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相続税申告のスケジュールを解説

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「相続税の申告はいつまでにするの?」

「相続税を申告するまでのスケジュールを知りたい」

大切な家族が亡くなったとき、遺された財産を受け取ることで発生する相続税。

親御さまや長年連れ添った奥さま、旦那さまがいなくなると悲しみに暮れる日々が続きますが、残念ながら相続税は待ってくれません。

相続税は決められた期間内に納付する必要があり、きちんとスケジュール計画を立てて進めていくことが重要です。

そこで今回は、相続税申告までのスケジュールについてお話します。

ご家族が亡くなってからするべきことやしておいた方が良い事を、時系列でまとめました。

この記事を読むことで、万が一の時にも焦らず相続税に向き合えるので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修者

税理士桐澤

税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。

相続税申告のスケジュール

相続税申告までのスケジュールは、以下のような流れで進みます。

期日やるべきこと
相続開始~7日間死亡届の提出、葬儀の手配
2週間以内保険証の返却、年金/役所関係の手続き
2カ月以内相続人の青色申告の届出
3カ月以内相続の概要を決める
4カ月以内準確定申告
6~8カ月遺産分割協議
10か月以内相続税の申告・納税

相続が発生した日から起算して、10ヶ月以内に相続税の申告や納税の手続きをする必要があります。

正しく、期日内に申告するためには、上記のスケジュールを参考にしてタイミングよく手続きや作業を進めていくことが重要です。

相続開始~7日間:死亡届の提出、葬儀の手配

身内が亡くなった日から7日間は、市役所や葬儀に関する作業を行います。

必要となるのは、主に以下の作業です。

  • 死亡診断書の受け取り
  • 葬儀社の選択、依頼
  • 役所への死亡届の提出
  • 火葬許可証の申請

まず、死亡を確認した医師が発行する死亡診断書(費用5,000円ほど)を受け取ります。

事故などで亡くなった場合は、監察医による死体検案書という書類が必要です。

上記の書類は被相続人が亡くなったことを証明するための重要な書類なので、複数枚コピーを取っておくと良いでしょう。

次に、葬儀社を選び、葬儀を依頼する必要があります。

病院や施設で亡くなった場合は、速やかな遺体の搬送が求められることが多いです。

すでに葬儀社の目星がついているなら速やかに連絡をして、自宅や葬祭場に遺体を搬送してもらいましょう。

どこに依頼すればいいかわからない場合は、施設や病院でも紹介してもらえます。

葬儀の内容や日程などの詳細な打ち合わせは、遺体の搬送後に行うのが一般的です。

また、葬儀にまつわる費用の多くは、相続税を算出するときに相続財産から控除できます。

なくさないようにきちんと保管、保存しておきましょう。

2週間以内:保険証の返却、年金/役所関係の手続き

つぎに、14日(2週間)以内に保険証の返却や年金関係の手続きなど、役所への手続きを行います。

具体的には、以下の3点を確実に行ってください。

手続き請求先
健康保険資格喪失届の提出健康保険:勤務先の担当部署国民健康保険:市役所・区役所
国民年金の種別変更市役所・区役所
世帯主変更の届出

年金や世帯主の変更、国民健康保険の手続きは、市役所や区役所で行います。

すべての手続きは14日以内に行う必要があるため、タイミングを見て早めに行きましょう。

亡くなった方がまだ会社勤めの場合などは、健康保険の手続きは勤務先になります。

こちらは14日の期限はありませんが後回しにすると忘れてしまうこともあるため、できるだけ早めに行うのが良いでしょう。

【早めにやること】公共料金の名義変更、生命保険・金融機関の手続き

ここで、期限は求められていないものの早めに済ませておくべき手続きを紹介します。

手続き請求先
電気・ガス・水道の名義変更各営業所
クレジットカードの名義変更カード会社
電話加入権の名義変更最寄りのNTT窓口
携帯電話の解約携帯電話会社
運転免許証の返却所轄の警察署
パスポートの返却都道府県の旅券課
住居の賃貸借契約の変更家主や不動産会社

上記はいつまでにという明確な期限はないものの、早めに済ませておきたい手続きです。

クレジットカードは不正な悪用を防ぐためにも早めに手続きを済ませておきましょう。

また、携帯電話は解約の手続きを踏まないと月額料金がずっとかかってしまいます。

できるだけ早急に手続きを行うようにしましょう。

2カ月以内:相続人の青色申告の届出

亡くなった方が事業を行っていて、相続人がその事業を引き継ぐ場合に必要になる手続きもあります。

たとえば、亡くなった方が青色申告をしていて、相続人が新たに事業を引き継ぐ場合には、青色申告の手続きが必要です。

青色申告の手続きまでの期間は、相続が発生した時期に応じて以下のように異なります。

相続開始の時期青色申告の届け出期限
1月1日~8月31日相続開始から4ヶ月以内
9月1日~10月31日相続が開始した年の12月31日まで
11月1日~12月31日相続が開始した翌年の2月15日まで

10月末日や12月末日に亡くなった場合、青色申告の届け出まではわずか2ヶ月ほどしかありません。

親御さんが青色申告を行っている人は手続きを行う必要があるかもしれないため、忘れないよう気を付けてください。

3カ月以内:相続の概要を決める

相続が発生して3ヶ月以内に、相続の概要を決めます。

具体的には、以下のようなことを確認してください。

  • 相続人の確定
  • 遺言の有無の確認
  • 大まかな相続財産・負債の把握
  • 相続放棄、限定承認の検討

特に重要なのは、相続放棄と限定承認の検討です。

それぞれの大まかな内容は、以下の通りとなります。

単純承認相続人がすべての財産・債務を受け継ぐ
限定承認相続で得た財産の限度内で、債務の負担を受け継ぐ
相続放棄相続人はすべての財産・債務を受け継がない

相続放棄や限定承認を考えている場合は、その旨を家庭裁判所に申述します。

何もせずに3ヶ月が経過してしまうと、単純承認としてすべての財産・負債を引き継ぐことになります。

後になってから相続放棄はできないため、しっかり考えて放棄・限定承認する場合は早めに動きましょう。

また、早い段階から相続人の確定や相続財産の洗い出しを始めることも大切です。

まだ亡くなったばかりだから…とのんびりしているとあっという間に期限は来てしまいます。

できることからコツコツと作業を進めていくと、後になって焦らずに済みますよ。

4カ月以内:準確定申告

亡くなってから4ヶ月以内には、準確定申告を行う必要があります。

ただし、準確定申告はすべての人が行うわけではなく、生前に確定申告を行っていた人に主に必要です。

通常、納税が必要になる場合は4カ月以内の申告が必要で、還付になる場合は4ヶ月以降でも問題ありません。

また、準確定申告で所得税を支払った場合は相続財産から差し引かれ、還付になる場合は相続財産に含まれます。

相続財産を確定しやすくなるため、還付であってもできるだけ早めに行っておくとよいでしょう。

6~8カ月:遺産分割協議

相続が起こってから6~8カ月頃を目安に、遺産分割協議を行いましょう。

遺言書があり、相続人全員がないように同意するなら、遺言内容によって相続手続きを行います。

遺言書がなかったり、内容に異議を唱える相続人がいたら、相続人全員で話し合いが必要です。

相続財産・負債が分かる財産リストや目録を作り、相続人全員立ち合いのもと遺産分割協議を行います。

遺産分割の内容が決まったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が記名・押印します。

遺言書や遺産分割協議書は、相続手続きにおいて非常に重要です。

預貯金や不動産の名義変更でも必要になるため、複数枚用意し記名・押印しておくと、たびたび集まる手間がなくスムーズに作業できるでしょう。

【法的期限はなし】相続財産を納税資金にするなら、資産の名義変更を

相続財産を納税資金にしたい人は遺産分割がまとまり次第、早めに資産の名義変更の手続きを行いましょう。

法的な手続きの期限はありませんが不動産は売却の手続きが必要になるため、ある程度の時間を要します。

相続税の支払いが発生する可能性があり、納税資金に相続財産を当てたい場合には、早めに税理士に相談することをおすすめします。

10か月以内:相続税の申告・納税

相続が発生して10カ月以内に、相続税の申告・納付が必要です。

長いように感じますが、相続が発生すると何かと慌ただしく、あっという間に10か月になってしまいます。

申告期限が近いのに財産が分からない!、遺産分割がまとまらない…ということのないよう、速やかに動きましょう。

まとめ:スケジュールを把握すれば、焦らず安心!

今回は相続の発生から申告までのスケジュールを時系列でお伝えしました。

相続税は複数の相続人や相続財産があるため、同じ個人が納める所得税とはまた異なる苦労があります。

相続税を申告する可能性があるなら、できるだけ早めに相続税に詳しい税理士に相談してください。

親御さんが相続税を支払っていたなら、あなたも相続税を払う可能性が高いです。

ぜひ、今回の記事を参考にして、相続のスケジュールを把握し、焦ることなく申告できるようにしてくださいね。

響き税理士法人のスタッフ

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税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。