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相続放棄を親戚に依頼する場合|手紙の文例や注意点を詳しく解説

「一部の相続人に相続放棄を依頼したいけど、どうしよう」
「亡父に借金があったから、相続人全員に連絡したい」

相続手続きの際には、相続人に「相続放棄」を依頼するケースがあります。本来なら財産を受け取る相続を放棄してもらうケースには、一体どのような事情が考えられるでしょうか。本記事で詳しく解説します。

相続放棄を親戚に依頼したいケースとは

ご家族が亡くなり相続が開始された場合に、相続人に「相続放棄」を依頼するケースがあります。この章では相続放棄を依頼する主なケースを紹介します。

前順位の相続人が放棄した

相続は民法で定められている順位に沿って行われます。

・配偶者は常に相続人
・第1順位 子や孫(直系卑属)
・第2順位 親や祖父母(直系尊属)
・第3順位 兄弟姉妹

前順位の相続人が相続放棄を行うと、次順位に相続権が移動し、最終的には兄弟姉妹まで(兄弟姉妹が死亡している場合は甥・姪まで)相続順位が移動していきます。

もしも借金などが理由で相続放棄をした場合、次に相続人となる親戚に前順位の相続人が相続放棄した事実を伝えるために、手紙を出す場合があります。

※相続放棄を家庭裁判所で行っても、次順位となる方に自動的に通知が行くことはありません!

相続放棄をしてほしいと依頼はできる?

では、特定の相続人に相続財産(遺産)を集中させたい、などの理由で別の相続人に「相続放棄をしてほしい」と依頼することはできるでしょうか。

相続放棄の依頼はできるが強制できない

相続放棄を手紙などを使って親戚に依頼することは可能です。法的に問題もありません。

しかし、相続放棄は強制できるものではありません。

相続人自身が家庭裁判所で手続きを行うものです。特定の相続人に相続財産を集中させたい場合には、遺産分割協議で話し合いご納得していただくことが大切です。

面識のない方とも遺産分割協議は必要

相続人の中には「被相続人の前妻・前夫との子」や「顔を合わせたことがない被相続人の兄弟姉妹」が含まれることがあります。

面識のない相続人と協議をし、相続財産の分配をすることに納得できない方もいるでしょう。しかし、面識のない方であっても相続人となっている方は「全員参加」をして遺産分割協議を進める必要があります。

遺産分割協議を一部相続人を除いて協議を終えたとしても、無効となるため注意しましょう。

無理なお願いはトラブルになるおそれ

「あの人は生前にお見舞いにも来なかった」
「長年疎遠だったから、財産は放棄してほしい!」

このように思っても、先に触れたように相続放棄は強制できるものではありません。

手紙や電話などで、無理なお願いをしてしまうと家族間のトラブルに発展するおそれがあります。依頼する際には、話し合いの機会を設けるなど、丁寧な文面の手紙にすることが望ましいでしょう。

相続放棄を親戚に依頼する|手紙の例文とは

相続放棄を親戚に依頼する場合には、丁寧な文面の手紙を出すことがおすすめです。突然のお電話は依頼された側に負担となるおそれがありますが、手紙は誤解を招きにくいでしょう。

そこで以下3つのパターンをご紹介します。

前順位が相続放棄したケース

響き 花子 様
拝啓突然のご連絡失礼いたします。響き 太郎(昭和〇〇年1月23日生)は、令和〇年〇月〇日に永眠いたしました。
子の響き 次郎は相続人でしたが、〇〇家庭裁判所にて相続放棄を申立てし、受理されました。
事件番号は令和〇年(〇)〇〇号です。

つきましては、響き 花子様が相続人となるため、ご連絡させていただきました。相続放棄をされる場合は、期限内に家庭裁判所にてお手続きを行ってくださいませ。

なお、本件に関してご不明な点がありましたら、以下までご連絡ください。
〒●●●ー●●●●
神奈川県横浜市●●区●●1-2-3
響き 太郎
電話 080-●●●●-●●●●

相続放棄の事実を知らせると同時に、お手続きをご自身でしていただく必要がある、と通知する文章です。また、なぜ相続放棄をしたのか事情はさまざまですので、問い合わせにお答えできるように、連絡先を添えておくと良いでしょう。

債務がある場合は、次の内容も文例としておすすめです。

被相続人に債務があるケース

響き 花子 様
拝啓突然のご連絡失礼いたします。響き 太郎(昭和〇〇年1月23日生)は、令和〇年〇月〇日に永眠いたしました。
子の響き 次郎は相続人でしたが、〇〇家庭裁判所にて相続放棄を申立てし、受理されました。
事件番号は令和〇年(〇)〇〇号です。

生前に亡〇〇は負債を抱えておりました。響き 花子様が相続人となったため今後債権者から通知などが行われる可能性があります。
つきましては相続放棄をされる場合は、大変お手数ですが期限内にお手続きを行ってくださいませ。
なお、本件に関してご不明な点がありましたら、以下までご連絡ください。

〒●●●ー●●●●
神奈川県横浜市●●区●●1-2-3
響き 太郎(亡響き 太郎 長男)
電話 080-●●●●-●●●●

被相続人に債務があり相続放棄をした場合は、次順位の相続人に突然債権者から連絡が入る可能性があります。督促にびっくりし、家族間でトラブルとなるケースも少なくありません。

そこで、上記のように債務の事実を知らせることがおすすめです。

相続の開始を知らせるケース

響き 花子 様
拝啓突然のご連絡失礼いたします。響き 太郎(昭和〇〇年1月23日生)は、令和〇年〇月〇日に永眠いたしました。
つきましては響き 花子様が相続人となるため、ご連絡させていただきました。
相続手続きにあたっては相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
お手続きにご協力いただきたく存じますので、お手数ですがご連絡いただけますようお願い申し上げます。

なお、相続放棄をされる場合は、期限内にお手続きを行ってくださいませ。
なお、本件に関してご不明な点がありましたら、以下までご連絡ください。

〒●●●ー●●●●
神奈川県横浜市●●区●●1-2-3
響き 太郎 (亡響き 太郎 長男)
電話 080-●●●●-●●●●

こちらは相続放棄を無理に手紙で依頼するものではなく、まずは遺産分割協議の開始を知らせるに留めています。

疎遠な親戚は相続放棄を検討することも考えられるため、相続放棄に関する文章も加えています。

相続放棄を依頼する際の注意点

さまざまな事情で相続放棄を親戚に依頼する場合は、慎重に依頼する必要があります。

そこで、この章では相続放棄を依頼する際の注意点を3つご紹介します。

介護や疎遠であることを理由に無理強いをしない

被相続人の生前に介護や扶養で支えていた方からすると、協力してこなかった相続人より財産は多く欲しいと考えて当然です。しかし、相続放棄を無理に迫ると遺産分割協議もこじれてしまう可能性があります。

介護や疎遠であるなど、わかってほしい事情があっても冷静にお伝えすることがおすすめです。

遺産分割協議に参加するように丁寧に伝える

手紙で相続放棄を突然迫られた場合、迫られた相続人は驚いてしまいます。遺産分割協議にまずはご参加いただき、話し合いを重ねたいと丁寧に伝えましょう。

トラブルが予想される場合は弁護士に依頼する

前妻・前夫との子と協議をする場合や、持ち家以外に相続財産が無く、相続人への代償金も用意が難しい場合などは、遺産分割協議そのものが相続放棄が関係していなくてもトラブルとなる可能性があります。

このようなケースではあらかじめ対策方法を弁護士に依頼することがおすすめです。

相続税申告がある場合は早急に連絡を求める

相続財産が多い場合は、相続税申告が必要となる可能性があります。相続税申告は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」です。遺産分割協議を適切に進めなければ申告が遅れてしまうリスクがあるため、早急に連絡が欲しいと伝えましょう。

相続放棄をした方は相続税の申告義務はありませんが、死亡保険金など「みなし相続財産」がある場合は基礎控除額を超えたら申告する必要があります。

遺産を確実に相続するためには生前対策を

相続放棄を依頼することは、慎重に検討するべきものです。そこで、特定の方に遺産を集中させたい場合には、生前から対策を進めることが大切です。

  • 遺言書を作成する
    遺言書は特定の方に財産を集中させることが可能です。遺留分に考慮しながら慎重に書く必要がありますが、相続放棄を無理に迫らなくても財産を安全に継承することができます。
  • 贈与を行う
    相続税対策の効果もある贈与を進めることも大切です。疎遠な親族との遺産分割協議を減らす効果もあります。
  • 生命保険を活用する
    生命保険も相続税対策に有効です。「みなし相続財産」の扱いとなるため、遺産分割協議をしなくても受取人に指定されている方が保険金をもらうことができます。

まとめ

本記事では「相続放棄を親戚に依頼すること」をテーマに、手紙の例文を詳しく紹介しました。相続放棄は相続人自身で行ってもらう必要があり、無理に迫ることはできません。しかし、債務があるなどの事情があったら、早急に相続人となっている親戚にご連絡することが望ましいでしょう。

また、相続税申告が必要な遺産分割協議に参加してほしい場合は、突然相続放棄を迫るのではなく、まずは協議に参加してほしいと伝えることがおすすめです。

しかし、相続人に財産の放棄を迫る行為はリスクがあります。生前から遺言書や贈与などの方法で、財産の安全な継承を進めることが望ましいでしょう。

詳しくはお気軽に響き税理士法人へ、お気軽にご相談ください。