「不動産や預貯金などの財産を合計すると、相続税の対象になるのか」
「投資用マンションは相続税でどう評価されるのか」
「両親の介護に追われる中、相続の準備まで余裕がない」――。
このような悩みを抱えている方も、少なくないでしょう。
実際、地価上昇や資産価値の増加により、一般的なサラリーマン家庭でも相続税の対象となるケースが増えています。しかし、有効な対策方法を知らないまま不安を抱えているのが現状です。
本記事では、相続税の評価方法を財産の種類ごとに解説します。 土地や建物、株式など、それぞれの資産について次のポイントを説明しています。
- 評価額の具体的な計算方法
- 見落としやすいポイント
- 実践で活用できる対策方法
正しい知識を身につけることで、相続税の負担を適切に軽減できる可能性が広がります。相続の準備を始めている方にも、役立つ情報なのでぜひ読みすすめてみてください。
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この記事の監修者

税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。
相続税評価額とは

相続税評価額とは、被相続人(亡くなった方)が残した遺産を金銭的な価値に換算したものです。対象となる財産には、現金や預貯金、不動産、自動車、株式など、多くの種類が存在します。
相続税評価額の基本概念
相続税評価額の基本的な概念には、3つの特徴があります。
1. 時価主義が原則
相続税評価額は、財産の「時価」を基準に算出するのが原則です。これは、実際の市場価値に近い金額を評価額とする考え方です。金銭の公平性を確保するため、財産の種類ごとに国税庁が定めた評価方法が適用されます。
預貯金 | 相続開始時の預け入れ残高に基づいて評価 定期預金などの場合、相続開始時点までの既経過利息を加算して評価額を算出 |
現金 | そのままの金額で評価 ただし、金庫内の現金や手元現金など、申告漏れがないよう注意が必要 |
2. 評価方法の法定化
財産の評価方法は「財産評価基本通達」によって定められており、全国で統一的な評価が可能です。
ただし、財産評価基本通達は国税庁長官から各地の国税局長への通達という形式で出されており、法的拘束力を持つ「法令」ではないのが現状です。
土地 | 路線価方式や倍率方式 |
非上場株式 | 類似業種比準や純資産価額方式 |
建物 | 固定資産税評価額に基づく評価 |
3. 評価時期の基準
相続税における財産の評価は、原則として相続開始時(相続被相続人の死亡時)の価格によって行います。
上場株式 | 4つの価格のうち、最も低いものを採用 ・ 相続開始の日の最終価格 ・ 相続開始の月の毎日の最終価格の月平均額 ・ 相続開始の前月の毎日の最終価格の月平均額 ・ 相続開始の前々月の毎日の最終価格の月平均額 (この方法により、相続開始時点の市場価値を適切に反映した評価が行われる) |
不動産 | 相続開始時の路線価や建物の価値 |
生命保険 | 死亡保険金受取時の金額 |
季節性のある商品 (農作物など) | 相続開始時の現況に応じた価額 |
なぜ相続税評価額が重要なのか?
相続税評価額が重要とされる主な理由は、次の3つです。
- 納税額の決定
相続税評価額は、相続税の金額を決定する基礎となります。 評価額が高ければ納税額も増加し、低ければ減少するため、税額に直接影響を与えるのです。 - 遺産分割への影響
相続人の間での遺産分割を行う際、各財産の評価額を基準として分割する場合が多いため、相続税評価額は遺産分割の重要な指標となります。 - 節税対策の基準
生前贈与や相続時精算課税制度の活用など、相続税の節税対策を検討する際にも、相続税評価額は重要な判断材料となります。
相続税評価額の計算に必要な知識
相続税評価額を正確に算出するためには、いくつかの知識を身につけておく必要があります。まず、財産の分類に関する知識が不可欠です。財産の種類ごとに評価方法が異なるため、自分の財産がどのカテゴリーに該当するのかを正確に把握することが第一歩となります。
次に、それぞれの財産分類に応じた評価方法についての理解が必要です。
例えば、土地であれば路線価方式や倍率方式、非上場株式であれば純資産価額方式や類似業種比準方式など、評価の基本的な仕組みを理解することが求められます。これらの評価方法を把握しておくことで、財産価値をより正確に計算できるようになるのです。
また、特例の活用についても知識を持つことが重要です。例えば、小規模宅地等の特例や事業承継税制など、適用することで相続税評価額を大幅に抑えられる制度がいくつも存在します。これらの特例を適用できる条件を理解し、自分の状況に合った制度を活用することが、相続税対策に大きな効果をもたらします。
さらに、相続税評価額の算出が複雑である場合は、税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。特に財産の種類が多岐にわたる場合や、不動産や非上場株式のように評価が難しい財産が含まれる場合は、専門家のアドバイスを受けることで、より適切な対応が可能になります。
特に以下のような場合は自分で解決しようとせず、専門家へ相談することをおすすめします。
- 事業用資産や不動産など、評価が複雑な財産がある場合
- 特例の適用可否を判断する必要がある場合
- 相続税の申告期限が迫っている場合
これらの知識を基に準備を進めることで、正確な相続税評価額の算出と適切な税負担の軽減を図ることができるでしょう。
不動産の相続税評価額の調べ方

相続税評価額を調べる方法は複数あります。ここでは主な方法について詳しく説明します。
国税庁を利用した評価額の調査
国税庁のウェブサイトでは、財産評価に関する様々な情報やツールが提供されています。
特に重要なのが路線価図や評価率表といった、基準となる路線価を確認することができる閲覧サービスです。路線価が設定されていない地域については、評価倍率表も公開されているため、これらを活用することで土地の評価額を明確にすることが可能です。
また、国税庁のウェブサイトでは財産評価基準書も公開されています。この基準書には各種財産の評価方法が詳細に記載されており、年度ごとに更新される評価基準を確認することができるのです。
さらに、生前贈与と相続を一体化した相続時精算課税制度についても詳しい情報が掲載されているため、相続税の計画を立てる際の参考になります。
無料で調べる方法
相続税評価額を無料で調べるには、いくつかの方法があります。まずは、インターネット上の不動産価格サイトを利用することで、対象となる不動産の参考売価を知ることができます。 多くのウェブサイトで相続税評価額シミュレーターが提供されており、これらを活用することで評価額を認識することが可能です。
また、市区町村での情報収集も有効な方法です。固定資産税評価証明書を取得することで、土地や建物の評価額の基準となる情報を入手できます。
金融資産については、取引のある金融機関で預貯金残高証明書を取得したり、取引のあった証券会社に証券残高通知書を依頼したりして、評価額を確認します。ただし、証明書発行時に手数料を請求される場合もあるため、注意しましょう。
税理士によるサポートの必要性
相続税評価額の算出は非常に複雑な作業となる場合があります。特に複数の不動産を所有している場合や事業用資産が含まれている場合には、税理士のサポートが必要となるでしょう。 また、相続人が多数いる場合や、相続税申告が必要となる可能性が高い場合にも、専門家のアドバイスは有効です。
税理士に依頼することで、正確な評価額の算出だけでなく、各種特例法の適用判断や相続税対策の提案も受けることができます。さらに、申告書作成のサポートも受けられるため、複雑な相続税の手続きをスムーズに進めることが可能です。
相談のタイミングとしては、相続発生前の事前相談から、相続発生直後の早期相談申告、期限に余裕をもった相談まで、状況に応じて適切な時期を選ぶことが重要です。申告期限は被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内と定められているため、余裕をもって専門家に相談することをおすすめします。
このように、相続税評価額の調査方法は複数存在しますが、財産の規模や種類によって最適な方法は異なります。段階的なアプローチが効果的といえるでしょう。
土地の相続税評価額計算

土地の相続税評価額を計算する際には、様々な要素を考慮する必要があります。以下では、評価方法の基本となる路線価の考え方から、具体的な計算方法まで詳しく解説していきます。
路線価と公示地価の違い
路線価は、国税庁が相続税や贈与税の見積もりのために毎年発表する価格で、道路に面した標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格を示しています。地価の変動による影響を緩和し、納税者の負担に配慮する目的があります。
一方、公示地価は国土交通省が毎年1月1日時点の標準土地価格を評価し、3月に発表する通常な取引価格の指標です。評価額の基準としても利用されます。
また、路線価は公示地価の約80%程度となるように設定されることが一般的です。例えば、公示地価が100万円/㎡の地域では、路線価はおおむね80万円/㎡程度となります。
宅地の評価方法とは
宅地の評価方法には、主に路線価方式と倍率方式の二つがあります。
路線方式は土地の形状や居住性、接道状況などによって補正率が適用され、より現実に即した評価額が算出されます。
路線方式 = 毎年改定される路線価(千円/㎡) × 面積 × 補正率 |
一方、倍率方式は固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価額を算出する方法で、主に、路線価が設定されていない地域で使用されます。 この倍率は地域によって異なり、国税庁から毎年評価され、発表されるものを使用しています。
路線方式 = 固定資産税評価額 × 国税局長が地域毎に定める倍率 |

借地権や貸家建付地の評価方法
借地権が設定されている土地や、賃貸用建物が建っている土地(貸家建付地)については、通常の宅地とは異なる評価方法が適用されます。
借地権が設定されている土地の場合、その土地の自由な使用収益が制限されることから、通常の評価額から一定の割合を減額して評価します。都市部では60〜80%、その他の地域では30〜50%程度が一般的です。
貸家建付地の場合は、借地権ほどではありませんが、建物の賃貸によって土地の利用に制限があることを考慮し、評価額が減額されます。したがって、建物の賃貸による制限を考慮した一定割合(借家権割合)を認めて評価額を算出するのです。
たとえば、評価額が6,000万円の土地に貸家建付地としての減額が適用される場合、最終的な評価額は4,200万円(6,000万円×1-0.3)となります。(借家割合権が30%の場合)借家割合は、賃貸借契約の内容や地域によって変動することがあるので注意しましょう。
このように、相続税評価額の算出には、まず財産の分類に関する知識が欠かせません。
その上で、各財産分類に応じた評価手法を理解し、適切な評価方法を選択することが望ましいでしょう。
特に、土地であれば路線価方式や倍率方式、非上場株式であれば純資産価額方式や類似業種比準方式など、評価の基本的な仕組みを把握しましょう。
建物の相続税評価額

建物の相続税評価額は、土地とは異なる独自の評価方法が定められています。建物の種類や用途、構造によって評価方法が異なるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
固定資産税評価額の算出基準
建物の相続税評価額は、固定資産評価額を基準に算出されます。固定資産評価額は、新築時の建築価格をベースに建物の構造や用途に応じた標準的な建築費用が設定され、そこから経過年数による減価償却を行って評価額が決定されるのです。
固定資産税評額 = 建築価格 × 約50%~70% |
木造建築の場合は一般的に年数の経過による価値の低下が比較的早く、鉄筋コンクリート造などの堅固な建物に比べて減価償却の割合が大きくなります。
一方、鉄筋コンクリート造の場合は、同じ築年数でも減価の程度は40〜50%程度に留まることが多いとされています。
マンションやアパートの評価方法
マンションやアパートの評価は、全て専有部分と共用部分を区別して行われます。専有部分については、その区画の固定資産税評価額を基準に評価額が査定されるのです。
また、賃貸用のアパートについては、一般の建物評価に加えて賃貸による収益性も考慮されます。 具体的には、賃貸借契約の内容や入居率、将来の収益予測なども評価に影響をあたえる要素です。
なお、建物自体の評価額は固定資産税評価額が基準となり、そこから必要に応じて補正が行われます。
評価の方式とその影響
建物の評価方式は、固定資産税評価額方式が一般的ですが、特殊な建物や使用状況によっては取引事例比較方式や収益還元方式が採用される場合もあります。評価額を適正に算出するためには、建物の特性や評価目的に応じて適切な方式を選択することが重要です。
取引事例比較方式
取引事例比較方式は、類似する建物の取引価格を参考に評価額を算出する方法です。特に希少性の高い建物や特殊な用途の建物、最新の建築技術を使った建物、高級住宅やブランド性の高いマンションなどの評価に有効な方式と言えます。
ただし、この方式で適切な評価を行うためには、建物の規模、築年数、設備、立地条件などの要素を細かく比較し、必要に応じて価格の補正をおこないます。
建物の規模による補正 | 評価対象の建物が取引事例より大きい場合は㎡を低く、小さい場合は高く補正 |
築年数による補正 | 取引事例より築年数が古い場合は評価額を低く、新しい場合は高く補正 (建物の経年劣化や設備の古さを考慮するため) |
設備による補正 | 空調により、防犯設備、エレベーターなど、設備の充実度による違いを補正 (取引事例に比べて設備が充実している場合は評価額を高く、劣る場合は低く補正) |
立地条件による補正 | 駅からの距離、道路の幅員、日当たり、眺望の違いなどにより補正 |
収益還元方式
収益方式還元は、建物から将来得られる家賃収入などの収益を含んだ評価額を、現在の価値に基づいて算出する方法です。主に賃貸用建物や商業施設など、収益を生み出す不動産の評価に用いられています。
賃貸マンションやアパート、オフィスビル、商業施設、ホテル、駐車場など、安定した収益が見られる建物の評価に適している方式といえます。
収益還元法には主に2つの手法があります。
直接還元法
一定期間(通常は1年間)の純収益を還元収益で割ることで、不動産の価格を求める方法。
DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)
将来得られる各期間の純利益を現在価値に換算し、その合計で不動産の価格を求める方法
実務上は、これらの方式を状況に応じて採用することが重要です。場合によっては両方式を組み合わせたり、複数の評価額を算出して総合的に判断したりすることも一般的です。
このように、建物の相続税評価額は複数の要素を考慮して総合的に判断する必要があります。税の評価額を決定する際は、税理士などの専門家に相談し、対象となる建物の特性や用途に最も適した評価方法を選択することが重要といえるでしょう。
株式の相続税評価額の計算

株式の評価は、上場株式と非上場株式で評価方法が大きく異なります。相続税の計算において、この違いを正しく理解することは非常に重要です。
上場株式と非上場株式の違い
上場株式の評価額は、原則として相続開始時における上場市場の価格を基準として計算されます。具体的には、相続開始時書き込み月の終値平均か、相続開始時終値のいずれか低い方です。この方法が採用される理由は、株式市場の価格変動による影響を緩和し、より公平な評価を実現するためです。
一方、非上場株式の評価は、より複雑な過程を経て算出されます。取引市場がないため、会社の規模や業種、取引状況などを総合的に考慮して評価額を決定する必要があるのです。
非上場会社の株式評価には、原則として類似業種比準方式か純資産価額方式、またはこれらの折衷方式が用いられます。
非上場株式の評価方式
非上場株式の評価で、最も一般的に使用されるのは類似業種比準方式です。この方式は、事業内容が類似している上場会社の株価を参考に評価額を算出します。
例えば、類似する企業の株価をベースに、評価、利益、純資産の比準要素を加味して評価額が決定されるのです。また、大手企業との規模の違いを考慮して、一定の割合で評価額が減額されることもあります。
純資産価額方式は、会社の資産から負債の総額を差し引いた純資産額をベースに株式を評価する方法です。この方式は、特に清算価値に注目を置く必要がある場合や、資産保有型の会社の評価に適しています。
非上場株式の評価については、国税庁のHP「No.4638 取引相場のない株式の評価」に詳しく掲載されているので、そちらも参考にしてみてください。
類似業種比準方式
類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」および「純資産 価額(簿価)」の3つで比準して評価する方法
純資産価額方式
会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法
引用: No.4638 取引相場のない株式の評価 / 国税庁
株式の生前贈与による相続税の軽減とその活用方法
株式の生前贈与を検討する場合、相続税評価額との関係を理解することが重要です。適切な贈与の計画により、将来の相続税負担を軽減できる可能性があります。
相続時精算課税制度を利用すると、60歳以上の親から18歳以上の子に対して2500万円までの特別控除を受けることができます。この制度は、現金や不動産、株式など、さまざまな財産の贈与に活用できるのです。将来の評価額の上昇を見据えて早めに贈与を行うことで、税負担を抑制する効果が期待できると言えるでしょう。
また、非上場株式の贈与については事業承継税制を利用することで、贈与税・相続税が大幅に軽減される可能性があります。ただし、この制度の適用には、いくつかの要件を満たす必要があるため注意が必要です。
- 事業承継税制の活用
非上場株式を後継者に贈与する際、要件を満たせば贈与税・相続税の大幅軽減が可能 - 贈与後の税制管理
贈与後も事業運営や財産評価の変動に伴い、税務対応が求められる場合がある - 事業継続要件
一定の事業継続要件満たすことが条件(以下の一覧表の通り)
経営者(後継者)に関する要件 | ◆ 贈与の日から3年以上継続して会社の役員など、代表者の地位を維持すること |
株式保有に関する要件 | ◆納税猶予の対象となった株式等を継続して保有すること ◆相続の場合、死亡の時等まで納税猶予の対象となった株式等を継続保有すること |
手続きに関する要件 | ◆贈与の場合、継続届出書を毎年税務署へ提出すること ◆相続の場合、継続届出書を3年ごとに税務署へ提出すること |
会社に関する要件 | ◆経営承継円滑化法における認定を受けた中小企業であること ◆資産保有型会社、資産運用型会社に該当しないこと(ただし、事業実態があるものは除く) ◆常時使用従業員数が1人以上であること |
雇用維持に関する要件 | ◆雇用の8割を維持すること |
報告義務 | ◆年次報告を都道府県知事へ毎年提出すること |
贈与する財産の評価額は、種類によって変動する可能性があるため、定期的な見直しが大切です。 初期段階から計画的に準備を進め、必要に応じて専門家に相談しながら、最適な方法を検討することが重要です。
相続税申告の注意点

相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると税額が加算されるため、計画的にすすめましょう。
評価額に基づく正しい申告方法
相続税の申告では、相続財産の評価額を正確に認識することが出発点となります。
土地や建物、株式などの財産は、それぞれ定められた評価方法に準じて評価額を算出する必要があります。また、 路線価による土地の評価や非上場株式の評価など、専門的な知識が必要な項目については、慎重な検討が求められます。
また、相続財産の中には、被相続人の死亡時に支払われる生命保険金や退職金なども含まれます。これらは「みなし相続財産」として扱われ、一定の非課税枠が設けられています。非課税枠の範囲内であっても、申告書には記載が必要となるため、漏れのないよう注意が必要です。
相続財産の評価とその証明
相続財産の評価額を証明するためには、適切な資料の収集と保管が必要です。 土地については、登記簿謄本や固定資産税評価証明書、実際の測量図面などが必要となります。同様に、登記簿謄本固定資産税評価証明書や、さらに建物の現況を示す写真なども重要な証明資料となります。
預貯金や有価証券については、金融機関が発行する残高証明書や取引残高報告書が必要です。 特に、被相続人が死亡した時点の残高を示す証明書の入手が重要となります。負債財産がある場合は、その残高も証明書が必要となり相続財産から判断して放棄することができます。
税理士に依頼するメリット
相続税の申告は複雑な手続きを伴うため、税理士に依頼することで多くのメリットが得られます。
まず、相続財産の評価において、税理士は豊富な経験と専門知識を踏まえて、適切な評価方法の選択と正確な評価額の算出をサポートします。 特に、事業用資産や非上場株式など、評価が難しい財産については、税理士のアドバイスが非常に有益です。
また、税理士は相続税の計算だけでなく、相続人間の遺産分割協議会にも有益な助言を提供することができます。 税負担を考慮した分割方法を示唆したことで、将来的な相続の実現をサポートします。
さらに、税理士は相続税の申告期限の管理や、必要書類の収集・整理、申告書作成など、煩雑な事務作業も代行します。これにより、相続人は相続に関する重要な意思決定を集中的に行うことができ、ミスのない適切な申告が可能となります。
相続税の申告に関して最も重要なのは、正確な評価額に基づく適切な申告を期限内に行うことです。財産の評価方法や必要書類の確認、申告書作成など作業ひとつ一つを確実に進めていく必要があります。そのため、相続財産が複雑な場合や評価額が高額となる場合は、早めに税理士に相談することで、適切な対応が可能となるでしょう。
評価額の減額方法

相続税の負担を軽減するための合法的な方法として、様々な評価額の減額方法が用意されています。 これらの制度を正しく活用することが重要です。
小規模宅地特例とは
小規模宅地等の特例は、被相続人が居住や事業用に使用していた土地について、その評価額を大幅に減額できる制度です。例えば、被相続人が住んでいる自宅の敷地については、最大330㎡までの部分について評価額を80%減額することができます。事業用土地については、最大400㎡までの部分について評価額を80%減額することが可能です。
この特例の適用を受けるためには、相続人が相続後も一定期間その土地を同じ用途で使い続けることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。また、売却やリースを行うと適用されなくなる可能性があるため、注意しましょう。

不動産の減価評価
不動産の評価額を適正に減額する方法として、建物の経年劣化や修繕の必要性を兼ねた減額評価があります。 特に築年数の古い建物や、修繕が必要な状態の建物については、その状況を正しく評価額に反映させることが可能です。
また、土地についても、形状や利用状況によって評価額の減額が認められる場合があります。例えば、不整形な土地や、接道状況が悪い土地については、形状による減額が適用されます。
建物の減価評価 | 土地の減価評価 |
◇ 経年劣化による評価減 ◇ 大規模修繕による評価への影響 ◇ リフォーム直後の相続税評価 | ◆ 無道路地の評価減 ◆ 不整形地の評価減 ◆ 接道状況による評価減 |
生命保険の活用法
生命保険は、相続税対策として効果的なツールの一つです。生命保険金には、「法定相続人1人当り500万円×法定相続人の数」という非課税枠が設定されています。法定相続人が配偶者と子供2人の場合、1,500万円までの生命保険金が非課税になるのです。
また、生命保険金は、相続財産としての評価額を抑えながら、実際の受取額を確保できるという特徴があります。このように、生命保険は相続税の負担を軽減しつつ、相続人の実質的な受取額を確保できる有効な相続対策となるのです。
貸家の相続税評価額

賃貸不動産の相続税評価額は、一般の不動産とは異なる特別な評価方法が適用されます。
賃貸物件の評価方法
賃貸物件の評価は、一般的な建物評価額に加えて、賃貸による収益性も考慮されます。
具体的には、家賃収入や経費、将来の収益予測などが評価額に影響を与えます。また、賃貸借契約の継続性や居住率なども重要な要素となるのです。
貸家建付地の特例
貸家建付地は、貸家が建っていることによる土地の利用制限を考慮して、一定の減額が認められる特例制度です。
この減額率は、地域や賃貸借契約の内容によって異なりますが、一般的に20〜30%程度の評価額の減額が可能です。

借地権の相続税評価について
借地権の評価額は、その土地や建物の自己用地としての価格額に、一定の借地権割合を乗じて計算されます。
借地権割合は都市部では 70%~90%程度、その他の地域では 50%~70%程度が一般的です。ただし、具体的な借地権割合は地域や土地の用途によって異なるため、国税庁や各自治体が公表している路線価図などを確認することをおすすめします。

相続税評価額の節税対策

昨今の地価上昇により、首都圏の一戸建てと預貯金だけでも相続税の対象となるケースが増えています。ここでは、専門家の視点から、納税負担を合法的に軽減する効果的な対策を解説していきます。
評価額を減額する
評価額の減額方法としては、資産の組み換えや生前贈与の活用などがあります。
特に、評価額の高い資産をより評価額の低い資産に組み替えられれば、相続税の金額を抑制することが可能です。
適用できる特例の活用法
相続税には様々な特例制度が用意されています。例えば、前述の小規模宅地等の特例の活用のほか、配偶者の税額軽減や、事業承継税制などがあります。
これらの特例は、それぞれの適用要件が異なるため、自身の状況に合わせて最適な特例を選択することが重要です。
税理士に依頼する理由
相続税対策は複雑で専門的な知識が必要となるため、税理士への相談がおすすめです。
税理士は、相続財産の評価から申告書作成まで、ワンストップでのサポートが可能です。特に複数の特例を活用した節税対策や、将来を見据えた相続対策の進め方には、税理士の専門的なアドバイスが参考になります。
1) 基本的な理解
相続税対策を進めるうえで重要なのは、財産の評価方法を正確に理解することです。土地や建物、株式など、それぞれの財産は異なる評価方法が用いられます。税理士は、これらの複雑な評価方法に精通しており、財産の正確な評価額の算出と、それに準じた最適な対策の提案が可能です。
2) 節税制度の活用
自宅の敷地に適用できる「小規模宅地等の特例」や貸家建付地に対する相続税評価減など、利用可能な節税制度を把握することは重要です。税理士は最新の法改正や状況補正にも対応しており、お客様の状況に最適な節税制度を選び、適用するためのサポートを提供します。
3) 計画的な準備の重要性
生命保険の活用や生前贈与、資産の組み替えなど、相続発生前に計画的に準備を進めていくことで、将来の税負担を軽減することが可能です。税理士は、相続税額を試算し、それに基づいて具体的な対策のタイミングや方法を提案することができます。また、定期的な見直しを行うことで、状況の変化に応じた柔軟な対応も可能です。
相続税の申告は相続開始から10ヶ月以内に行う必要があり、この期間内に財産の評価や申告書の作成を終える必要があります。制度や手続きが複雑であるため、専門家のサポートを受けながら進めることをおすすめします。
早めの対策と適切な準備が、スムーズな相続を実現する鍵となるでしょう。
相続税の対象となる財産は、その種類によって評価方法が異なります。 土地は路線価や倍率、建物は固定資産税評価額、株式は市場価格や類似業種比準価格額など、それぞれに計算方法があるのです。これらの評価方法を理解することが、相続税対策の基本となります。
相続税には多くの軽減制度があります。例えば、自宅の敷地に使える小規模宅地等の特例、貸家建付土地減額など、状況に応じて活用できる制度が用意されているのです。最近は不動産価値の上昇により、相続税の対象となる方が増えているため、これらの制度を知り活用することが大切です。
また、相続が発生する前から準備できる対策もあります。 生命保険や生前贈与の活用、資産の組み替えなど、計画的に進めることで将来の負担を軽減することができます。一方で、取り消しができない対策も多いため、専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。
相続税の申告は、相続人が被相続人の死亡を知ってから10ヶ月以内に行う必要があり、この期間で財産の評価や申告書作成などを行わなければなりません。早めに専門家へ相談してサポートを受けることで、相続税問題へ適切に対応することが可能となるでしょう。

戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。
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