人が行えば問題ありません。代表者が早めに手続きを進めておきましょう。

3. 相続手続依頼書の受取と記入

手続きを進めるためには、相続手続依頼書を提出する必要があります。この用紙は銀行の窓口もしくは郵送で受け取ることができます。遺言や遺産分割協議書で預金を相続する人が明確に決まっている場合、相続手続依頼書は受け取る人の署名と実印だけで問題ありません。

しかし、遺言や遺産分割協議書で預金を相続する人が明確に決まっていない場合、原則として法定相続人全員の署名捺印が必要です。これは、財産を受け継ぐ権利を持つ人が、各預貯金の取扱いなどについて、相続手続依頼書に記載された内容に同意したということを銀行が確認するためです。スムーズに書類を提出できるように、誰が財産を受け継ぐかを早めに決めておきましょう。

4. 必要書類の収集

銀行の相続手続きにおいて必要な書類は、相続手続依頼書の他にもあります。遺言がある場合とない場合で必要な書類が異なりますので、注意してください。

遺言がある場合

遺言がある場合に必要な書類は下記の通りです。

遺言がある場合の必要書類
  • 相続手続依頼書
  • 遺言書及び家庭裁判所による検認が確認できる書類
  • 被相続人の通帳及びキャッシュカード
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書及び実印

遺言がない場合

遺言がない場合に必要な書類は下記の通りです。

遺言がない場合の必要書類
  • 相続手続依頼書
  • 被相続人の通帳及びキャッシュカード
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(遺産分割協議が終わっている場合)
  • 相続人の印鑑証明書及び実印

戸籍謄本や印鑑証明書の原本は、申請すると当日のうちに返却してもらえます。これらの書類の原本は、銀行以外の相続手続きの際にも必要になりますので、返却してもらった方が良いです。また、手続きに必要な書類は、銀行によって異なる場合がありますので、事前に問い合わせておきましょう。

5. 銀行へ書類を提出

必要書類を収集したら、銀行へ提出します。提出先は被相続人の口座がある支店です。被相続人の口座がある支店が遠い場合、その旨を銀行に伝えれば最寄りの支店でも対応してもらえることがありますので、問い合わせてみてください。。

書類の確認には数週間ほどかかる場合がありますので、早めに提出できるようにしましょう。

6. 払戻金の受取

書類に不備がなければ、提出してから1~2週間ほどで代表相続人の銀行口座に払戻金が振り込まれます代表相続人は、受け取った払戻金を遺言もしくは遺産分割協議によって決めた内容に沿い、各相続人に分けます。必要な場合は、払戻証書もしくは名義書換済みの通帳を簡易書留郵便で郵送してもらうことができます。

手続きをスムーズに進めるための注意点

銀行の相続手続きをスムーズに進めるためには、いくつか注意点がありますので、確認していきましょう。

戸籍関連書類は早めに準備

戸籍関連書類は早めに準備するようにしてください。どんな場合でも、相続において戸籍関連の書類は共通して必要になります。被相続人の戸籍謄本だけでなく、相続人全員の戸籍謄本が求められます。請求先は市区町村役場になりますが、直接足を運ばなくても郵送で請求することが可能です。

ポイント①

被相続人の戸籍謄本だけでなく、相続人全員の戸籍謄本が必要

被相続人に借金がある場合は預金を引き出さない

被相続人に借金がある場合、預金を引き出すと相続放棄が出来なくなりますので注意してください。相続財産である預金を少しでも使ってしまうと、相続することを承認したと認識されます。しかし、葬式費用や医療費用については私的な使用ではないため、最低限の金額であれば相続放棄することができる場合があります。

ポイント②

被相続人に借金がある場合は、預金引き出しで相続放棄できなくなる

葬式費用や医療費用は例外

上記の通り、葬式費用や医療費用は例外で、被相続人の口座が凍結されても引き出すことが可能です。

ポイント③

葬式費用や医療費用は、例外として引き出すことが可能

葬式費用

葬式費用は必ず発生する費用です。支払いは相続人の誰かが代表して立て替えることになります。葬儀屋の方に依頼して、領収証を発行してもらい、銀行へ持っていってください。

葬儀があったことを確認してもらえば、葬儀にかかった費用を引き出すことができます。具体的には、香典返し、墓地の購入代金、法事等にかかる費用が該当します。

医療費用

被相続人が亡くなる前に、入院や治療によって医療費が発生しており、亡くなった時点で医療費が未払いの場合、被相続人の代わりに相続人の誰かが支払う必要があります。医療機関に領収証の発行を依頼し、それを銀行に持っていけば、必要なお金を引き出すことが可能です。

葬式費用や医療費用が膨大になることで、誰が一時的に費用を負担するかで相続人同士でもめてしまうことがあります。そうならないように、葬式費用や医療費用は例外ということを覚えておいてください。

引き出すことができる金額は銀行によって異なりますが、一般的に150万円程度までなら認められますまた、葬式費用及び医療費用は、相続税の計算をする際に課税の対象から差し引くことが可能ですので、無くさないように領収証を保管しておきましょう。

預金の過少申告

意図せず預金の過少申告をしてしまうことがあります。それは、被相続人がどの銀行に口座を持っていて、どれだけの預金を所有しているかについて、家族が把握していない場合です。

銀行口座が一つだけだと認識していたにもかかわらず、実は別の銀行で複数の口座を持っていたというケースも存在します。口座が多すぎて全てを把握しきれないだけでなく、ネットバンクに預金があり確認が難しいこともあります。

他にも銀行口座があることに気が付くことができず、実際よりも少ない金額を記載して相続税を申告したり、相続税の支払い金額を減らすために、把握しているにもかかわらず口座の存在を隠して申告したりすると、追加で税金を支払うなどのペナルティを受けます。ペナルティを受けないように、様々なケースを想定して、入念に全ての預金を確認するようにしてください。

ポイント④

預金の過少申告は、追加税金のペナルティになる

手続きができる時間帯

相続の手続きに限らず、銀行で手続きができる時間帯は平日の午前9時から午後15時までです。手続きができる時間帯を把握しておいて、スムーズに手続きを進められるようにしてください。

ポイント⑤

銀行の手続きは、平日の午前9時から午後15時まで

仮払い制度の利用

民法改正によって、2019年7月から預貯金の仮払い制度が開始しました。新制度では、遺産分割が成立する前でも、一定の金額であれば相続人が被相続人名義の預金を出金することができますしかし、一度でも仮払い制度を利用すると相続放棄できなくなる場合がありますので、被相続人に借金がある場合は利用しない方が安全です。

出金できる金額の上限は、150万円もしくは”死亡時の預貯金残高×法定相続分×三分の一”で計算される金額のどちらかで、より低い方が上限になります。預貯金の仮払い制度は銀行ごとに適用されるため、複数の銀行に口座がある場合、それに応じて出金できる金額が増えるので覚えてきましょう。

相続にかかる費用を誰が負担するかでもめてしまう場合は、仮払い制度を利用した方がスムーズに手続きを進められるかもしれません。

ポイント⑥

仮払い制度を利用して、150万円もしくは”死亡時の預貯金残高×法定相続分×三分の一”の金額を、遺産分割前に預金を出金可能

手続きの放置は禁物

銀行の相続手続きの放置は禁物です。手続きの期限はなく、放置しても罰則やデメリットはありません。預金が減少したり、国に取り上げられることもありませんが、該当銀行口座の最後の取引から10年が経過した場合、休眠口座として扱われます。

休眠口座になると入出金ができなくなり、再び使い始めるためには面倒な手続きが必要になります。そもそも預金は、銀行に対する預金債権です。債権を行使せず、銀行に対して預金の払い戻しを請求しなければ、その預金債権は10年で時効消滅してしまいます。

被相続人が亡くなった後、遺産分割協議が進まず、相続人が相続手続をしないまま10年が経過すると、預金債権が消滅する恐れがあるのです。実際、10年経過していても、正しい方法で手続きを進めれば、銀行が支払いに応じる場合が多いですが、凍結されたままの預金額は相当な金額のようです。

現状としては銀行内に存在していますが、今後法律が改正され、国に没収される可能性は十分あります。支払いに応じるか否かは各銀行によって変わり、仮に支払いをしてもらえる場合も、複雑な手続きが必要になりますので、放置しないようにしてください。

ポイント⑦

銀行手続きを放置すると10年で休眠口座として取り扱われ、払い戻し請求ない場合預金債権は、時効消滅する恐れがある

相続に備えて準備することが大切

いざ相続することになったら、慌ててしまい、やるべき手続きを忘れてしまうことがあります。そうならないように、相続に備えて準備することが大切です。両親が高齢の場合、いつ相続が発生してもおかしくありません。聞きにくいかもしれませんが、両親にどこの銀行に口座を持っているかを確認しておいてください。

また、凍結口座から預金を引き出したり仮払い制度を利用することも可能ですが、万が一の場合を想定して、葬儀費用や医療費用の現金をすぐに用意できるようにしておいてください。ご自身で貯金しておくのがベストですが、誰しもが貯金できるわけではありません。

貯金が難しい場合は、生命保険に加入することや家族信託という制度を利用することを検討してみてください。家族信託とは、両親が元気な間に子供に財産を託すという制度です。両親が亡くなる前から、子供が信託対象の預金について管理することができます。両親が亡くなった場合、すぐに預金を引き出して必要な費用に使う事が可能です。

様々な制度を利用して、日頃から相続に備えて準備しておきましょう。

まとめ

いかがでしたか。本日は、銀行の相続手続きの詳細や、できるだけスムーズにする方法について解説致しました。

日頃から相続の準備をしておいて、どういった流れでいつまでに何をやるべきかということを意識しておけば、いざという時に慌てる必要がありません。銀行の相続手続きは面倒に思うかもしれませんが、両親が残してくれた大切な預金をスムーズに受け取れるようにしておくことが、親孝行になるのではないでしょうか。

この記事を参考に、銀行の相続手続きを進めていただければ幸いです。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。