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外国人が亡くなった場合、相続税はかかるのか?

日本に住む外国人が亡くなった場合、相続税はかかるのでしょうか?

外国人の方に相続税がかかるかどうかは、国籍や住所、日本への居住期間により判断されます。さらに財産の置かれている状況でも課税されるか否かが異なるため、慎重な検討が必要です。しかし、外国人の相続に詳しい人は税理士の中でも限られており、相談できずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、外国人が亡くなった場合の相続税のポイントについて解説します。相続税がかかる場合や課税されない外国人の要件、相続税の申告がなくても必要な手続きについてもまとめました。外国の方の相続でお悩みの方は、ぜひ参考にしてくださいね。

原則、被相続人の国籍の法律を適用

外国人に日本の相続税がかかるかどうかは、その人の国籍に深く関係します。というのも、「相続は、被相続人の本国法による。」と決められているためです。

【法の適用に関する通則法(平成十八年法律第七十八号)】

第六節 相続

(相続)第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。

つまり、被相続人が外国人であっても日本国籍であれば、日本の相続税が課税されます。

一方、被相続人が外国籍であれば、籍がある国の法律に従います。ポイントになるのは、あくまでも亡くなった人の国籍です。

たとえば
相続人である子が外国籍であっても、被相続人の父が日本国籍の場合は日本の相続税が課税されます。逆に、相続人である子が日本人で、被相続人の父の国籍が外国にあれば、従うのは父の母国の法律です。

複数国籍を持つ場合、日本の国籍

日本では原則複数国籍を持つことは認められていませんが、場合によっては複数の国籍を持つ方もいます。

たとえば
父親が外国籍、母親が日本国籍をもつ子どもは、どちらの国籍も有することが可能です。

上記のように、複数国籍を持つ場合には日本の国籍が優先され、日本の法律に従います。

【法の適用に関する通則法(平成十八年法律第七十八号)】

第三十八条 当事者が二以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。

外国人に相続税がかかる場合

では、実際に外国人に相続税がかかるのはどのような場合でしょうか?大きく分けて以下の4つのパターンに当てはまる場合、外国の方にも相続税がかかります。

  • 被相続人の国籍・住所が日本国内である
  • 被相続人が相続発生前10年以内に日本に住んでいた
  • 相続人が日本に居住
  • 相続人が相続発生前10年以内に日本に住んでいた

相続人や被相続人が日本を離れて生活していても、10年以内に日本に住んでいたら相続税申告が必要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

被相続人の国籍・住所が日本国内である

まず、被相続人の国籍・住所が日本である場合、国内国外を問わずすべての財産に相続税がかかります。仮に相続人が外国籍や外国に住んでいても、国内と国外すべての財産が課税対象です。また、相続人が日本にいるか外国に住んでいるかにより、納税者としての名称が以下のように異なります。

「居住無制限納税義務者」 相続人が日本に住んでいる
「非居住無制限納税者」 相続人が外国に住んでいて、日本を離れて10年以上経過
「無制限納税義務者」 国内・国外の財産に制限なく納税する必要があるため

と呼ばれています。

被相続人が相続発生前10年以内に日本に住んでいた

つづいて、被相続人が相続発生前の10年以内に日本に住んでいた場合も、相続税の納税が必要です。上記の場合は被相続人が外国籍か否かにより、扱いが異なります。

海外在住の日本国籍を持つ被相続人が、過去10年以内に日本に住んでいた場合、国内外の全財産に課税されます。相続人が外国人や一時居住者であったとしても、すべての財産が課税対象です。ただし、海外在住で日本国籍を持つ人でも、10年以内に日本に住所がない場合は国内財産のみが相続税の課税対象となります。

また、被相続人が外国籍なら、10年以内に日本に住所がある場合でも、課税されるのは日本国内の財産だけです。外国にある財産については、相続税は課税されません。

納税者としての名称は以下のようになります。

「居住制限納税義務者」 被相続人が海外在住の外国人で、10年以内に日本に住所がある
「非居住制限納税義務者」 被相続人が海外在住で、10年以内に日本に住所がない

相続人が日本に居住

つづいて、相続人が日本に居住している場合について考えてみましょう。相続人が日本に居住している場合は、相続人自身が外国人もしくは一時居住者であるかどうかで課税対象が異なります。

まず相続人が日本に定住していれば、「居住無制限納税義務者」となり国内外の財産すべてが相続税の課税対象です。一方で、相続人が一時居住者や外国人である場合、被相続人の居住や国籍で判定します。

被相続人が日本に定住している場合や10年以内に日本に住所があった場合、国内・海外のすべての財産が相続税の課税対象です。被相続人が一時居住者や10年以内に日本に住所を持たないならば、国内財産のみが相続税が課税されます。

「居住無制限納税義務者」 相続人が一時居住者もしくは外国人+被相続人が日本に定住している or 10年以内に日本に住所がある
「居住制限納税義務者」 相続人が一時居住者もしくは外国人+被相続人が一時居住者 or 10年以内に日本に住所を持たない

相続人が日本国籍を持っている

相続人が日本国籍をもち、被相続人が日本国籍保有もしくは10年以内に日本に住んでいた場合、国内外すべての財産が相続税の課税対象となります。一方で、相続人が日本国籍でも以下の場合は、相続税の課税は国内財産のみです。

  • 被相続人が外国人+相続発生前10年以内に相続人に日本に住所がない場合
  • 被相続人・相続人ともに相続発生前10年以内に相続人に日本に住所がない場合(被相続人の国籍は関係なく)

また相続人が海外在住で外国籍でも、被相続人が日本国籍を持つ場合は、国内外すべての財産に課税されます。逆に、相続人・被相続人共にが海外在住の外国人もしくは10年以内に日本に住所がない場合には、国内財産のみが課税対象です。

「非居住無制限納税義務者」 相続人が海外在住で日本国籍を持ち、10年以内に日本に住所がある場合
「非居住制限納税義務者」 相続人が海外在住で日本国籍を持ち、10年以内に日本に住所がない場合

日本の相続税が課税される財産

ここでは、日本の相続税が課税される財産についてみていきます。外国人がなくなった場合に課税される財産のポイントは、以下の三点です。

課税される財産のポイント
  • 日本国内にある財産
  • 被相続人が持つ国外財産
  • 国外財産は邦貨に換算する

日本にある財産だけでなく、国外にある財産も日本の相続税の対象となる場合があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

日本国内にある財産

日本国内にある財産については、日本の相続税が課税されます。財産の種類別における国内財産と国外財産の判定は以下の通りです。

財産の種類 所在の判定
動産・不動産 置かれている所在地
預貯金・積立金 受け入れをした営業所・事業所
合同運用信託・投資信託等
営業上の権利(売掛金など)
貸付金 本店または主たる事務所
株式・社債など
生命保険契約・損害保険契約の保険金
退職手当金
国債・地方債 日本国内
外国の国債・地方債 発行した外国

不動産など所在地に合わせて判定できるものもありますが、中には株式や外国債など判定の難しい財産もあります。外資系の金融機関・保険機関であっても、受け入れをした支店が日本国内にあれば、国内財産です。

国内財産・国外財産の扱いについては、税の専門家である税理士に相談するとよいでしょう。

被相続人が持つ国外財産

被相続人が持つ国外財産についても、日本の相続税が課税される場合があります。前章の「外国人に相続税がかかる場合」で解説したうち、「無制限納税義務者」と呼ばれる人はすべての財産が相続税の課税対象です。

【無制限納税義務者】
  • 居住無制限納税義務者
  • 非居住無制限納税義務者

制限されることなく納税する義務が課せられるため、財産の所在が国内の有無にかかわらず相続税が課税されます。

国外財産は邦貨に換算する

相続税で国外財産を計算する場合には、邦貨つまり日本円に換算する必要があります。国外財産は主に外貨預金や海外にある不動産などがあるでしょう。換算する基準日と相場は原則以下の通りになります。

  • 被相続人の死亡の日の最終の対顧客直物電信買相場(TTB)
  • 死亡の日に相場ない場合、最も近い日の相場

ただし、先物外国為替契約の締結で設定した相場がある場合、上記ではなく契約締結時または締結時以後に設定したレートで決済されます。

短期滞在外国人は相続税が課税されない

現在、短期滞在外国人などの一時居住者には相続税は課税されません。以下に当てはまれば「短期滞在外国人」として、相続税の課税はなしです。

【短期滞在外国人】

相続発生から15年前の期間のうち、日本に住所があった期間の合計が10年以下の人

ただし、配偶者ビザで日本に来ている場合は、日本の居住期間が10年以下であっても相続税が課税されるため注意してください。

外国人が亡くなった場合の相続のポイント

外国人が亡くなった場合、一般的な相続税申告よりも手間取ることが多くあります。相続時のポイントをしっかり押さえておくことで、慌てずに申告と向き合うことができるでしょう。

遺産分割が間に合わないときは「未分割申告」を活用

外国人が亡くなった場合の相続では、外国にいる相続人との連絡や国外財産の確認や評価に手間取る場合があります。しかし、相続税申告の期限は待ってくれません。遺産分割協議が終わらないまま相続税の申告期日が来てしまう、ということも可能性としてあるでしょう。相続税申告が遅れると、延滞税などの追徴課税が課されてしまいます。

そこで、遺産分割協議が間に合わない場合は「未分割申告」を活用するのも一つの手です。未分割のままで一度相続税を申告・納税後、確定した遺産分割内容に基づいて修正申告を行います。ただし、未分割申告を選ぶことで配偶者の税額軽減や物納、農地の納税猶予など一部の特例が受けられなくなります

未分割申告を選ぶ場合には、税のプロである税理士に相談することがおすすめです。

課税がなくても不動産の相続登記が必要

外国人が亡くなって、相続税の課税がないからと言って安心はできません。相続税の申告・納税がなくても、不動産の相続登記が必要です。

通常日本の公的な書類では印鑑証明書や戸籍謄本等を使用しますが、海外ではこれらがない国もあります。代行で使用できる書類や手続きなどで、思わぬ時間や手間がかかる可能性もあるでしょう。相続税の納税がないからと言って、相続登記を忘れないように行いましょう。

まとめ:外国人の相続税は、税理士に相談を

今回は、外国人の相続税についてお伝えしました。原則、日本国籍を持つ場合や日本に居住する場合、すべての財産が相続税の課税対象です。

外国人の相続税については、国籍や居住状況、財産の所在地などで扱いが異なります。国内・国外の財産の洗い出しや評価、相続登記手続きなど、外国人の相続は一般的な相続よりも煩雑です。

早い段階から準備し、税理士に相談しておくことで、スムーズに対応できます。外国人の相続にお悩みがありましたら、ぜひお早めに税理士に相談してください。

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ABOUT US
税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。