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【税理士が解説】5分で分かる!相続税の障害者控除の概要解説

税理士友野
税理士友野

障害を持つ子供の親にとって、自身が亡くなったあとの子供の生活は最大の心配事かもしれません。そのため、自身が死亡した際の相続税負担はなるべく減らし、少しでも多くの財産を子供に残してあげたいと思われることでしょう。

このような場合に、ぜひ知っておきたいのが「相続税の障害者控除」という制度です。

以下では、障害のある方に対する税法の特例措置を概観したのち、相続税の障害者控除の概要や適用要件、その他の特徴的な取り扱い等について説明します。

税法における障害者への配慮

税法では、障害のある方の生活に関する特殊事情に配慮し、さまざまな特例措置を設けています。

障害のある方本人に対する特例措置として次のものが挙げられます。

今回は、このうち「相続税の障害者控除」について説明します。

その他の制度の概要は、リンク先の「国税庁ホームページ」を参照ください。

  • 所得税の障害者控除
  • 相続税の障害者控除
  • 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税
  • 特定障害者に対する贈与税の非課税
  • 少額貯蓄の利子等の非課税

相続税の障害者控除の概要

相続税の障害者控除とは

相続税の障害者控除とは、一定の要件を満たす障害のある方が相続人となる場合に、納付する相続税額から一定額を控除できるという制度です。

稀に、被相続人(亡くなられた方)が障害者である場合に適用できるものと誤解されていることがありますが、この制度はあくまで遺産を相続する方が障害者である場合の特例措置です。

障害者控除の計算式

障害者控除の額は、適用を受ける障害のある方が85歳に達するまでの年数(1年未満の端数は1年に切り上げ)に、「一般障害者」の場合は10万円、「特別障害者」の場合は20万円を乗じた金額です。

日本人の平均寿命に近い85歳に達するまでの残年数に応じて控除額が決まるというシンプルで分かりやすい仕組みとなっています。

【控除額の計算式】
(85歳-相続発生時の年齢)×10万円または20万円

この計算式で算出された金額を相続税額から控除することになります。

相続人である障害のある方の年齢によっては、かなりの金額が控除の対象となってくるため、適用可能な場合は必ず適用するようにしましょう。

なお、計算式からも明らかですが、相続人が85歳以上の場合には、障害者控除の適用を受けることはできません。

障害者の区分

障害者控除の額は、一般障害者と特別障害者で異なります。

それぞれの区分に該当する方の主な例は以下を参考にしてください。

精神障害の場合、手帳の等級が2級の方は一般障害者に該当しますが、身体障害の場合には2級の方でも特別障害者に該当するといった違いがあることに注意しましょう。

一般障害者に該当する方
  • 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が3級から6級と記載されている方
  • 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が2級または3級と記載されている方
  • 重度の知的障害者と判定された方で特別障害者に該当しない方 など
特別障害者に該当する方
  • 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級または2級と記載されている方
  • 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級と記載されている方
  • 重度の知的障害者と判定された方
  • いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない方 など

障害者控除の適用要件等

適用要件

障害者控除の適用要件についてもう少し詳しく説明します。

この規定の適用を受けようとする方は、次の4つの要件を満たす必要があります。

相続または遺贈により財産を取得したこと

障害者控除の適用を受けるためには、対象となる障害のある方が相続または遺贈(遺言による贈与)により財産を取得している必要があります。

仮に、その他の要件をすべて満たしていても、障害のある方が相続等により財産を取得しない場合は、障害者控除の適用は受けられません。

例えば、遺産を適切に管理・使用していくため、障害のある方の扶養義務者が財産をすべて取得するなどしてしまうと、この規定の適用を受けられなくなってしまうことに注意しましょう。

法定相続人であること

相続開始時において「法定相続人」である必要があります。

法定相続人とは、相続の放棄があった場合に、その放棄がなかったものとした場合の相続人のことをいいます。

そして、相続人の範囲は次のようになります。

  • 配偶者…被相続人の配偶者は必ず相続人となります。
  • 血族…被相続人の血族は次の順序で配偶者と一緒に相続人となります。先順位の人がいる場合には、後順位の人は相続人になることはできません。

① 子供

② 直系尊属(父母や祖父母など)

③ 兄弟姉妹

日本国内に住所を有していること

財産を取得した時において「居住無制限納税義務者」に該当する必要があります。

居住無制限納税義務者とは、基本的には日本国内に住所を有している人のことをいいます。

租税条約による例外もありますが、相続人が海外に住所を有している場合には、原則として障害者控除の適用を受けることはできません。

なお居住無制限納税義務者の詳細は、リンク先の「国税庁ホームページ」を参照ください。

障害者であること

前述の一般障害者と特別障害者のいずれかに該当する必要があります。

なお、この要件については、相続開始時に障害者手帳等の交付を受けていなくとも、相続税の申告期限までに手帳の交付を受けている方なども対象となり得ます。

相続税の規定は、原則として相続が発生した際の状況で適用要件等の判定を行うため、この取り扱いは例外的といえます。

添付書類等

相続税の申告にあたり障害者控除の適用を受けるためには、所定の様式の作成が必要なほか、申告書に障害者手帳の写しなどの添付が必要となります。

ただし、障害者控除の適用により納付する相続税額が生じない場合には、申告書の提出は不要となります。

これは、相続税の代表的な特例措置である小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減と異なり、障害者控除には申告要件が課されていないためです。

その他の特徴的な取り扱い

控除額が相続税額を超える場合の取り扱い

上記の障害者控除の額が障害のある方の相続税額を超える場合には、その超える部分の金額を障害のある方の扶養義務者の相続税額から控除することができます。

なお、扶養義務者とは、その方の配偶者や父母、兄弟姉妹の方などをいいます。

扶養義務者であれば、実際に扶養関係になくともこの取り扱いを受けることができます。

この取り扱いもあることから、法定相続人に障害のある方がいる場合、その方に財産を取得してもらう方がよいでしょう(上記適用要件の「1.」参照)。

控除不足額が生じる場合の取り扱い
障害者控除の額 > 障害者控除適用前の相続税額

  • 障害者本人が納付する相続税額はゼロになる
  • 控除しきれなかった部分は扶養義務者の相続税額から控除できる

過去に適用を受けている場合の取り扱い

相続税の障害者控除は、過去の相続の際に適用を受けていたとしても、次回の相続の際に再度適用を受けることが可能です

ただし、この場合には、控除額の計算にあたり一定の調整が必要となります。

障害者控除の適用例

【前提】
  • 甲は、父の相続により財産を取得した
  • この相続により甲が納めるべき相続税額は500万円と算出された
  • 甲の相続開始時の年齢は45歳6カ月であった
  • 甲には身体障害があり、障害等級は3級である(⇒一般障害者に該当する)
  • 甲は、過去に相続税の障害者控除の適用を受けたことはない
【控除額等】
  • 甲が85歳に達するまでの年数

85歳-45歳6カ月=39年6カ月 ⇒40年(1年未満の端数は1年に切り上げ)

  • 障害者控除の額

40年×10万円=400万円

  • 障害者控除後の納税額

500万円-400万円=100万円

※仮に、甲が特別障害者であった場合には控除額が2倍の800万円となるため、300万円の控除不足額が生じます。

この控除不足額は、甲の扶養義務者の相続税額から控除することができます。

 

 

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。