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知らないと大損!相続税申告で使える土地の特例とは?

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税理士桐澤
税理士桐澤

相続税申告では土地の評価がポイントになります。土地の評価が高くなってしまうとよけいな相続税を払うことになり損してしまいますが、評価について色々な特例が用意されており、それらを活用することで相続税を少なくすることができます。

本章では評価を下げることができる、土地の特例について解説していきます。

税理士が使う「特例」と一般人の「特例」の意味は違う!

評価を下げることができる土地の特例といえば、我々のような専門家(税理士)は、税法上に定められている『小規模宅地等の特例』のことをまず思い浮かべます。

ただし、評価を下げることができる方法はこの『小規模宅地等の特例』以外にも『土地の評価を下げることができるテクニック』があり、一般の方はこのテクニックのことを『特例』と捉えてしまう方もいらっしゃいます。

この2つは評価を下げるという点では同じですが、その他のニュアンスは異なっています。

今回の記事ではこの2つの『特例』を整理して解説していきます。

小規模宅地等の特例とは?

まずは小規模宅地等の特例について解説します。この特例は税法で定められた『特例』です。

自宅として住んでいた土地や事業をするために使用していた土地については評価額を減らしてくれる特例です。

自宅や事業用の土地は相続人の生活基盤であることから売却などに制約がかかるため、評価額の減額を認めてくれています。

小規模宅地等の特例が使える土地と条件

小規模宅地等の特例が使用できる条件は細かく定められています。

条件は『相続発生時点の土地の利用状況』と『相続した人の申告期限までの利用状況』の

2つの時点で整理していきます。

『相続発生時点の土地の利用状況』の要件

以下の2つの土地が特例適用対象となります。

  1. 居住用宅地…被相続人が住んでいた土地
  2. 事業用宅地…被相続人が事業をしていた土地

この2つ以外は基本的には特例の適用対象外となります。

例えば、子ども(別生計)が住んでいた土地や、未利用だった土地などは特例適用対象になりません。

『相続した人の申告期限までの利用状況』の要件

これは居住用宅地と事業用宅地で条件が異なるため、それぞれ以下の通りです。

居住用宅地
相続した人の条件

  • 被相続人の配偶者が土地を取得すること
  • 被相続人と同居していた人が土地を取得して申告期限までそのまま住み続けること
  • (被相続人に配偶者や同居人がいない場合)持ち家をもっていない相続人が土地を取得して、そのまま所有を継続すること
事業用宅地

相続した人の条件

  • 事業を承継した相続人が申告期限まで継続して事業を継続すること

いずれにしても生活基盤としてその土地の利用する状況でないと特例が適用できない仕組みとなっています。

小規模宅地等の特例以外にもある「特例」

小規模宅地等の特例以外にもある「特例」

『小規模宅地等の特例』の他にも土地の評価を下げることができる『特例』は用意されています。

ここではそれらを『評価減テクニックの特例』として解説していきます。

土地の評価は路線価×面積で計算された金額をスタートにしてその金額から減点方式で計算してきます。

減点できる『評価減テクニックの特例』は以下の3つです。

1、土地の形

2、誰かに貸している(=自分で使っていない)

3、持分

1、土地の形

路線価はきれいな形の土地を基準に定められています。

そのため、路線価だけで評価をするときれいな形ではない土地は評価が高くなってしまいます。

そのため道路からの奥行が深い(又は浅い)、整形地(長方形や正方形の土地)ではない、間口が狭い、間口に対して奥行きが長いなど土地の利用がしづらい場合には減額補正を認めてくれています。

これらの補正をうまく活用することで最大52%の評価減が可能となります。

2、誰かに貸している(=自分で使っていない)

自分で使わず他人に貸している場合には評価が減額されます。

例えば、土地を他人に貸している(貸宅地)、所有している土地に建てた家屋(貸家、貸アパート、貸マンションなど)を他人に貸し付けている(貸家建付地)ケースです。

これは他人に土地を貸していると、自分で自由に利用することに制限がかかるため減額を認めてくれています。

評価する土地のエリアの借地権割合によって減額割合が異なりますが、

仮にD…借地権割合60%の場合には

貸宅地の場合60%の減額補正

貸家建付地の場合18%の減額補正が可能となります。

3、持分

被相続人ひとりで所有しておらず、誰かと共有になっている場合には持分割合を乗じて計算します。

持分割合を乗じることで評価が下がります。

以上これら3点の『特例』は税法上の特例ではありませんが評価を下げることができる土地評価の『特例』といえます。

2つの特例のちがい

最初に説明した『小規模宅地等の特例』と2つ目に説明した『評価減テクニックの特例』は何が異なるのでしょうか。

1、『小規模宅地等の特例』は申告をしないとNG

『小規模宅地等の特例』の適用を受けるためにはかならず相続税の申告が必要となります。

仮に特例を適用して税金が発生しない場合でも特例適用のために申告が必要です。

『評価減テクニックの特例』については相続税申告がかならず必要ではありません。

テクニックを利用した上で相続税の基礎控除以下となった場合でも相続税の申告の必要はありません。

(ただし、後日税務署から評価に関するおたずねがあった場合には説明できるようにしておく必要はあります)

2、『小規模宅地等の特例』は誰が取得するか決めなければいけない

『小規模宅地等の特例』は誰が取得するか、という点が特例適用において重要となります。

そのため誰が取得するか相続人による話し合いを完了させないと適用できません。

遺産分割で争いになった場合には適用を受けられなくなる可能性もあります。

『評価減テクニックの特例』については、誰が取得するかは基本的に関係ありません。

土地の取得者が決まっていない状態でも評価を進めることができます。

3、『評価減テクニックの特例』は計算が難しい

『評価減テクニックの特例』は間口の長さ、奥行きの長さ、想定整形地の計算などを計算する必要があります。

測量士並の細かい計算は必要ではないものの

現地に出向いて簡易測量をした上で計算をする必要があります。

『小規模宅地等の特例』は下記のどの特例に当てはまるかがわかれば減額割合の計算はかんたんです。

相続開始の直前における宅地等の利用区分 要件 限度面積 減額される割合
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業以外の事業用の宅地等 特定事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
貸付事業用の宅地等 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除きます。)用の宅地等 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
被相続人等の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 特定居住用宅地等に該当する宅地等 330 80%

まとめ

今回紹介した土地の特例の違いは理解できましたでしょうか。

まずは理解していただき、自分の土地にあった特例の適用方法をご検討ください。

とはいっても土地の評価は千差万別です。

土地の評価や特例の適用にあたっては特別な知識が必要となるため特に土地の評価に詳しい税理士と相談しながら進めていくことが望まれます。

響き税理士法人のスタッフ

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ABOUT US
税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。