「知り合いが相続税を500万円払ったらしいけど、遺産はいくらあったの?」
「相続税額はどう決まるのか知りたい」
と感じている方もいるでしょう。
日本の相続税は超過累進課税です。
遺産が多いほど、納める相続税も高額になります。
高い相続税を払ったという話を聞くと、どのくらいの遺産があったのか気になるものです。
令和6年分のデータでは、相続税の課税割合は10.4%でした(※1)。
およそ10人に1人が相続税の対象になっており、他人事とはいえません。
本記事では、500万円の相続税が課税された場合を例に、遺産の額がどのくらいになるのかを考えていきます。
あわせて、法定相続人の数に応じた相続税額や、相続税額を抑えられる控除や特例についても解説します。
注記:本記事の計算例は、現預金のみを想定した簡略計算による概算です。
実際の相続税額は、財産の種類や評価方法、各種控除の適用状況によって異なります。
正確な金額は税理士にご確認ください。
目次
この記事の監修者

税理士 桐澤寛興
戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。
相続税額の決まり方

日本の相続税は、相続人の数や遺産総額、実際の取得割合などに応じて税額が決まります。
相続税額のポイントには、以下の3点が挙げられます。
・法定相続人の数で相続税が変動
・法定相続分に応じた取得金額で税率が決まる
・超過累進課税で、遺産が多いと税金が高い
それぞれ詳しく解説していくので、相続人の数など自分の家族を考えながら読んでみてくださいね。
法定相続人の数で相続税が変動する
まず、相続税額を算出する上で重要なのが、法定相続人の数です。
法定相続人の数により、相続財産から差し引かれる基礎控除額が決まります。
基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人
法定相続人の数が多くなればなるほど基礎控除額が増えるため、支払う相続税額は少なく済むことになります。
法定相続分に応じた取得金額で税率が決まる

2つ目のポイントとして、相続人ごとに法定相続分で税率が決まる点も重要です。
相続税は、以下の流れで算出します。
1.相続人ごとに遺産の課税価格を計算
2.相続人ごとの遺産をまとめ、遺産総額を算出
3.遺産総額を法定相続分で按分
4.相続人ごとの法定相続分の相続税額を算出
5.算出した相続税額を合算
6.実際の相続分で按分する
7.相続人ごとの加算・控除額を含めて納付税額を算出
ここで重要なのは、2〜3の工程です。
すべての相続財産を一度まとめ、相続人ごとの法定相続分で財産を分けたと仮定します。
その仮定した相続分に応じて、各相続人の相続税額を算出するのです。
相続税では、法定相続分で分けたものとして全体の税額を計算し、実際の取得割合に応じて各相続人の納付税額を求めます。
超過累進課税で、遺産が多いと税金が高い
受け取る遺産が多いほど税率や税金が高くなることも、相続税の特徴です。
相続税は以下の速算表に基づき、相続人ごとで求めます。
【相続税の速算表】
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
たとえば、法定相続分が2,000万円の場合は、税率15%で相続税は250万円です。
法定相続分が6,000万円の場合は、税率30%で相続税は1,100万円になります。
最高税率の55%が適用されるのは、6億円を超える部分のみです。
遺産が大きくなるほど、適用される税率が段階的に上がっていく仕組みといえるでしょう。
相続税が500万円になるパターン

ここからは、相続税が500万円になるケースを3つ紹介します。
なお、配偶者がいる場合は控除を適用できることが多く、相続税額が大きく変わりやすいため、今回の計算例では配偶者がいないケースに絞っています。
また、相続財産は現預金のみとし、土地や建物など評価額が変動する財産はないものと仮定します。
配偶者なし、子1人の場合

配偶者がおらず、子が1人で相続税を500万円前後支払った場合、遺産は7,100万円前後であると考えられます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基礎控除額(3,000万円+600万円×1人) | 3,600万円 |
| 相続税が課される遺産(7,100万円-3,600万円) | 3,500万円 |
| 税率・控除額 | 20%・200万円 |
| 相続税額(3,500万円×20%-200万円) | 500万円 |
配偶者なし、子2人の場合

配偶者がおらず、子が2人で相続税を500万円前後支払った場合、遺産は8,200万円前後であると考えられます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基礎控除額(3,000万円+600万円×2人) | 4,200万円 |
| 相続税が課される遺産(8,200万円-4,200万円) | 4,000万円 |
| 1人あたりの課税対象額(4,000万円÷2人) | 2,000万円 |
| 税率・控除額 | 15%・50万円 |
| 1人あたりの相続税額(2,000万円×15%-50万円) | 250万円 |
| 相続税額の合計(250万円×2人) | 500万円 |
配偶者なし、子3人の場合

配偶者がおらず、子が3人で相続税を500万円前後支払った場合、遺産は9,200万円前後であると考えられます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基礎控除額(3,000万円+600万円×3人) | 4,800万円 |
| 相続税が課される遺産(9,200万円-4,800万円) | 4,400万円 |
| 1人あたりの課税対象額(4,400万円÷3人、概算) | 約1,470万円 |
| 税率・控除額 | 15%・50万円 |
| 1人あたりの相続税額(1,470万円×15%-50万円) | 約170.5万円 |
| 相続税額の合計(約170.5万円×3人) | 約511.5万円 |
注記:上記3パターンはいずれも簡略計算による概算です。
1人あたりの遺産額を概算で按分しているため、実際の金額とは差が生じます。正確な金額は税理士にご確認ください。
配偶者には「配偶者の税額軽減」がある

相続税には、配偶者だけに認められる控除があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者の取得分について、1億6,000万円または法定相続分相当額まで相続税がかからない制度 |
配偶者の税額軽減を利用する場合は、次のような要件を満たす必要があります。
・死亡時点で、法律上の婚姻関係があること
・原則として、相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること
・相続税申告書を提出すること
一概にはいえませんが、相続人が配偶者1人・子1人で、遺産が1億1,300万円前後、配偶者の遺産取得割合が50%の場合、500万円前後の相続税が課税されると考えられます。
配偶者の取得割合によって相続税額は変わるため、あくまで参考としてください。
相続税額に影響する控除や特例

相続税には、他に以下のような控除があります。
| 控除・特例 | 内容・控除額 |
|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | ・亡くなった方が住んでいた土地など、特定の土地に適用 ・特定居住用宅地等:330㎡(およそ100坪)まで最大80%減額 ・貸付事業用宅地等:200㎡(およそ60坪)、最大50%減額 |
| 未成年者控除 | ・未成年の相続人の相続税を一定額控除する制度 ・18歳になるまでの年数※×10万円 |
| 障害者控除 | ・障害者である相続人の相続税を一定額控除する制度 ・85歳になるまでの年数※×10万円(特別障害者は20万円) |
| 贈与税額控除 | ・相続税に加算される贈与財産がある場合に適用 ・対象の贈与で納めた贈与税額を相続税額から控除 上記2点を満たす場合、相続税額から贈与税額を控除 |
| 相次相続控除 | ・10年以内に立て続けて相続税が課税されることになった場合 ・前回の相続と今回の相続の期間が短いほど控除額が大きくなる |
| 外国税額控除 | 日本の相続税と外国で相続税に相当する税金が課税される場合 |
上記のような控除や特例を適用することで、納付する相続税額は変わります。
相続税で適用できる控除のなかでも、相次相続控除や外国税額控除の控除額は算出が煩雑です。
該当する可能性がある場合には、速やかに税理士に相談することをおすすめします。
まとめ:相続税額は遺産額だけでなく控除や特例も含めて確認しよう

今回は、相続税が500万円のときの遺産がいくら程度であるかについて解説しました。
相続税の申告は、相続財産の評価や特例の適用判断など、専門性の高い手続きが数多くあります。
一人で進めると、思わぬ申告漏れや評価誤りが生じることもあるでしょう。
響き税理士法人は、相続税・贈与税・小規模宅地等の特例など、相続に関する申告を専門的にサポートしています。
法改正への対応や、財産評価の正確性にもこだわり、お客様一人ひとりの状況に合わせた申告をご提案します。
どのくらいの相続税がかかるか知りたい方、相続税の申告に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

戸田譲三税理士事務所(現税理士法人みらいパートナーズ)、富士通株式会社 社内ベンチャー企業 勤務を経て2004年 桐澤寛興会計事務所 開業その後、2012年に響き税理士法人に組織変更。相続相談者様の悩みに寄り添うサービスを心がけている。

















