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自宅を売却した際は3,000万円まで税金がかからない?居住用財産の3,000万円控除の概要と適用条件を解説

目次

不動産を売却すると税金がかかる

自己が所有する住宅や土地といった不動産を売却する際は、いくつかの税金がかかることをご存知でしょうか?このことを知っておかなければ、売却後に予想外の痛い出費を負うことになってしまいます。不動産売却時には、

  1. 売却手続きにかかる税金
  2. 売却益が発生したときにかかる税金

大きく分けると上記の2つの税金が発生する場合があります。

① 売却手続きにかかる税金

売却手続きにかかる税金としては、次のような税金が挙げられます。

  • 印紙税 ※1
  • 登録免許税 ※2
  • 仲介手数料に含まれる消費税

※1「印紙税」とは売買契約書や領収書など、特定の書面に対して課税される税金です。

※2「登録免許税」とは、不動産を登記する際にかかる税金のことをいい、登記する事項や金額によって税額が変動します。

② 売却益が発生した場合にかかる税金

売却益が発生した場合にかかる税金とは「譲渡所得」にかかる税金のことをいいます。譲渡所得とは、不動産や株式などを売却した際の収入から、売却時や取得時にかかった経費や費用を差し引いた金額のことをいい、次の算式で計算することができます。

また、譲渡所得については事業所得や給与所得などとは合算せずに、所得税を計算する特徴があります。

不動産を売買した際は2つの所得区分に分類される

譲渡所得は売却した不動産などの所有期間によって税率が異なり、「長期譲渡」と「短期譲渡」の2つの区分に分類されます。

長期譲渡

譲渡した年の1月1日時点で、所要期間が5年以上の不動産などを売却した場合は、「長期譲渡」に該当します。

長期譲渡の場合における譲渡所得の所得税率は「15%」となります。また、10年以上所要していたものについては、「10年超所有軽減税率の特例」が適用できます。

「10年超所有軽減税率の特例」とは、売却した不動産の所有期間が10年を超えている場合に適用できる特例のことをいい、課税譲渡所得にかかる所得税率が、通常の長期譲渡所得税率(15%)よりも下がる制度のことをいいます。

短期譲渡

譲渡した年の1月1日時点で、所要期間が5年以下の不動産などを売却した場合は、「短期譲渡」に該当します。短期譲渡の場合における譲渡所得の所得税率は「30%」となります。

不動産を売却する際に適用できる「3,000万円控除」とは

不動産を売却する際に適用できる「3,000万円控除」とは、不動産を売却した際に発生した譲渡所得を最大3,000万円まで控除できる制度のことをいいます。

この特別控除を適用することで、3,000万円以下の譲渡所得が発生した場合は、所得税がかからないことになります。また、譲渡所得が3,000万円以上の場合は、譲渡所得と3,000万円の差額分に対して所得税が発生します。

居住用財産の3,000万円控除の適用要件

3,000万円特別控除を受けるには6つの適用要件を満たす必要があり、大前提としてマイホームを売却する際に適用することができます。

① 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること

現在住んでいない家屋や敷地の場合、「住むのをやめた日」から「3年経過する年の12月31日」までに売らなくてはなりません。また、住んでいた家屋または、住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件も満たす必要があります。

要件

(1) 敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(2) 家屋の取り壊しから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

② 売却年の前年および前々年に特例を適用していないこと

売却した年および売却した前々年に「3,000万円の特別控除」や、「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例」などの特例を適用している場合は、3,000万円の控除を適用することができません。

③ 売却年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと

売却した年および売却した前々年に「マイホームの買い換え」や、「マイホームの交換の特例」の適用を受けている場合は、3,000万円の控除を適用することができません。

④ 売却した家屋や敷地等について、収用等の特別控除などの適用を受けていないこと

収用などが発生した場合に適用できる特別控除がありますが、この特別控除を適用している場合は3,000万円の控除を適用することができません。

⑤ 被災した家屋の場合は売却期限を満たすこと

災害によって住めなくなった家屋の場合は、その敷地に住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却する必要があります。

⑥ 売手と買手が特殊関係にないこと

売手と買手が特殊関係下にある場合は、3,000万円の控除を適用することができません。特殊関係とは親子や夫婦、生計を共にする親族や内縁関係者などの関係者のことをいいます。

居住用財産の3,000万円控除を適用する際の申請期限や必要書類

居住用財産の3,000万円控除を適用する際は、上記の適用要件を満たした上で必要書類を添付して確定申告をおこなう必要があります。

適用要件以外にも申請期限や必要な書類など、細かい決まりがあるので詳しく確認していきましょう

申請期限

居住用財産の3,000万円控除を適用する場合は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。

確定申告は「税務署に書類を提出または郵送する方法」と、「e-Taxでの電子申告手続き」の2つの方法があります。e-Taxであれば自宅で確定申告ができることや、窓口が24時間対応となっているため非常に便利です。

申請期限が1ヶ月という短い期間に加え、確定申告の時期は税務署が大変混み合うため、余裕を持った行動をとるようにしましょう。

必要書類

3,000万円の控除を適用するためには、申請期限内に特定の書類を添付して確定申告する必要があります。書類に漏れがある場合、控除が適用できない場合もあるため注意しましょう。

特定の書類については下記のとおりです。

必要書類 取得場所
確定申告書および譲渡所得の内訳書 税務署
戸籍の附票 市役所
譲渡した土地・建物の全部事項証明書 法務局
売却時の書類の写し(売買契約書や領収書など)
取得時の書類の写し(売買契約書や領収書など)
住民票の写し、またはマイナンバーのわかる書類 市役所

主に上記の6種類の書類が必要となっており、入手できる場所も書類によって異なるため、準備期間にしっかりと余裕をもって準備しましょう。

具体的な計算例

ここでは居住用財産を売却し、3,000万円控除を適用した場合の計算事例を紹介します。

項目 金額 算式
譲渡収入金額 5,000万円
譲渡費用 200万円
取得費用 2,000万円
居住年数 11年
特別控除上限額 3,000万円
譲渡所得金額 0円 5,000万円−200万円−2,000万円−2,800万円
所得税額 0円

※ 所得税額は復興特別所得税を除く

譲渡収入金額…不動産の売却価格+固定資産税や都市計画税

譲渡費用…不動産売却の諸費用(不動産会社に支払った仲介手数料、印紙税、登録免許税など)

取得費用…不動産購入代金から減価償却累計費を差し引いた金額や購入時の仲介手数料、設備費など

上記の場合、特別控除を差し引く前の金額が3,000万円以下であるため、譲渡所得金額が0円となり、税金を納める必要がなくなるということになります。

居住用財産の特例を適用しない場合はいくらの税金になる?

3,000万円特別控除が適用されればかなりの税金対策になることがわかりますが、適用できなかった場合はどれくらいの税金になってしまうのでしょうか。

ここでは3,000万円の控除が適用できない場合の所得税額を計算してみましょう。

項目 金額 算式
譲渡収入金額 5,000万円
譲渡費用 200万円
取得費用 2,000万円
居住年数 11年
特別控除上限額 適用不可
譲渡所得金額 2,800万円 5,000万円−200万円−2,000万円
所得税額 420万円 2,800万円×15%

※ 所得税額は復興特別所得税を除く

このように3,000万円の特別控除を適用するかどうかによって、所得税額が「420万円」も変わることがわかります。

居住用財産の3,000万円控除はこういう場合も適用できる

不動産を売却する際には、物件によって建物を取り壊す場合や相続した場合など、様々なパターンがあります。

ここでは居住用財産の3,000万円控除が適用できるケースをいくつか紹介していきます。

相続の場合

相続が発生し、自分が相続した空き家を売却する場合、以下の要件を満たすことで3,000万円の控除を適用することができます。

  • 元々不動産を所有していた人物が居住していたこと。
  • 一時的に他の誰かが住んでいないこと
  • 建て替えを行っていないこと

建物を取り壊した後に譲渡した場合

建物を取り壊した後に譲渡した場合は以下の要件を満たすことで3,000万円の控除を適用することができます。

  • その土地の譲渡契約が、建物を取り壊した日から1年以内に締結され、さらに、住まなくなった日から3年経過する年の12月31日までに売ること。
  • 建物の取り壊しが行われてから譲渡契約を結んだ日の間に、賃貸や貸駐車場などで誰にも貸していないこと。

土地と建物が共有の場合

土地や建物を誰かと共有している場合でも、それぞれが要件を満たしていれば適用することができます。この場合は共有人それぞれにおいて、確定申告を行う必要があります。

ただし、土地の所有者がAさん、建物の所有者がBさんなど、土地と建物の所有者が異なる場合は控除の適用はできません。あくまでも、土地と建物をセットで共有している不動産に限り適用することができるため、注意が必要です。

居住用建物と賃貸用建物が併用の場合

居住用建物と賃貸用建物が併用となっている場合は、自分が住んでいた居住用家屋の部分のみ控除の対象になります。この場合、居住用部分の面積と賃貸用部分の面積を按分することで計算をおこないます。

居住用建物と店舗用建物が併用の場合

建物の一部を店舗として利用している場合は、自分が住んでいた居住用家屋の部分のみが控除の対象になります。この場合、居住用部分の面積と店舗用部分の面積を按分することで計算をおこないます。

敷地の一部を売却した場合

敷地の一部を売却する場合、譲渡する敷地が居住用家屋の敷地と判断されるかが重要となります。居住用家屋と家屋が建っている敷地の一部を同時に譲渡する場合は3,000万円控除の適用対象となります。

しかし、譲渡する敷地の一部が居住用家屋が建っていた敷地ではない場合は、控除は適用できません。また、家屋の一部を取り壊しその土地を譲渡する場合、取り壊していない家屋で、普通に生活ができるのであれば、居住用財産とみなされないため、控除の適用対象外となります。

このように、敷地の一部を譲渡する場合は細かい条件などがあるため注意が必要です。

兄弟で相続した土地と建物を売却した場合

兄弟で相続した土地と建物を売却した場合も、以下の要件を満たしていれば兄弟それぞれで控除を適用することができます。

  • 居住用財産とみなされる空き家と土地
  • 家屋と敷地をセットで相続している場合

(兄が家屋、弟が土地、というような相続の場合は適用対象外です)

上記以外にも次のような不動産の場合は、3,000万円控除は適用できません。

  • 居住用ではなく、3,000万円特別控除を受け取る目的で入手した不動産
  • 一時的な住まいとして住んでいた家屋(自宅を新築、改築する間など)
  • 趣味や保養のために使用していた家屋(別荘や、趣味や娯楽のための物置など)

3,000万円控除を適用できるのは、あくまでも「居住用財産」に限られるということになります。

居住用財産の3,000万円控除を適用する際に気をつけたいこと

3,000万円特別控除が適用する際は注意しなければならない点がいくつかあります。誤った知識のまま確定申告をおこなってしまうと、思いがけない税金を納めなければならない場合もあるため注意が必要です。

住宅ローン控除と併用できない

不動産を売却した後に、住宅の購入を新たに考えている方も多いかもしれません。しかし、ここで注意したいのが、3,000万円控除を適用している場合は「住宅ローン控除」が受けられないということです。

住宅ローン控除とは家を購入し住宅ローンを組んだ場合に、一定の要件を満たすことで適用できる控除のことをいい、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。一定の要件とは次の要件のことを指し、要件を満たすことで所得税や住民税の額から「年末時点における住宅ローンの残高の0.7%」を控除することができます。

要件
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 物件を取得してから6か月以内に入居すること
  • 登記簿上の床面積が50㎡以上で、その1/2以上が自己の居住用であること
  • 控除を受ける年分の合計所得金額が「2,000万円以下」であること

また、住宅ローン控除は、新築物件購入時のみ適用されるわけではなく、一戸建てや中古住宅、リフォームや増改築の場合も適用することができます。そのため、不動産を売却し購入する際は、まずは3,000万円控除が適用できるかどうかを確認し、「3,000万円控除を適用する場合」と「住宅ローン控除を適用する場合」とを比較し、どちらの控除額が大きくなるかを適切に見極めることが大切です。

その他の控除と併用できる

3,000万円控除は住宅ローン控除との併用はできませんが、「3000万円控除」と併用できる制度もあり、それが「10年超所有軽減税率の特例」です。10年超所有軽減税率の特例とは10年以上所有していた居住用不動産(マイホーム)を売却した際に、譲渡所得にかかる税率が本来の長期譲渡所得税率よりも下がるという制度です。

具体的には次のような取り扱いになります。

課税長期譲渡所得金額(=A) 税額
6,000万円以下 A×10%
6,000万円超 (A-6,000万円)×15%+600万円

ただし、10年超所有軽減税率の特例の適用を受けるためには、いくつかの要件があり、下記の要件を満たす必要があります。

要件
(1) 日本国内の自分が住んでいる家屋を売る、もしくはその敷地も同時に売る。

(過去に住んでいた家屋や敷地を売却する場合は、住まなくなった日から3年経過する年の12月31日までに売らなければなりません)

また、家屋を災害により失った場合には、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに敷地を売る必要があります。

※家屋を取り壊した際には、さらに以下の3つの要件を満たすことが必要です。

  • 取り壊された家屋と敷地が、所要期間が10年以上であること。
  • 家屋の取り壊しから1年以内に譲渡契約が締結され、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売ること。
  • 家屋取り壊し後から譲渡契約が結ばれる間に、貸駐車場や賃貸などに使用していないこと。
(2) 家屋と敷地の所有期間がどちらも10年を超えていること。
(3) 売った年と前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと。
(4) 家屋と敷地について他の特例の適用を受けていないこと。(マイホームの買換えや交換の特例)
(5) 親子や夫婦、生計を共にしている親族や内縁関係の人など「特別関係にある人」に売っていないこと。

軽減税率との併用時における具体的な計算事例

ここでは、「3,000万円控除」と「10年超所有軽減税率の特例」を併用した場合における計算事例を確認していきましょう。

大まかな計算の流れとしては次の①および②のとおりです。

  1.  3,000万円の特別控除額を譲渡所得から控除する
  2. 控除後の所得金額に対して「軽減税率」を適用する
例え
項目 金額 算式
譲渡収入金額 1億円
譲渡費用 200万円
取得費用 2,000万円
居住年数 11年
特別控除上限額(3,000万円控除) 3,000万円
譲渡所得金額 4,800万円 1億円−200万円−2,000万円-3,000万円
所得税率 10% 10年超所有軽減税率の特例により10%
所得税額 480万円 4,800万円×15%

購入したマイホームやマンションなどは、10年以上住み続けるケースが多く見受けられます。

そのため、「10年超所有軽減税率の特例」も忘れずに適用を検討するようにしましょう。

まとめ

今回は不動産を売却する際に大きな控除となる「3,000万円控除」について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。不動産を売却する際には、多くの場合が多額の税金がかかってしまいますが、「3,000万円控除」を適用することで、多額の節税につなげることができます。

ただし、「3,000万円控除」を適用する為には、いくつかの細かな要件を満たす必要があることや、書類の準備をする必要もあります。多くの場合は不動産会社が必要な手続きについてアドバイス等をもらうことができますが、不動産会社に任せっきりにはせず、制度に関する概要を自分で把握しておくことが重要です。

本来納めなくてよかった税金を発生させないためにも積極的に情報収集をおこない、少しでも不安や疑問がある場合は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

相続税のお悩み一緒に解決しましょう
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税理士 友野祐司
税理士法人レガシィ勤務を経て2011年に響き税理士法人に入社、相続税専門の税理士として、横浜を中心に相続税申告のサポートをを行っています。どこよりも、素早い対応を心がけておりますので、少しでも相続税に関して、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。