
「亡父が亡くなったため、所有していた不動産について知りたい」
「相続財産に含まれる不動産は、名寄帳を使うと良いと聞いたが本当?」
被相続人が不動産を所有していたとしても、どこに、どのような不動産を持っていたのか、ご家族が全て把握しているとは限りませんね。
そんな時は、所有していた不動産を一覧式で確認できる「名寄帳」を取得してみることがおすすめです。ただし、名寄帳の活用には注意が必要です。本記事では横浜市を例に、名寄帳の取得や活用方法について徹底解説します。ぜひご一読ください。
この記事の監修者

税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。
名寄帳とは|固定資産税課税明細書との違い

名寄帳とは、毎年1月1日時点における土地や家屋などの不動産について、所有者ごとに一覧にまとめた書類です。毎年4月~6月頃に固定資産税課税対象者宛に送られる「固定資産税課税明細書」と重複している内容も多いですが、違う点もあります。詳しくは以下のとおりです。
固定資産税課税明細書との違い
名寄帳と固定資産税課税明細書との主な違いは以下です。
名寄帳 | 固定資産税課税明細書 | |
作成の目的 | 所有不動産の一覧確認 | 納税額の通知 課税内容の明示 |
発行時期/取得方法 | 対象市区町村で取得 | 毎年春に納税通知書に同封 |
課税対象外の不動産の記載 | 記載される | 記載されない |
固定資産課税明細書とは、固定資産税(都市計画税も含む)が課税されている土地や家屋等の状況を毎年固定資産税納税通知書とともに通知してくるものです。
一方の名寄帳は、固定資産税の課税状況問わずに不動産の所有者ごとに明細化されている書類です。
相続では、固定資産税の課税状況を問わず、被相続人が所有する不動産が相続財産に含まれます。そのため毎年届く固定資産税課税明細書だけではなく、名寄帳が必要なケースがあるのです。
相続のときに名寄帳が必要となるケース

被相続人が毎年市区町村から送られる固定資産税の課税証明書があると、課税対象となっている不動産は把握できます。しかし、以下のケースでは名寄帳を必要とする可能性が高いため、注意が必要です。
被相続人が所有していた不動産の状況がわからない場合
被相続人が生前に所有していた不動産の状況が、課税明細書も見当たらず相続人には把握できない状況の場合、名寄帳を取り寄せることがおすすめです。名寄帳があれば、被相続人が所有していた不動産が一覧表で把握できます。
被相続人が多数の不動産を所有、もしくはその可能性がある場合
被相続人が生前に多数の不動産を所有していた場合、相続人の予想以上に不動産を所有していた可能性があります。
また、被相続人が相続等をきっかけに居住地以外の市区町村にも不動産を所有していた可能性がある場合も、名寄帳を取り寄せることがおすすめです。
たとえば、横浜市で亡くなった被相続人の実家が香川県高松市だった場合、高松市内の不動産を相続している可能性があります。
相続人が見当がつく市区町村から名寄帳を取り寄せておくことで、相続財産から対象となる不動産が漏れることを防げるでしょう。
被相続人が山林等を所有、もしくはその可能性がある場合
固定資産税が非課税となる可能性が高い山林や田畑、私道などは、固定資産税納税通知書が発送されません。同封されている固定資産課税明細書も届かないため、相続人が所有に気付かず相続財産から漏れてしまうことがあります。
実は、固定資産税は非課税であっても、相続税が非課税であるとは限りません。名寄帳ヲ取り寄せておくと、山林等も記載されているため漏れが起きにくくなります。
相続が発生した場合は、山林、私道部分等についても遺産分割の対象として考えておかなければなりません。
被相続人が生前に「都市公園用地」を保有し、無償で貸付をしていた場合は「固定資産税」は非課税です。
しかし「相続税」においては非課税ではありません。一定の要件を満たしているなら、通常評価額の60%の相当額で評価します。
こうした土地は遺産分割協議から漏れやすく、後々に大量の相続人が発生してしまい、相続登記が難航するおそれが高まります。
被相続人が不動産を共同で所有、もしくはその可能性がある場合
被相続人が別の方と不動産を共同で所有し、共有名義だった場合も名寄帳の活用が大切です。
固定資産税の課税証明書が送られるのは「代表者」に限られており、所有者全員に送られるものではありません。つまり、相続人が知らない不動産が眠っている可能性があります。
もしも被相続人が不動産の代表者ではなく、共有者の1人だった場合やその可能性があるなら、見当がつく市区町村へ名寄帳を取り寄せてみるようにしましょう。
横浜市での名寄帳の取得方法

この章では横浜市を事例に、名寄帳の取り寄せをどのように行うのか解説します。横浜市では固定資産がある各区の区役所にて、名寄帳を取得できます。詳しくは以下です。
名寄帳を取得するときの費用と必要書類
- 費用
土地 | 家屋 |
土地一筆につき300円 | 台帳1枚につき300円 |
- 必要書類
申請する人 | 必要書類 | 必要書類の備考 |
・固定資産の所有者本人 ・固定資産の所有者本人の同居親族(住民票上同一世帯) ・納税管理人 | 官公署発行の顔写真付き本人確認書類 | 運転免許証・パスポート・マイナンバーカード など |
代理人 | ・官公署発行の顔写真付き本人確認書類 ・委任状 | |
相続人 | 官公署発行の顔写真付き本人確認書類 ・法定相続の場合 相続関係を確認できる戸籍謄本、または法定相続情報一覧図 ・遺産分割協議の場合 相続関係を確認できる戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑登録証明書 ・遺言の場合 相続関係を確認できる戸籍謄本および遺言書 | 法定相続情報一覧図を利用する場合は法務局で認証を受けてから取得が必要 |
法人 | 法人の代表者印を押印した証明申請書または法人の代表者印が押印されている委任状 ・当該法人の代表者が申請する場合は官公署発行の顔写真付き本人確認書類 ・当該法人の従業員が申請する場合は官公署発行の顔写真付き本人確認書類、法人名及び従業員の姓名が明記された社員証等 | |
借地人・借家人 | 官公署発行の顔写真付き本人確認書類、借家借地関係を確認できる書類 |
詳しくは以下の横浜市のリンクからも確認できます。なお、リンク内には各区の問い合わせも記載されていますのでご参考ください。
参考URL 横浜市 固定資産に関する証明書
請求する際の注意点
固定資産に関する証明書の多くは、横浜市が提供している「行政サービスコーナー」での取得が可能です。しかし、今回ご紹介している名寄帳については行政サービスコーナーでは取得ができません。ただし、郵送での請求は可能です。
■郵送請求の場合
固定資産が所在する区の区役所税務課土地担当宛に、次の書類を郵送してください。
(1)固定資産証明申請書
日中連絡の取れる電話番号を漏れなく記入
(2)手数料分の郵便定額小為替または普通為替
ゆうちょ銀行・郵便局の貯金窓口で購入し、何も記載しないで同封
事務手続きの都合上残りの有効期間が3週間以上あるもの
(3)返信用封筒
切手を貼り、宛先を記入
固定資産証明申請書はどこで取得する?
郵送請求時に必要な固定資産証明申請書は、横浜市の以下のリンクよりダウンロードが可能です。記載やダウンロードで疑問がある場合は、リンク内の問い合わせ一覧から各区役所の税務課へお問い合わせください。
ダウンロード先:https://shinsei.city.yokohama.lg.jp/cu/141003/ea/residents/procedures/apply/46b8f879-bb8f-4b98-8d57-357024064993/start
・受付時間は月~金曜日(祝日・年末年始除く)、8時45分~17時まで
委任状が必要な場合
名寄帳の取得を代理人へ依頼する場合は、委任状が必要です。委任状の記入は代理人ではなく、代理人に申請を依頼する本人が直筆で記入します。
■委任状に必要な事項
- 「わたしは下記のものを代理人と定め、次の事項を委任します」という旨の文言
- 委任する事項の文言(たとえば、「次の年度の固定資産税に関する証明書(名寄帳)などの申請取得に関する一切の権限」など、委任する事柄を詳しく記入します)
- 本人の住所、氏名、生年月日などの本人と特定できる個人情報
- 代理人の住所、氏名、生年月日などの代理人と特定できる個人情報
委任状持参の代理人の場合、取得に関する取り扱いは区役所税務課窓口のみのため注意が必要です。
名寄帳でも不完全?記載されない内容もある

被相続人が所有していた不動産をまとめて確認できる名寄帳ですが、記載されない内容もあるため注意が必要です。
その年の不動産情報は反映されていない
名寄帳には、その年の1月1日現在の情報が記載されているに留まります。
1月1日以降の所有者・地目などの変更は翌年度の名寄帳まで記載されないため、不動産売買の契約書など別の方法で調査を行う必要があります。
・すでに売却済みで、名寄帳に載っていても不動産がない場合がある
・新たに購入済みで、名寄帳に追加されていない可能性がある
上記2点に注意した上で、被相続人の不動産調査を進めましょう。
それぞれの市区町村に申請、取得する必要がある
名寄帳はあくまでも、請求先の市区町村内の所有不動産しか掲載されていません。
被相続人がさまざまなエリアに不動産を所有していた可能性がある場合、各市区町村ごとに名寄帳の取り寄せを行う必要があります。。
名寄帳の取得は郵送請求が可能な所がほどんどですが、時間を要することも多いため、場合によっては税理士等の専門家へお問い合わせいただくことがおすすめです。
まとめ
本記事では、横浜市を例に被相続人が所有していた不動産を調べる際に便利な「名寄帳」の取得について、詳しく解説しました。
名寄帳は固定資産税が非課税の不動産情報が記載されているため、遺産分割や相続税申告にも欠かせないアイテムとして知られています。しかし、決して万能なアイテムではなく、未記載となる不動産もあるため、慎重に調査を進めましょう。
横浜市の響き税理士法人では、不動産を含む相続に関するご相談に広く対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。
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