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銀行はなぜ名義人の死亡がわかる?名義人の死亡後におこなっていけない行動と口座凍結の具体例を解説

銀行はなぜ死亡したことがわかるのか

銀行が口座名義人の死亡を知るタイミングは大きく分けて次の3つです。

銀行が口座名義人の死亡を知るタイミング
  1. 電話などで口座名義人死亡の連絡を受けたとき
  2. 新聞や周囲の人から確認したとき
  3. 葬儀社の看板を確認したとき

相続手続きにおいて、銀行と市区町村は業務連動していないため、市区町村へ死亡届が提出された場合でも銀行は口座名義人が死亡したことを把握できていません。そのため、銀行は上記の3つのタイミングなどによって、口座名義人の死亡を確認しています。

また、口座名義人が死亡すると口座が凍結され、自由にお金を引き出すことができなくなりますが、実際に口座名義人が死亡したからといってすぐに口座が凍結される訳ではありません。場合によっては口座名義人が死亡しても、しばらく口座が凍結されないこともあります。

銀行が口座を凍結する理由とは

そもそも、銀行が口座を凍結させる理由とは何なのでしょうか。口座が凍結されることで相続人が自由にお金を引き出せなくなるなど、面倒な手間を増やしているだけに感じますが、口座の凍結にはしっかりとした理由があります。

ここでは銀行が口座を凍結する理由を2つ紹介します。

相続財産を確定させるため

銀行が口座を凍結させる理由の1つに「相続財産の確定」があります。

口座名義人が亡くなった時点で所有していたお金は、相続財産として相続税の課税対象となります。口座名義人が亡くなったあとにお金を自由に引き出せてしまうと、相続財産を確定することが難しくなってしまうため、相続財産を確定させるという意味で口座を凍結します。また、相続税の申告においては口座名義人が亡くなった時点で、いくらの貯金があったのかを調べる必要があります。

そのような場合は、融機関から死亡日時点における「残高証明書」などを発行してもらうことで対応することができます。

相続時における親族同士のトラブルを防ぐため

銀行が口座を凍結させる理由の1つに、相続財産を守り、親族同士のトラブルを防ぐことがあげられます。これは民法も関係しており、民法898条には次のように定められています。

「相続人が複数あるときは、相続財産は、その共有に属する」

引用:民法|e-GOV法令検索

相続人が複数人となる場合の相続財産は、遺産分割協議が終わるまで相続人全員の共有の財産となります。そのため、特定の相続人が勝手に口座からお金を引き出せないようにする必要があります。

そこで銀行は口座を凍結することにより、特定の相続人が口座から勝手にお金を引き出せないようにすることで、相続人同士のトラブルを未然に防いでいるのです。

口座が凍結される前に準備しておくことはできる?

口座名義人が死亡し、金融機関が口座を凍結するまでは一定期間があり、その間にお金を引き出すことは可能です。

しかし、口座名義人が死亡している状況でお金を引き出すことは、相続人とのトラブルの原因となってしまう場合があります。そのため、生前からさまざまな対策をおこなっておくことが非常に重要になります。

ここでは口座が凍結される前に準備しておくことができる3つのことを紹介します。

あらかじめ預貯金からお金を引き出しておく

口座名義人が亡くなる前にお金を引き出しておくことも有効な対策の1つといえます。

口座名義人の死亡後、金融機関が口座を凍結する前にお金を引き出すことはできますが、前述のとおり、他の相続人に無断でお金を引き出すことは、相続人間のトラブルにつながりかねません。

そのため、口座が凍結される前にお金を引き出す場合は、相続人全員からの同意を得るようにしましょう。また、死亡した口座名義人のお金を引き出すのは、医療費や葬儀などの費用に充てるケースがほとんどであるため、支出した際の領収書や明細書は必ず保管しておくようにしましょう。

生命保険への加入

生前に生命保険へ加入しておくことで、口座名義人の死亡後に保険金を受け取ることができます。

生命保険については契約当時において受取人を指定するため、保険金は受取人固有の財産となります。そのため、預金口座のように凍結されることなく確実にお金を受け取ることができます。また、生命保険金については相続税の計算上において課税対象となりますが、一定額の控除が設けられているため、保険金全額が課税対象となることはありません。

具体的に次の三色で計算した金額が生命保険金の非課税枠となります。

たとえば
下記の場合における課税対象となる生命保険金の金額は、1,000万円となります。

  • 死亡保険金:2,500万円
  • 法定相続人:配偶者と子が2人

生命保険金の非課税枠=1,500万円(500万円×3人)

課税対象となる生命保険金=1,000万円(2,500万円−1,500万円)

このように、同じ金額の相続財産である場合でも財産の種類によって課税される金額が異なる場合があるため、有効に活用するようにしましょう。

生前に口座の整理をおこなう

生前に預金口座の整理をおこなうことも非常に重要なポイントになります。預金口座を生前に整理することによって、口座名義人が亡くなった後の手続きをスムーズにおこなうことができます。

人によっては複数の金融機関に預金口座を所有していることも珍しくないため、そのような場合、預金口座の凍結解除手続きを1件ずつおこなう必要があります。預金口座の凍結解除手続きは多くの場合、時間と手間がかかることが一般的であるため、生前に預金口座を整理することで、最低限の手続きで済ませることができます。

また、海外の預金口座がある場合は、国内の預金口座よりも時間と手間がかかる場合が多いため、生前に解約するなどの対策をおこなうようにしましょう。

口座が凍結された後はどうする?

預金口座が凍結された後は金融機関で手続きをおこなうことで、凍結を解除することができます。ここでは口座凍結を解除するための方法を紹介します。

口座の名義変更をおこなう

口座が凍結されたあとは名義変更手続きをおこなう必要があります。名義変更手続きは金融機関窓口でおこなうことができ、状況に応じて次のような書類を準備する必要があります。

口座名義変更手続きに必要な書類
相続人が1人の場合
  • 相続届
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本または法定相続情報一覧図
  • 印鑑証明書
相続人が複数の場合
  • 相続届
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本または法定相続情報一覧図
  • 印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
遺言がある場合
  • 相続届
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の預金口座を引き継ぐ相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の預金口座を引き継ぐ相続人の印鑑証明書
  • 遺言書 ※自筆証書遺言の場合は検認が必要

上記の書類はいずれも一般的に必要とされる書類であり、金融機関によっては上記以外の書類が必要な場合があります。手続きをおこなう際には事前に金融機関に問い合わせるようにしましょう。

また、名義変更手続き以外にも預金口座を解約後、預金の払い戻しをおこなう手続きもあるため、状況に応じて金融機関に相談してみるとよいでしょう。

払戻制度を活用する

預金口座の名義変更手続きについては、手続きが完了するまでに相応の時間がかかってしまう場合がほとんどです。そこで、相続預金の払い戻し制度(遺産の分割前位における預貯金債権の行使)を活用することで、早期に預金の払い戻しを受けることができます。

相続預金の払い戻し制度とは、被相続人の葬儀費用の補填や相続人の生活を維持するために、平成30年7月の民法等改正により創設された制度です。相続預金の払戻し制度では被相続人の預貯金額のうち、一定額の払い戻しを受けることができます。通常であれば、遺産分割協議が完了するまでの間は、相続人単独では預貯金の払い戻しを受けられない場合があります。

しかし、遺産分割協議が完了するまでの間に葬儀や生活費などのお金が必要になることは当たり前のことです。そこで、相続預金の払戻し制度を活用することで、相続人単独であっても預貯金の払戻しを受けることができます。

しかし、相続預金の払戻し金額には上限額があることや、書類等の準備が必要なため事前に金融機関に問い合わせるようにしましょう。

口座凍結後そのままにしておいた方がいい2つのパターンとは

 

被相続人の預貯金が凍結された場合には、すぐに凍結を解除したくなりますが、場合によっては凍結されたままにしておいたほうが良いパターンがあります。

ここでは口座凍結後、そのままにしておいた方が良いパターンを2つ紹介します。

プラスの相続財産よりもマイナスの相続財産が多い場合

1つ目はプラスの相続財産よりもマイナスの相続財産が多い場合です。相続財産は現金や預金、不動産といったようにプラスの財産が多く見受けられますが、ローンや借金などのマイナスの相続財産がある場合もあります。

相続では原則として、「プラスの相続財産」と「マイナスの相続財産」の両方を相続することになるため、プラスの財産よりもマイナスの相続財産が多くなる場合は注意が必要です。そのような場合には「相続放棄」や「限定承認」などの手続きをおこなうことによって、被相続人の財産を相続するかどうかを決めることができます。

しかし、預貯金の払戻し制度を利用してしまうと、マイナスの相続財産も含めて相続したものとみなされる可能性があり、そうなった場合、相続放棄や限定承認などの手続きがおこなえなくなってしまうため注意が必要です。

口座残高が少ない場合

2つ目は口座残高が少ない場合です。

預貯金の払戻し制度をはじめ、多くの相続手続きは時間と手間を要します。そのため、口座残高が少ない場合は預貯金をそのまま放置しておくことも1つの選択肢といえます。

また、借金などのマイナスの財産が多い場合は相続放棄などを検討する必要もあるため、預貯金には手を付けないように注意しましょう。

口座凍結に関するトラブル事例

口座凍結に関しては相続人間でトラブルが発生しやすいといえます。ここでは具体的にどういったことが原因でトラブルにつながるのかを事例を元に紹介していきます。

悪気がなかった場合でも、お金が関係していることから大きなトラブルにつながりかねないため、トラブルに発展させないためにも抑えておくようにしましょう。

他の親族から許可を得ずに口座からお金を引き出していた

口座凍結に関するトラブル事例として、被相続人の預金口座から他の親族から許可を得ずに引き出したケースがあげられます。

被相続人の預金を法定相続分の範囲内で引き出した場合は、相続分の先受けとして取り扱うこともできるため、トラブルに発展しづらくなっています。しかし、法定相続分を超える金額を引き出してしまった場合は、相続分の先受けとならないほか、他の相続人から不信感を抱かれてしまいます。

相続における相続人間の不信感は、相続トラブルの原因ともいえるため、他の親族から許可を得ずに口座からお金は引き出さないようにしましょう。

相続放棄がおこなえなかった

口座凍結に関するトラブル事例としては、相続放棄ができなかったケースがあげられます。

相続については必ずしもプラスの財産ばかりとは限らず、場合によっては借金や住宅ローン残債などのマイナスの財産が多いこともあります。そのような相続は返済義務ばかりを相続したことになるため、適切な相続とはいえません。

プラスの相続財産よりもマイナスの相続財産が多い場合には、相続放棄をおこなうことでマイナスの相続財産を放棄することができます。しかし、相続放棄はマイナスの財産だけでなくプラスの財産も放棄するという意味になるため、プラスの財産のみを相続するということはできません。

また、相続放棄をおこなうためには被相続人の預金口座に手を付けないことが必要となるため、被相続人の預金口座からお金を引き出してしまうと相続放棄ができなくなるため注意が必要です。

口座凍結解除は遺産分割協議が終わったあとにおこなったほうがいい?

口座凍結の解除手続きは遺産分割協議が終わったあとにおこなうことをお勧めします。口座凍結を解除するためには下記の書類を準備する必要があります。

口座凍結の解除手続きに必要な書類
  • 被相続人の通帳またはキャッシュカード
  • 遺言状(遺言状がある場合に限る)
  • 検認済証明書(遺言状がある場合に限る)
  • 遺産分割協議書(遺産分割協議書がある場合に限る)
  • 相続関係届出書(遺産分割協議書がない場合に限る)
  • 被相続人の戸籍謄本
  • すべての相続人の戸籍謄本(遺言状がない場合に限る)
  • すべての相続人の印鑑証明書(遺言状がない場合に限る)
  • 相続人の印鑑証明書(遺言状がある場合は遺言執行者のもの)
  • 遺言者の選任審判書謄本(遺言書があり、かつ遺言執行者の選任がおこなわれている場合に限る)

上記にもあるように、手続きには「遺産分割協議書」などが必要となる場合もあるため、相続人間で遺産分割協議後に作成される遺産分割協議書を持って金融機関で手続きをおこなうことが最適であるといえます。また、相続人間で相続放棄をおこなうかなどの検討も必ずおこなうようにしましょう。

相続税にも注意が必要

被相続人の預金口座に多額の残高がある場合や、土地や家屋などの不動産が多くある場合は相続税に注意する必要があります。

相続税は所得税などの税金とは計算方法が異なることや、計算方法が非常に特殊なものであるため、多くの手間と時間を必要とします。場合によっては被相続人の預金を相続税の納税に充当しなければならないケースも珍しくないため、生前から相続税が発生するかどうかの試算などをおこなっておいた方が、スムーズに相続手続きを進めるためにもおすすめです。

どのような場合に相続税がかかるの?相続税がかかる場合の計算の流れ

相続に関する基礎知識として相続税の大まかな計算の流れを把握しておくと、生前から相続税の対策や、実際に相続が発生した場合でも戸惑うことなく手続きを進めることができます。

ここでは、

● どのような場合に相続税がかかるのか

● 相続税の計算に関する大まかな流れ

について簡単に解説していきます。相続税に関する基礎知識は、生前における相続税対策にもつなげることができるため、必ずおさえておくようにしましょう。

ここでは配偶者と2人の子が相続人となる場合における相続税の計算の流れについて解説します。

相続財産の集計

はじめに相続財産の集計をおこないます。集計する相続財産は被相続人ごとに異なり、

集計する相続財産
  • 現金や預貯金
  • 土地や建物などの不動産
  • 有価証券
  • 貴金属や骨とう品
  • ゴルフ会員権などの権利

といった所有するすべての財産を集計します。

財産を集計する際には、それぞれの資産を金額に換価する作業があり、これを「財産評価」といいます。

財産評価では資産の種類ごとに定めれれた方法で評価する必要があり、誤った方法で財産評価をおこなってしまうと相続税額に影響を及ぼすため注意が必要です。また、場合によっては相続財産の中に「マイナスの財産」が含まれている場合もあります。

たとえば
  • 借入金
  • 医療費の未払い
  • 税金の未納分

などが挙げられます。

その他にも葬式費用なども含まれるため、集計漏れがないように注意が必要です。

基礎控除の計算

相続財産の集計後は基礎控除を計算します。

基礎控除の金額によって相続税の申告が必要であるかどうかを判断することができるため、間違わないように注意しましょう。基礎控除の計算は次の算式でおこなうことができます。

上記の算式で求めた基礎控除額を正味相続財産から差し引き、相続税が課税される「課税遺産総額」を計算します。

相続税総額の計算

相続税の計算では課税遺産総額を法定相続分を元に按分し、それぞれの金額に相続税率※1を乗じます。

たとえば
課税遺産総額が1億2,000万円で配偶者と子2人が法定相続人である場合は次のような計算になります。

配偶者 (1億2,000万円×1/2)×30%−700万円=1,100万円
子① (1億2,000万円×1/4)×15%−50万円=400万円
子② (1億2,000万円×1/4)×15%−50万円=400万円
相続税総額  : 1,100万円 + 400万円 + 400万円 = 1,900万円

※1 相続税率は以下のとおりです

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

各人の相続税額の計算および納税額の確定

相続税の総額を計算した後は、総額を実際の相続割合に応じて按分します。そのため、相続財産を「だれに」「どの財産を」相続させるのかを決めておく必要があります。

たとえば、上記の事例で実際の相続割合が次の場合、最終的な相続税額は下記のとおりです。

配偶者 子① 子② 合計
課税遺産総額 1億2,000万円
法定相続割合 1/2 1/4 1/4
法定相続割合に基づく相続税額 1,100万円 400万円 400万円 1,900万円
実際相続分 6,000万円 3,900万円 2,100万円 1億2,000万円
実際相続分に基づく相続税額 950万円 617.5万円 332.5万円 1,900万円
配偶者控除 △950万円 △950万円
相続税納税額 0円 617.5万円 332.5万円 950万円

このように、相続税の計算については

●相続財産を集計し評価額を算定する

●法定相続割合で按分し、相続税の総額を算出する

●相続税の総額を実際の相続割合で按分する

といった流れでおこないます。

生前において、下記の2つを確認しておくことで、相続税がかかるかどうかの判断を簡易的に行うことができるため、まずは親族間で調べてみるとよいでしょう。

生前に確認するポイント
  • 相続人の確認をおこなう → 基礎控除額を確認することができる
  • 相続財産を概算で洗い出す → 概算の相続財産額を確認することができる

まとめ

被相続人の預金口座については、金融機関が口座を一時的に凍結するほど、相続人間でトラブルになりやすいものといえます。ただし、葬儀費用や生活費の負担など、口座が凍結されることで発生する不都合なこともあります。

口座が凍結された後に戸惑わないためにも、「払戻制度」や「相続放棄」などの制度について、適切に理解しておくことが重要です。

しかし、相続については預金口座だけでなく、不動産の相続や相続税など様々な専門知識を必要とします。そのため、最適な手続きと最適な税額計算をおこなうという意味でも、少しでも不安や不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。