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日本の相続税は海外より高い?世界相続税ランキング

日本の相続税は海外と比べてどうなのでしょうか?実は、平成27年に行われた税法改正により、日本の相続税率は世界と比較しても今まで以上に高くなっています。

なぜ、そこまで日本の相続税は高いのでしょうか?

そこで今回は、日本の相続税が海外と比較してどうなのか?世界相続税ランキングとあわせて解説していきます。世界の相続税と比較することで、日本の相続税の仕組みも見えてきます。相続税の仕組みがわかれば、取るべき節税対策もわかりますよ。

では、さっそく、見てみましょう!

世界相続税ランキング

 

※ 邦貨換算レート:1ドル=114円、1ポンド=154円、1ユーロ=130円(基準外国為替相場及び裁定外国為替相場:令和4年(2022年)1⽉中適⽤)。なお、端数は四捨五⼊しています。

出典・財務省:https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/itn_comparison/j05.htm

上のグラフは、主要国の相続税負担率を示しています。すべて、相続人に配偶者+子が二人いる場合とし、配偶者が遺産の半分、子が残りの遺産を均等に取得したことを想定して算出しています。

縦軸が「負担率」、つまり、相続税の課税価格に占める「相続税額の割合」です。横軸は「課税価格」を示しています。

課税価格とは財産の総額ではなく、財産のうち、基礎控除額等を除いた税率がかけられる財産の価格のことを言います。日本の数字は、黒い太線が平成27年の税法改正以降、黒い点線が税法改正前のものです。ご覧の通り、日本はやはり比較的高い負担率となっていますね。

日本の税率は1位!

上のグラフの通り、日本の相続税の税率は1位です。正確に言えば、課税価格が11億円を超えるあたりの負担率は、日本が1位となります。

11億円未満の負担率は、イギリスがかなり高い割合となり、単独トップですね。H27年の相続税の税法改正前は、イギリスとトップがかわる分岐点は15億円ほどでした。

課税価格が高くなるほど、日本と他国との差は大きくなり、課税価格が20億円の場合では二位のイギリスとは5%近く負担率に差が出ます。また、課税価格が1億円未満の場合においても、日本はフランスと並んで比較的高い負担率となっています。

課税価格1億円未満の世帯、11億円以上の世帯には、世界と比較して高い負担率を突き付けられている、ということです。

世界の相続税率はどのくらい?

では、世界の相続税はどうでしょう?それぞれ見てみましょう。

イギリス

イギリスの相続税は「遺産課税方式」を取っています。遺産課税方式とは、相続人の人数や財産の分け方などに関係なく、遺産そのものに相続税を課税する方法。

イギリスの相続税率は一律で40%となっています。ただ、イギリスでは不動産が非課税となることや相続税の減税のため、亡くなった方のうち相続税が課税されるのはわずか4~5%ほど。

課税価額が325,000ポンド(日本円で5,000万円ほど)までは原則、非課税となります。加えて、住宅非課税枠が175,000ポンド(日本円で2,700万円ほど)あり、実質500,000ポンド(7,700万円)が非課税になります。

その他、配偶者は相続税が免除されるほか、自宅が子どもや孫に相続される場合には、最大200万ポンド(およそ3億円)が自宅では非課税に。チャリティーや寄付などで免除されるのもイギリスの特徴です。

イギリスでは遺産の規模や相続税の発生に関係なく、イギリス税務当局に報告する必要があります。

フランス

フランスの相続税は「遺産取得課税方式」が採用されています。イギリスの遺産課税方式と名称が似ていますが、内容は全く異なるので注意しましょう。

遺産取得課税方式とは、相続人がどの程度の財産を相続したかによって相続税額を決める方法です。フランスでは、夫婦の財産は原則として共有財産とされます。そのため、相続財産のうち配偶者の取得部分は免税されるため、上記のグラフにおいては除外しています。

相続税率については、5~45%の7段階で組まれています。日本では相続開始前3年以内に生前贈与した財産が加算されますが、フランスではその期間がさらに長く相続開始前15年。また、基礎控除額が10万ユーロ(日本円で1,300万円ほど)と低くなっているのも特徴です。

ドイツ

ドイツの相続税は、フランスと同様に「遺産取得課税方式」を採っています。相続税率は7~30%で、7段階です。相続開始前の生前贈与加算は、相続開始前10年とこちらも日本より長くとられています。

ドイツでは、配偶者に基礎控除50万ユーロ(日本円でおよそ6,500万円)+特別扶養控除25.6万ユーロ(日本円でおよそ3,330万円)、併せて75.6万ユーロ(日本円でおよそ9,830万円)が認められます。

さらに、配偶者に認められているのが「剰余調整分」。亡くなった配偶者の婚姻中の財産増加額が、生きている配偶者の財産増加分を上回る場合、その差額の1/2までが非課税となります。一方、子には40万ユーロ(日本円でおよそ5,200万円)の基礎控除があり、子の年齢に応じてさらに特別扶養控除が設けられていて、被相続人との続柄によって基礎控除が変動するのも特徴です。

アメリカ

アメリカは、フランス・ドイツと同様、遺産課税方式をとっています。呼称については正確には相続税ではなく、「遺産税」と呼ばれます。遺産税は「亡くなった本人が納める」というのが基本的な考え方。

アメリカでは、なんと1,118万ドル(日本円でおよそ12億7450万円)もの基礎控除が認められているのです。さらに、配偶者がアメリカに市民権があれば基礎控除に関係なく、非課税です。そのため、アメリカでは遺産税が発生するのはごくわずかな限られた富裕層だけと言えます。

ほかにも、州ごとによって基礎控除額や税率も設けられていることがあるので、その州に財産がある場合には注意が必要です。

日本の相続税はどうなってる?

では、諸外国の相続税について学んだところで、日本の相続税はどうなっているのでしょうか?日本の相続税について詳しく見ていきましょう。

日本の相続税率はトップクラス!

日本の相続税率は最高で55%と、税率では世界トップクラスとなっています。実際、去年までは日本の最高相続税率はOECD(経済協力開発機構)加盟国のうちNo.1でした。

2022年8月の発表で、現在1位は最高税率は60%の「韓国」で、日本は二位となっています。とは言え、日本の相続税率は依然として、他国と比較して高い数字であることは間違いないでしょう。

参考URL:https://www.wowkorea.jp/news/korea/2022/0819/10360186.html

日本の相続税率の計算方法は?

日本の相続税は、受け取った相続税にそのままの税率をかけるわけではありません。受け取った財産から負の財産や基礎控除を差し引き、残った部分を相続人ごとに分け(分けられた相続分を「法定相続分」と言います)、そこに税率を掛けます。

そのため、下記に示す相続税の速算表は「被相続人ごと」ではなく「相続人ごと」によって異なります。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

受け取る相続分が低いほど税率は低く、高くなるほど税率も高くなります。

実際、相続税はたくさん納めなければならない?

相続税率が高いということは、相続税はたくさん納められなければならないのでしょうか?確かに、日本の相続税の最高税率はトップクラスです。しかし、だからといって納める税金が高額かと言えば必ずしもそういうわけではありません。

例えば
相続財産が1億円、配偶者+子A、子Bの相続人がいる場合を仮定しましょう。

基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人3人=4,800万円となります。

相続財産1億円-基礎控除額4,800万円で、課税価格は5,200万円です。課税価格が5,200万円の時、配偶者は1/2の2,600万円、子A、Bはそれぞれ1,300万円を相続することになります。

上記に税率を当てはめてみてみると、配偶者と子A、B全員税率は15%で、どちらも控除額は50万円です。

配偶者は340万円、子A、Bはそれぞれ145万円ずつが相続人それぞれの課税額。

配偶者340万円+子A145万円+子B145万円で、630万円が、納めるべき「相続税の総額」となります。

相続税の総額を、各人が受け取った財産の割合に応じて割り振り、相続人ごとの税額を計算。法定相続分通りに配偶者に1/2、子A1/4、子B1/4を財産分与にしたと仮定すると、

配偶者 630万円×1/2=315万円
子A 630万円×1/4=157万5千円
子B 630万円×1/4=157万5千円

ここで、配偶者は法定相続分もしくは1億6千万円のどちらか多い金額までは税額控除されます。そのため、配偶者の税額はゼロ、子ABは157万5千円ずつ、合計で315万円が相続税額となります。

1億円の財産を受け取って、支払う相続税は315万円なので、割合としては3.15%。消費税などから考えればずっと小さな割合ですね。

相続税がない国はあるの?

世界には相続税がない国もあります。相続税がない国は主に以下が挙げられます。

相続税がない国
  • 中国
  • 香港
  • モナコ
  • インド
  • シンガポール
  • マレーシア
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • スウェーデン
  • ノルウェー
  • カナダ
  • ポルトガル
このうち、スウェーデンやノルウェーなど多くの国はもともとあった相続税を廃止しています。廃止に至った理由は各国それぞれありますが、大きく分けて三つの理由が考えられます。
相続税廃止の理由
  1. 国外から富裕層を集めるため
  2. 富裕層が外国へ出ていくのを防ぐため
  3. 多額の相続税負担によって生じる、事業継承の問題などを解決するため
日本で多額の相続税を払う可能性がある人にとっては、相続税のない国に移住するのもアリかな?なんて考えちゃいますよね。しかし、海外に移住したからと言って必ずしも日本の相続税から逃れられるわけではありません。

日本の場合、被相続人・相続人共に海外に移住していることが必要で、かつ移住してから10年以上経過している必要があります。海外移住してから10年未満であれば、日本国外の土地などの財産であっても日本の相続税が適用されます。移住して10年未満の場合や相続人が一人でも日本に居住している場合は、日本での相続税の納付が必要です。

上手に節税対策を行えば、相続税も怖くない!

日本の最高税率は世界でもトップクラスに高いです。特に平成27年の相続税法の改正後は、さらに相続税負担が重くなったのでは?と思いますよね。

しかし、必ずしもそうではありません。相続税の課税件数と相続税収の推移を見てみましょう。

出典:財務省https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e02.htm#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B4%E3%81%AE,%EF%BC%94%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%AF%E4%BA%88%E7%AE%97%E9%A1%8D%EF%BC%89%E3%80%82

縦棒グラフが「相続税の税収」、緑の折れ線が課税価格に対する負担税額、つまり「負担割合」を表しています。

上記の通り、平成27年付近で相続税収はぐんと高くなっていますが、その一方で、負担割合についてはほぼ変わっていません。つまり、相続税法の改正により、より多くの人から少しずつ相続税をもらう事で負担割合は変えることなく相続税収を増やしているということです。

とはいえ、資産5億円を超える富裕層の負担率は、かなり大きくなるため、納税の準備は事前にしっかりしておきましょう。5億円の資産、相続人が配偶者、子二人の相続税額は6,555万円にもなります。

上手な節税対策と、計画的な納税の準備が重要です。しかし、短期間での相続対策は、「税金逃れ」として追徴課税される場合があります。相続対策は期間に余裕をもって、計画的に取り組みましょう。

まとめ

日本の相続税額は、諸外国と比較すると最高税率は高くなります。

一方で、消費税や所得税では日本が優遇されていることも多く、一概に日本では多額の税金を支払わなければならない、とは言えません。

相続税を賢く節税できる減税措置や方法もたくさんあります。節税対策を考えている場合には、かならず税理士などの専門家にアドバイスをもらいましょう。

相続が発生する数年前に行った資産の移動や不動産の購入は、行き過ぎた節税対策とみなされて追徴課税を課されることがあります。どの程度の対策なら問題ないか、プロの目線から判断してもらうことができます。

早めの備えで、相続税を正しく捉えられるようにしましょう。

イギリス参考サイト:http://shukatsuweb.net/iht/ukiht
参考サイト:https://www.lij.jp/html/jli/jli_2019/2019summer_p085.pdf

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。